■新生活編
新生活で、引っ越しをする(した)人も多いだろう。賃貸マンションを契約する際、心がけるべきことを聞いた。
「契約予定の物件が遠方で、写真のみの確認で契約したら、実際の部屋と異なっていたというケースが増えています。面倒でも契約予定の物件は内見し、契約内容等で気になることは遠慮なく管理会社に確認しましょう。入居直後に故障個所などが発覚したら、早急に管理会社か大屋さんに相談するようにしてください」(坂井さん)
一人暮らしをはじめたら、訪問者にも注意しよう。
「あたかも管理会社や大家さんに言われて来たかのように、ガスや電気、換気扇交換などの業者が無償で点検に訪れ、後日高額な工事費用などを請求するケースが多いです。安易にドアを開けたり部屋へ入れず、インターホン越しに対応し、都度管理会社等に確認を取るようにしてください」(坂井さん)
もしも誤って契約をしてしまった場合はどうすべきだろう。
「一定期間内なら訪問販売法によるクーリングオフが可能です。期間が経過した場合でも不実告知として支払った金額の返還請求が可能な場合があります。基本的に賃貸物件のガスや電化製品などの修繕は貸主負担となるため、個別に修理契約は行わないでください」(坂井さん)
女性には、さらなる危険が待ち受けていることがあるという。
「女性がSNSで新生活や引っ越しの投稿をした後、居住先を特定されトラブルに巻き込まれることがあります。基本的に、部屋や近所のお店などの写真をSNSに投稿するのはやめましょう。気を付けたつもりでも、最近のカメラは画素数も上がり小さな文字なども鮮明に拡大できるほどです。また、一見安心に思える女性限定マンションで、事前に盗聴盗撮機器が仕掛けられていたケースもあります。盗聴盗撮機器が仕掛けられているか不安な場合は、専門業者にチェックを依頼しましょう」(坂井さん)
用心には用心を重ねるべきだそう。恐れていたことが起きてしまったらどうすべきか。
「居住先が特定されストーカー被害などの恐れがある場合は、転居することを強くお勧めします。部屋から盗聴盗撮機器が見つかった場合は、撤去後に警察へ被害届を出し、管理会社を含めて話し合いましょう」(坂井さん)
悲惨な事件も実際起こりうる。自分の身を守るため、しっかりとした事後対応が必要だ。
■インターネット編
コロナ禍の影響で、ネットを介したトラブルも増えているとか。
「テレワークでネットを見る機会が増え、詐欺広告やネット上の人物からの勧誘に引っかかる人が多くなりました。副業を許可する企業が増えたためか、高額給与を得られる、いわゆる闇バイトに手を出してしまう人も少なくありません」(坂井さん)
坂井さんは、「ネット上の知人は他人。他人に割のよい話を持ち込む人はいません」と続けた。
「広告や投稿内容の発信元を確かめてから取引を行うようにしましょう。相手が企業ならホームページや口コミサイトで所在確認を、個人なら所在地や本名の確認を徹底してください」(坂井さん)
もし引っかかってしまったら、迷わず消費者センターや警察を頼ろう。
「解約や契約解除に向けた交渉が必要になる物販やサービスなら、最寄りの消費者センターに相談しましょう。怪しいバイト等なら警察へ届け出てください。その後、取引に関するメールや電話は受信拒否してください」(坂井さん)
新生活におけるさまざまなことを警戒したり、ネットの情報を疑ってかかるのは少し悲しい気もする。しかし、安全で幸せな生活を維持するためにも、「用心に怪我なし」ということを頭に入れておきたい。新しい環境で一人暮らしをはじめる人は、留意しておくとよいだろう。
●専門家プロフィール:坂井 利行
探偵社「プライベート・シャドー」代表。1992年同社を設立し、浮気問題から防犯(ストーカー、盗聴、盗撮、詐欺被害)などに対し調査業務を提供。幅広い経験から雑誌やテレビ番組にも出演。現在では、神奈川県調査業協会会長、全国あんしん探偵業協会の専務理事を務める。
画像提供:ピクスタ