![医師が解説。長靴を履くと足先が冷える2つの理由](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/watchmain/7/542209339_56b84536d6f91/ORG.jpg)
都心でも積雪があり、長靴を履いて通勤する人も多いのではないだろうか。
ところで、長靴を履いているとビックリする位足先が冷えることがある。普通の靴よりも水に強いからこそ長靴を履くものだが、一体これは何故なのだろうか。
日本初の「靴下外来」を開設したことでも知られる「みらいクリニック」の今井一彰院長に話を伺った。
■長靴に保温性は無い?
「理由は2点考えられます。まず、長靴の構造的問題。靴は、普通アウトソール(靴底)、インソール(中敷き)の二つに分けられます。この二つが断熱材の役割をするので地面からの冷たさが伝わってきません。長靴は、薄いゴムのアウトソールの上に直接足を載せる感じになり、冷気が伝わりやすくなります。これでは、いくら厚めの靴下を履いても暖かくすることは出来ません。長靴は濡れないためのものであって、決して暖かさを保つためのものではないのです」(今井院長)
長靴のそもそもの構造により、足元は冷えやすくなっているようだ。また、2つ目の理由は、足指の血流障害によるものだという。
「長靴は底が薄く、さらにアッパー部分(甲の部分)もきっちりと固定できないので、脱げやすくなっています。そのため、脱げないように足指先をぐっと曲げてしまいます。長靴を履くと猫背のようになったり、シッカリと膝を伸ばして歩けないというのはこのためです。足指が曲がると血流が悪くなり、冷えに直結します。また足指が曲がると、ふくらはぎの動きも悪くなりますから、ミルキングアクションが起こらなくなります」(今井院長)
ミルキングアクションとは、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たし、血液を循環させること。足指が曲がると血液循環が滞るため、普通の靴よりも冷えてしまうそうだ。
■厚手の靴下は逆効果!
では、足元が冷えないようにするにはどうしたらよいのだろうか。
「理由として述べた2点を改善すれば対策になります。まずは、靴底の厚い長靴に変えること。難しければ、市販のインソールを敷いてみましょう。直接冷気が当たらなくなります」(今井院長)
寒くないようにと厚手の靴下を履く人が多いが、足指を曲げる原因となるため対策としてはNGとのこと。さらに、
「血流を良くするために、足指ストレッチをこまめに行いましょう。また、雪や雨の時だけ使って、換えのシューズを持参するなど、長時間の着用を避けましょう。きつく締め付けられるようなストッキングの着用を避けることも大切です」(今井院長)
とのこと。足の指を広げて伸ばすと、冷えや外反母趾の痛み対策などにも効果的なのだそうだ。お風呂上りやテレビを観ているときなどに試してみよう。
●専門家プロフィール:今井 一彰
内科医。山口大学医学部出身。特殊な機能性靴下で治療する日本初の靴下外来を開設するなどユニークな取り組みで知られる。外反母趾やO脚など足腰の悩みにも精通。漢方治療専門医の側面もち、外来での治療分野は多岐にわたる。
(酒井理恵)