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2020年は子年（ねずみどし）。十二支の最初の動物だ。昨今は年賀状を書かない人が増えているが、そうなると十二支を意識する機会も減るものだ。そこで、この機会に「教えて！goo」に寄せられた十二支にまつわる疑問について話を聞いてみた。■なぜ、12種類の動物なの？
取材に協力いただいたのは、日本カレンダー暦文化振興協会事務局の松原順さん。まずは、「時間も１年も星座も干支もなぜ12？」という質問について考えてみよう。ちなみに、本来「十二支」と「干支」は違うものだが、ここでは十二支＝干支ということで話を進めていく。
「十二支は年だけでなく、月や時間、方位にも使われてきました。起源は古代中国で、それが日本に伝わりました。12種類であるのは、木星の公転周期が約12年であることに由来します。一周を12区画にわけると時計のようになりますが、木星は反時計回り（西から東へ移動）です。そこで、太陽や月と同じく、時計回り（東から西へ移動）をする仮想の惑星『太歳（たいさい）』を設けることにしました。太歳のいる場所に名前をつけたのが、十二支のはじまりです」（日本カレンダー暦文化振興協会）
なぜ木星なのかというと、五惑星のなかで最も尊いものとして考えられていたそうだ。では、十二支を動物で表したのはなぜなのだろう。
「王朝が使う暦を民衆に浸透させるためと考えられています。字を読めない人でもわかりやすいように、動物が当てはめられました」（日本カレンダー暦文化振興協会）
子・丑・寅……という音に合わせて、似た読みをしたり、なじみが深かったりする動物を当てはめていったそうだ。そのため、国によって動物は微妙に異なる。「どうして猪が十二支で一番最後なの？」という質問もあるが、中国ではイノシシではなく豚なのだ。
■順番はどうやって決まった？
十二支の順番に関しては、有名な民話がある。
「神様は動物たちを集め、『新年に挨拶に来たものから順に12番目までを1年の守り神にする』と言いました。元日、牛は足が遅いからといって早く出発しました。ネズミは、牛の背中に乗って一緒に神様のところに向かいました。先に牛の背中から飛び降りたネズミは、一番乗りとなりました」というアレだ。しかしこれについてはさまざまな説があり、はっきりしたことはわかっていない。
猫が仲間に入れなかった理由については、「ネズミに騙された」というのが有名だが、ほかにも説があるらしい。
「まず、一番有名なのは、『猫がネズミに挨拶の日にちを確認したところ、ネズミは一日遅れた日を教えた。猫は次の日に神様のところに来たが、十二支には入れなかった』という説です。ほかには、『神様に頼まれた薬を取りに行ったネズミを猫が食べてしまったために、十二支に入れなかった』という説もあります。また、『十二支がつくられたころ、まだ中国では猫があまり知られておらず、それほど飼われていなかった』という説もあります」（日本カレンダー暦文化振興協会）
昨今の猫ブームは、予想だにしなかったであろう。
■辰だけ空想動物なのはなんで？
「教えて！gooウォッチ」では、過去に「なぜ干支の辰だけ空想動物なの？」
という記事をリリースしている。辰は竜（龍）のことで、十二支の中では唯一架空の生き物だ。これについても聞いてみた。
「竜は、『恐竜の祖』と考える説があります。中国大陸には恐竜の化石も多く残されており、古代中国人にとっては身近な存在だったと推察できます。おそらく古代中国人にとって竜は想像上の生き物ではなく、実在する身近な動物としてとらえていたからこそ、十二支に入ったのではないでしょうか」（日本カレンダー暦文化振興協会）
今回紹介した解説は、諸説あるのであくまで一例だ。話のネタとして、覚えておいてはいかがだろうか。
●取材協力：一般社団法人日本カレンダー暦文化振興協会
参考文献：吉野裕子『十二支—易・五行と日本の民俗』
（酒井理恵）
