■“勘違いおじさん”誕生の理由
男性は子孫を残すため女性に選ばれなければならないことから、生き物として勘違いしやすくできているとか……。
「アメリカの大学で200人の学生に、女子学生が教授室で男性教授にレポート期限延期の交渉をしている映像を見せアンケートを取りました。『1女子学生は好意的に振舞おうとしていたか?』、『2女子学生は色気を使っていたか?』、『3女子学生は教授を誘惑していたか?』という質問に対し、1にYESと回答した学生数に男女差は殆どありませんでしたが、2には女子の1.5倍の数の男子がYESと回答し、3には女子の2倍の数の男子がYESと回答しました」(青柳さん)
この結果から、女性は男性と2人きりの空間でも”その場”を楽しく過ごせるが、男性は“その先”を期待することがわかるとのこと。さらに、男性は年齢を重ねることで、勘違い度が高まるケースも多いそう。
「年齢を重ねることで地位や年収が上がり、男性が重視する『社会的権威』が自分の魅力にプラスされていると思い込みます。職場であがめられている感覚が、その環境外でも通用すると勘違いしてしまうのです」(青柳さん)
セルフイメージがアップしている中年男性だからこそ、“勘違いおじさん”が誕生しやすいのだ。
■“勘違いおじさん”から受ける被害の実態
中年男性を“勘違いおじさん”へ変身させてしまう女性の言動はどのようなものなのだろう。
「『マンツーマンで相談した』、『LINEを交換した』、『食事に連れて行って貰った』、『メッセージを書類に添えた』、『同じ趣味の話で盛り上がった』、『相談していて涙を見せてしまった』、『社交辞令で、是非ご一緒したいです!などと言ってしまった』、『飲み会でボディタッチしてしまった』、『奥さんが羨ましいです〜!とお世辞を言った』などです」(青柳さん)
このような言動で“勘違いおじさん”への変身スイッチを入れてしまうと……。
「『退社時、会社の外や駐車場で告白された』、『LINEが鬼のように届く』、『断っても何度も食事に誘われる』、『会社の飲み会後に二人で二次会に行こうと誘われる』、『“頭なでなで”が効果的と信じて、事あるごとに頭を撫でてくる』、『嫁さんより先に出会っていたらなー!と不倫関係に誘われる』などの行動に出られてしまいます」(青柳さん)
女性側は勘違いおじさんの急な勘違い行動に、ただただ困惑するばかりだ。
■被害に遭った場合の対処法
中年男性を勘違いさせないため、彼氏や夫がいなくとも、薬指に指輪をはめるなどで”未然の対策”を取ることも重要だ。もし被害に遭った場合は、どのように対処すべきか。
「断りたい誘いは『彼氏とデートなんです』と断りましょう。また、LINEなどのメッセージが大量に届く場合は放置します。なぜ返事をくれないんだと問われたら、『そうでしたっけ?』ととぼけてOKです。夜の打ち合わせ兼食事に誘われたら、『ランチで行きたいお店がある……』と日中に変更します。二人での空間に誘われたときは、同僚や友人に偶然を装って同席して貰いましょう」(青柳さん)
それでもゾンビのごとくよみがえり、しつこく誘ってくる場合はどうすればよいだろう。
「『ご結婚されているのにそんなことを言うなんて、私自身が安っぽく見られているようで悲しいので、もう止めてください』などと、自分を主語にしてはっきり伝えましょう。『セクハラ窓口』を設けている会社もあるので、相談するのもよいですね」(青柳さん)
職場の上司などに中年男性がいて、被害に遭うかもしれないと感じている女性は、自分の言動を振り返り改めたい。もし今後被害に遭ってしまった場合は、青柳さんからのアドバイスを参考に、毅然と対応しよう。
●専門家プロフィール:青柳 雅也(カウンセリングルーム アンフィニ)
心理カウンセラーとして独立して12年、企業や大学・専門学校で講義を行い、受講生は6,000人を超える。心理学講座『青い柳のココロカフェ』は300回以上開催し、個人セッションは8,000回以上の実績。他にも、企業のメンタルケア、日本テレビ『ZIP』、名古屋テレビ『ドデスカ』出演など、精力的に活動を続けている。
画像提供: ピクスタ