
■『鋼の錬金術師』よりサーキット場での思い出……?
――三間さんとは一番最初に『鋼の錬金術師』で、僕はご一緒させていただいたんですよね?
ええと、すいません……全然覚えてないです(苦笑)。裕さんとはサーキット場でお会いしていますよね? それはすごく覚えていて……。
――お会いしてじゃなくって、連れていってもらったんですよ〜。三間さんにっ(苦笑)。
そうでしたか!?(驚)。その印象がすごくあって……あと三木眞一郎さんとかも一緒にいて……なんで水島裕さんが来ていたのかも、俺いまいちわかってないんで……。
――だから三間さんに誘っていただいたんですっ!(笑)。三間さんから「走行会に行く?」という流れになって誘っていただきました。
そうそう! 走行会で裕さんが「僕は走らないからねっ」て言ったので「じゃあ見てハマったら走りましょう」と言った部分は覚えています(苦笑)。

■反抗期から音響監督に!?
――あらま(笑)。ちなみに三間さんが音響監督になったきっかっけはなんですか?
家が厳しかったせいですね……。両親とも教員なんですよ、俺の家。
――そうなんですか? それは知らなかった!
ガッチガチの教員家庭でした。もう教員か公務員にさせるための教育を子どもの頃から受けていて、この世界に入る前にウチの両親と進路についてボッコボコに喧嘩しましたね。「教師になんて絶対なんねぇ!」と。そこで以前、母から「明田川さんは映画を作っているらしいよ」と聞いていたので、明田川進さんのところへ相談に行ったんです。
――あの明田川進さん!?(※音響監督/大学教授/マジックカプセル代表)
遠縁ですが、親戚なんですよ。
――それも知らなかった!?(驚)
そして親と喧嘩した翌日に大学を中退して、マジックカプセルに入社して、フリーになって音響監督になりました。

■2.5次元の役者と声優との化学反応
――ちなみにいま刺激を受けていたり、興味のあるコンテンツはなんですか?
いまは2.5次元の舞台をいっぱい見に行ってますね。
――へー、どうして2.5次元に興味を?
2.5次元の中でいい役者がいたら、引っ張りたいと思っているんですよ。
――2.5次元の役者からスカウトした方もいるのですか?
いま4人くらいスカウトして、作品に参加させていますよ。
――では舞台を観るのは、ご自分の作品のために?
そうです。声優の芝居って、ある一色だったりするんですよ。やっぱり体を動かして、カットの繋ぎではないシーンの芝居をしてくれる人たちを2.5次元から探してきて、入れたことによって、声優たちに化学反応が起きれば面白いなって思ってるからやっています。

――化学反応は起きましたか?
いまのところ、打率1割ですかね。2.5次元の人たちが声優に合わせちゃうんだよね……。口パクと戦っちゃうんですよ。「お前たちをここに入れているのは、ブレスに合わすんじゃなくって芝居だよ、芝居!」って言ってるのに「いや、僕が合ってないとみなさんにご迷惑をかけてしまう……」と。「そんなことを考えるんじゃないよ! 化学反応が起きねえだろう!」って言っています。
――いや~、面白いですね!
どこの事務所にも芝居の色はあるので、そこを繋ぐのは、そういうところのカラーがない人たちを入れるといいかなぁって思うんですよね。
――なるほど!
いま『僕のヒーローアカデミア』をやっていて、そこに桑野晃輔っていう2.5次元に出ている役者を入れたんですね。「青山優雅」っていう、ちょっとコッチ系のあるようなキャラで、声優さんがやったら完全にオネエの方に行くんですけど、その子は少年として可愛いさが色気になっているんですよ。
――いいですね!
やっぱり、それを感じる声優たちがいるわけですよね。梶裕貴くんとかが、すぐにネットで調べていました。「彼はどこの役者だろう?」って。やっぱり舞台の芝居から来ているから「やられました、負けたくないです」って。よしよし、化学反応起きてる起きてる。というところで実感することがあります(笑)。

――三間さんって、いろんな角度から作品を演出していらっしゃいますよね!
そうですか? ただ普通だと飽きっぽくなるからだけじゃないですか?(笑)。
2.5次元の役者と声優の化学反応までアニメに演出する三間氏。その熱さこそが数々のヒット作を生む原動力になっているに違いないと思います!☆☆☆

●三間雅文プロフィール

●インタビュアー:水島裕
