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スキマ時間を有効活用する副業もあれば、時間や場所に制約される副業もあるため、あとはその人の状況やスキル、目標額などで選べばいい。ただここで一つ気になるのがそのアカウントや権利の相続ではないだろうか。「教えて!goo」でも「ネットでの収入での相続って?」」という質問が寄せられている。
■相続されるものとは?
小さく育てた副業が次第に大きくなり、結果的にそれなりの収入を得ることができたら、これほど嬉しいことはないだろう。そこで今回は副業と相続について、相続問題に詳しい富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に話を聞いてみた。まずは相続されるものの定義だ。
「相続できるものは『被相続人の財産に属した一切の権利義務』です。典型例としては、現金や不動産などの所有権、預貯金や貸金などの債権、借金などの債務があります」(井上義之弁護士)
プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金やローン)も相続されることは覚えておきたい。あともう一つ重要なのが亡くなった人の権利や義務の相続だ。
「契約上の法的地位も原則として相続の対象となります。例えば、売買契約の売主が代金支払や目的物の引渡し前に死亡した場合、その相続人が代金支払いを求める権利を取得するとともに目的物の引渡し義務を負うことになります」(井上義之弁護士)
■相続されないものとは?
では次は相続されないものについて尋ねてみた。
「相続の対象とならないものは『被相続人の一身に専属したもの』です。例えば、被相続人が第三者の身元保証人であった場合に、その身元保証人たる地位は、被相続人と第三者との間の個人的な信頼関係を基礎にして発生していた権利義務ですので、相続の対象にはなりません。代理権や雇用契約上の地位なども同様です。なお仏壇や仏具、お墓などは、一般の相続財産とは区別され、祭祀承継者が承継するものとされています」(井上義之弁護士)
仏壇や仏具、お墓が相続財産に含まれないことも覚えておくと良いだろう。
■YouTubeチャンネルやアフィリエイトサイトは相続される?
いよいよ本題のネットで得た副業とその相続について聞いてみた。
「サイトの運営権やアカウントの利用権の取り扱いについては、まだ法的な扱いが確立していない分野と言えますが、一身専属性を理由に相続の対象とならないと考えられます。現実の運用上は、被相続人のプライバシーへの配慮、相続手続の事務処理上の煩雑さなどもあって、相続を認めないサービス提供会社もそれなりにあるようです」(井上義之弁護士)
アカウントを引き継ぐことと、法律上の相続が認められるかどうかは分けて考える必要があるが、そもそも引き継がれないことには、相続が難しいことを考えると、サービス提供元の規約を確認する必要があるだろう。井上義之弁護士も以下のように話している。
「サービス提供会社によって対応が異なり、また、対応が変更されて行く可能性もありますので、気になる方はサービス提供会社に直接問い合わせることをおすすめします」(井上義之弁護士)
ちなみにAdSenseやYouTubeの運営元であるGoogle社は、死亡したユーザーのアカウントから資金を取得するためのリクエストやデータを取得するためのリクエスト(Googleヘルプ)を受け付けている。
■ポイントやマイルは?
最後にポイントやマイルが相続されるかどうかについても伺った。
「基本的には『一身専属的な権利か否か』が判断基準です。ポイント(マイルも含む)は、特定の個人がポイントプログラムの会員であるという資格に基づいて付与されるものですから、一身専属的な権利であり、相続の対象とはならないと解されています。実際、多くのクレジットカード会社の規約では、ポイントが相続されないことを明記しています。
もっとも、一定の場合に家族にポイントを移すことを認めるクレジットカード会社もありますし、JALやANAはマイルを相続できるとしています。こうした取り扱いは、一種の顧客サービスといえるでしょう」
最後になるが、ここまで述べていたのは「相続されるかどうか」である。仮に相続されたとしても「相続税がかかるかどうか」はまた別であるので、この点だけは忘れずに副業に勤しんでいただきたい。
●専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
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