■夏季ボーナスで過去を清算!?
2019年夏季ボーナス額は、どのような見通しなのだろうか。
「民間企業で390,251円(前年比0.8%増)、公務員で732,288円(前年比4.1%増)の見込みで、4年連続1人当たりの支給額が増加する見通しです」(岡さん)
増加傾向にあるようだが、どのように使うべきか悩ましい。手堅く貯金や住宅ローン返済もよいが、他に妙案はないだろうか。
「最近ではボーナス支給額は毎年伸びています。しかし今年は消費税増税も見込まれ、さらに来年の東京五輪後は、不動産バブルもはじけ景気が低迷する可能性があります。それらを踏まえ、『未来に備えて過去を清算する』をキーワードにご提案したいです」(岡さん)
一般的に五輪開催国では、開催前に国や企業が投資を行い、国民の消費へ連動する。だがその反動は五輪後に出てくることが多く、国全体が燃え尽き症候群のような状況になりがちなのだそう。そうなる前に「将来的に納めなくてはならないお金を、前倒しして支払ってしまおう」ということのようだ。
■しっかりと賢く納め、明るい未来を
具体的にはどのようなご提案なのだろう。
「まずは、『国民年金の保険料免除や未納分を納める』ことでしょうか。過去に収入の減少などにより保険料免除や猶予の申請をし、承認を受けた期間がある場合、10年間は追納が可能です。納めれば社会保険料控除の対象となるので、今年の所得税、来年度の住民税の負担が軽減されますよ。保険料免除や猶予の手続きをしていない場合、未納分の追納は過去2年間に限りますが、その場合も納付すれば社会保険料が控除されます」(岡さん)
「家族分の社会保険料を納める」のも一考すべきだとか。
「家族の社会保険料を代わって納めるのもおすすめです。例えば、実家のお母さんの年金から『介護保険料』や『後期高齢者医療保険料』が天引きされているような場合、子供が代わって納付書や自分の口座振替を利用し納めると、子供の社会保険料が控除されます」(岡さん)
また、「借金」や「奨学金」を前倒しして返済するのも同様だという。
「東京五輪後は、金利が上昇するかもしれませんので、『借金や奨学金を前倒し返済する』のもよいでしょう。特に、『第2種奨学金』は有利子であるため、繰上償還するとその期間の利息がかからず有利です。奨学金とは、条件に応じて第1種および第2種が存在し、利息は第2種のみに発生します。該当する人は検討してみるのもよいでしょう」(岡さん)
以上が岡さんの提案だがいかがだっただろう。「確かに……」と納得した人も少なくないのではないだろうか。ボーナスの使い道は、つい消費ベースで考えてしまいがちだが、先行きの経済を考慮し、堅実に“清算”するのも有意義な使い方なのかもしれない。
●専門家プロフィール:岡 佳伸
関東財務局長・関東経済産業局長認定経営革新等支援機関 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表。特定社会保険労務士。2級キャリアコンサルティング技能士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。(公財)東京都中小企業振興公社専門家派遣事業支援専門家。