■フードコートとイートインの違い
まずは、フードコートとイートインの違いについて聞いてみた。
「フードコートはショッピングモールやデパート、空港など、大きな商業施設に設置されている屋内のスペースを指し、客はぐるっと取り囲んでいる小規模の飲食店で食べ物を購入し、そのスペースで食べることになります」(石崎さん)
フードコートと言われてイメージする光景そのものである。これに対してイートインはどう説明されるのだろうか。
「イートインは、テイクアウトの逆として使われる言葉で、飲食店で買った食べ物を、そのまま店内で食べること、またはそのスペースを指します。一般的には、コンビニやファーストフードなど、1つの店舗におけるスペースを意味することですが、デパ地下などでもイートインという言葉が使われることがあります」(石橋さん)
お店で食べ物を購入する時にイートインという言葉をよく耳にする。場合によってはフードコートと同様の意味をさすこともあるようだ。
■飲食スペースでのマナー
利用する際は知っておきたいルールやマナーを引き続き石橋さんに聞いた。
「フードコートの場合、そこで飲食できる対象のお店があります。ただ、施設利用者への休憩所やフリースペースを兼ねている場合もありますので、外見上は分からないこともあります。少なくとも、『持ち込み禁止』とか『フードコート内の店舗利用者限定』といった形で利用方法が明示してあれば、それは必ず守るようにしましょう」(石橋さん)
持ち込んでよいかどうかは、場所によって異なる。イートインの場合はどうだろうか。
「イートインの場合は、特定のお店の中にありますので、そのお店で買ったもの以外を食べてはいけません。あくまでテイクアウトするようなものをその場で食べるというだけですから、長居することもマナー違反でしょう」(石橋さん)
フードコートもイートインもその場で決められた目的の範囲内で利用することを忘れてはならない。
■トラブルを避けるには
大勢の人が集まる共有スペースなのでトラブルも起こりうる。どんなことに気をつけて利用したらよいのだろうか。
「フードコートもイートインも、お客さん同士のトラブルが多いです。一人で数人分の席を占領するとか、グループで大騒ぎするとか、常識的に考えて他人の迷惑になることを避けなければなりません。子供が走り回って、ぶつかったり転んだりして怪我をすることもあります。飲食をする場所ではありますがレストランではありませんから、『さっと食べてさっと出る』ほうがストレスなく利用できますね」(石橋さん)
カジュアルに利用することが多いフードコート等の飲食スペース。楽しい行楽の合間にトラブルに巻き込まれたくない。マナーを押さえて、みんなが心地よく過ごせるよう心がけよう。
●専門家プロフィール:石崎冬貴(いしざき ふゆき)
弁護士、社会保険労務士。フードコーディネーターとしても活躍する一方で「なぜ、飲食店は一年でつぶれるのか?」出版などの活動も行う。小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、飲食業界専門で法的支援を続けている。