ちなみに家族葬が認知され始めた当時、それまでの高額な葬儀に反発して「小規模であるが故の低価格な葬儀」というのが、その意味を占める割合としては大きかった。しかし現在は「本当に親しかった人たちだけで行う葬儀」として認識されてきている。その証拠に著名人のように社会的な影響力が大きかった人たちの間にも家族葬が流行しているが、いざ自身が家族葬を行おうとなると、その範囲に迷うことがあるようで、「教えて!goo」でも、「家族葬でも仲のよかった友人は呼んでもよいのか?」といった質問が寄せられている。
さて、今回はそんな家族葬について疑問「故人と親しかったかの範囲」について、2019年の最新事情について葬儀アドバイザーに話を伺った。
■故人の希望を遺書など確認!…もし確認できない場合は?
全国で家族葬を執り行っている「心に残る家族葬」の葬儀アドバイザーに話しを伺うと、故人が遺言書やエンディングノートで誰を呼び、誰を呼ばないかといった参列者の希望を遺していた場合は、その通り実行すれば良い。問題となるのは故人からの希望が遺っていない場合だ。
「極論でもあり結論でもあるのですが、基本的には呼びたい人を呼べばいいと思います。葬儀は誰のために行うのかを考えると、まず優先すべきは故人で、次は遺族です。誤解を恐れずに言うと、その故人と遺族が決めるのですから、誰にも反対する権利はありません。もしも故人や遺族が大切にしてきた人で、なおかつ一緒に偲んで欲しいと思えば、家族以外であっても、その方にお声を掛けるとよいでしょう」
では、遺族が呼ぶべきかどうか迷った場合はどうするべきだろうか。
「迷った場合はお呼びしたほうがいいでしょう。理由は二つあります。呼ばれなかったことについて、その方から後で問い詰められる可能性があるということが一つ。もう一つは、ご自身を含めた遺族が呼ぶべきだったかもしれないと、あとで後悔するかもしれないからです」
呼びたい人を呼ぶ。呼ぶかどうか迷った場合も呼ぶ。呼びたくない人、呼ぶ必要性を感じない人は呼ばない。これがどうやら結論らしい。
■参列者の人数を葬儀の予算や規模、形式から決めるのはアリ?
葬儀にはお金がかかる。葬儀に人を呼びたいが予算が足らず呼べない…という事態も容易に想像できるのだが、予算から参列者の人数を決めることもあるのだろうか。
「その通りで、予算によっては起こりえます。葬儀は逝去後、すぐに準備に取り掛かり、次々に決断を迫られるのですが、その中で比較的重要な決断が葬儀の形式です。火葬のみにするか、一日葬にするか、通夜葬儀をするかで費用は大きく変わります。そして、この形式によって費用だけでなく、お呼びできる人数も変わります。火葬のみで何十人もお呼びするなんてことはありません」
葬儀の形式をどうするかによって呼べる人数に影響を及ぼすというなら、葬儀の規模でも同様のことが言えそうだ。
「葬儀の規模は葬儀場のキャパに影響します。10人程度の葬儀場に20人をお呼びすることはできません。しかし人数を決定しないとお借りする式場も決められません。ですから先に人数を決める必要があるのですが、人数を多くするということは当然大きな式場をかりる必要があり、それはすなわち小さい式場よりも葬儀費用が高額になることを意味します」
では、葬儀社には具体的にどのような相談をすればよいのだろうか。
「まず決めるべきは予算です。その予算を元に形式と人数について希望を伝えましょう。予算によって、相応の形式と人数に落ち着きます。予算オーバーの場合は人数を減らしたり、形式を変えたりするなどの提案をしてくれるでしょう」
■まとめ
「親しかった人で行われる家族葬の参列者としてお呼びする範囲はは故人や遺族の希望、そして葬儀に掛けられる予算で決まる」のが、昨今の事情のようだ。
最後に家族葬は故人や遺族が意図的に参列者を限定するため、葬儀に「呼ばれてないけど、呼ばれたがっている方」や「呼ばれるべきだと思っていた方」を呼ばず、喪主や遺族がその説明に困まったり、また説明の仕方によってはトラブルにもなりそうだ。その対応については、次のように答えてくれた。
「葬儀後に『どうして呼んでくれなかったのか?』と言われる方や、葬儀前から『呼ばれたがっている人』への対応はいずれも同じです。葬儀後、後者前に『葬儀は身内だけの家族葬』だということを伝えるとよいでしょう」
なるほど、家族葬であることを遺族が誠実に説明し、理解いただくのが重要といえよう。
●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー
家族葬こそが、故人との最後の時間を大切に過ごしたいという方に向いていると考え、従来の葬儀とは一線を画した、追加費用のかからない格安な家族葬を14万3000円から全国で執り行っている。
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