
■英語表記考案の裏にあった苦労
はじめに、「お~いお茶」が海外でも認知されるようになった経緯を伺った。
「海外では有糖の緑茶が多く出まわり、無糖の緑茶を飲む習慣がありませんでした。2010年頃から弊社社員の営業活動により、シリコンバレーで働くエンジニアの方々に『お~いお茶』ブームが広がり始めました。2013年には、和食が『ユネスコ無形文化遺産』に登録され、抹茶や緑茶が世界でも認知されるようになりました」(伊藤園)
ユネスコ無形文化遺産は、土地の歴史や生活習慣などと密に関わる、優れた芸能や伝統工芸などを保護するための条約だ。「和食」が無形文化と認められたのなら、お茶の認知や評価が高まるのも必然だろう。
続いて、パッケージの英語表記についても聞いた。
「弊社の緑茶飲料No.1 ブランドである『お~いお茶』は、海外の方に認知していただけるよう、あえて日本語の意味合いで訴求することはせず、“ブランド名”として『Oi Ocha』と、“音”をそのまま視覚化しました。その他の商品名は、海外の方に内容を理解していただけるよう、日本語を英訳した表記にし、英訳すると伝わりづらくなるものについては、『Matcha』や『GYOKURO』など、ローマ字表記にしました。日本語のニュアンスをそのまま表現できる英語が少なく、非常に苦労しました」(伊藤園)
玄米茶は「Roasted Rice Tea」、「ほうじ茶」は「Roasted Green Tea」とのこと。やはりその陰には、苦労があったようだ。
■海外で支持される理由
ネーミングだけでなく、海外の人たちから支持を得るための取り組みを行ってきたというので、さらに聞いた。
「『お~いお茶』のそのままのおいしさを味わっていただけるよう、地道に“無糖のお茶の健康性”や“日本の食文化”を伝え続けたことで、少しずつ支持されてきたように思います。商品パッケージには、『お~いお茶』と『ITOENロゴ』以外の部分で、英語だけでなく中国語やタイ語、インドネシア語、韓国語などを使用しています」(伊藤園)
「お~いお茶」は、米国のほか、シンガポールやオーストラリア、上海、タイ、インドネシア、 韓国で販売されている。表記は英語だけではなかった。




「世界各地で『GREEN TEA』や『MATCHA』の渋みや苦みが、気分をシャキッとさせてくれると人気を呼んでいますが、何より商品の持つ、『All Natural(自然な味わい)』、『Unsweetened(無糖)』、『Zero Calories(ゼロカロリー)』という健康的な側面が、支持される一番の要因になっているようです」(伊藤園)
世界的に健康志向が進み、加糖飲料ではなく「お茶」が飲まれはじめていることは確かなようだ。それは「お茶で世界をつなぎ、笑顔を届ける『世界のティーカンパニー』」を目指す伊藤園の功績による部分も大きいだろう。
ちなみに厚生労働省認定の社内資格制度である「伊藤園ティーテイスター社内検定」に合格した伊藤園のスタッフが、全国各地で「おいしいお茶のいれ方講座」などを開催している。興味がある人は、お茶のよさを再認識するために出向いてみてはいかがだろう。
なお、「煎茶・玉露・抹茶、カテキンたっぷりで健康に役立つのはどれ?」という記事も「教えて!goo」で公開中。併せてチェックしてみては。
●専門家プロフィール:株式会社伊藤園
1966 年設立。1985 年に世界初の「缶入り煎茶」を発売。以降、お茶のリーディングカンパニーとして世の中にリーフ製品・茶系飲料製品を広め、茶系飲料No,1 ブランド「お~いお茶」は国内トップシェアを守り続けている。