■長期資産形成商品とは?
まず、長期資産形成商品にはどのようなものがあるのだろうか。
「リスクを抑えながら運用できる長期資産形成商品は3つ挙げられます。1つは『つみたてNISA』、2つ目は『iDeCo(個人型確定拠出年金)』、3つ目は『保険(外貨建て保険・変額保険)』です。特に、収入がまだ高くない・貯蓄が少ない若い世代にこそ、早い段階から将来への備えとして、長期資産形成商品の検討をおすすめしたいです」(石田さん)
「つみたてNISA」や「iDeCo」の名前は聞いたことはあるが、実際のメリットがあまり分からないという人もいるだろう。それに「保険」で資産形成というのもいまいちピンとこないのでは……。何を基準に選べばよいだろうか。
「初心者が特に比較すべき主なポイントは、『税制上のメリット』、『途中解約が可能か』、『投資対象を選ぶハードル』の3つです。それらを考慮した上で資産運用初心者におすすめなのは、保険商品(外貨建て保険・変額保険)になります」(石田さん)
上記の表によると「保険」は、「途中解約が可能」、「投資対象を選ぶ必要もない」という点で優れているが、「税制上のメリット」は他2商品に比べて低いようだ。
■税制上のメリットは「iDeCo」が高い、途中解約が可能なのは「保険」と「つみたてNISA」
なぜ資産運用初心者には「保険」がおすすめなのだろうか。他2商品もあわせてそれぞれの特徴を詳しく知りたい。
「3商品の中で税制上のメリットを1番享受できるのはiDeCoです。それは、投資信託の運用益が非課税なうえ、掛け金が全額所得控除の対象にもなるからです。つみたてNISAも運用益は非課税ですが、所得税控除の対象とはなりません。いっぽう、保険については解約返戻金・満期返戻金などで一時所得があった際は、規定の算出方法に沿って非課税になります。年末調整などで生命保険料控除が適応されます」(石田さん)
iDeCoは税制上のメリットという観点で、他の2商品よりも優れていることが分かった。しかし、途中解約ができないのが難点だ。
「急遽お金が必要になった際に、途中解約ができるものとできないものとでは大きな差があります。申込前に必ず確認しておきたい項目といえるでしょう。途中解約が可能なのは、つみたてNISAと保険(※10年以内の解約控除の規定有り)です。iDeCoは原則60歳まで引き出しができないため、その点が注意点です」(石田さん)
投資対象の障壁の高さは、初心者にとって選ぶ際の大きなポイントになりそうだ。
「つみたてNISA とiDeCoは、自身で投資する投資対象商品を選択しなければいけません。これは、資産運用初心者にはハードルが高いといえます。その点保険は、加入する際にお金のプロであるファイナンシャルプランナーから詳しい説明を受けたうえで、投資対象商品を選ぶことができます。運用が期待値に満たなかった場合でも、万が一の死亡保障がついている点が他の2商品との大きな違いになります」(石田さん)
総合的にみると「保険」がおすすめというのもうなずける。
■資産形成額の算出にはライフプランをシミュレーションする
長期資産形成商品を決めたはいいが、実際の掛け金はいくらが妥当なのだろうか。
「資産形成をするためには、今後自分がどのような生活を送りたいか、将来どのくらいの金額を貯める必要があるのかを具体的に考え、そのうえで生涯収入と、生涯支出を洗い出す必要があります。生涯収入には、配偶者の収入、遺族基礎年金、勤務先の退職金なども含みます。生涯年収・生涯支出を含めた『ライフプランシミュレーション』の算出は、素人では難しいため、ファイナンシャルプランナーなどへ相談にいくのも一つの手段といえるでしょう」(石田さん)
長期資産形成商品は高い買い物になるため失敗はしたくない。そのためには、自身で将来の青写真を描く必要がある。どこかのタイミングで必ずお金のプロに相談することが正しい資産形成へのプロセスになりそうだ。
●専門家プロフィール:石田 直樹(いしだ なおき)
エイチームフィナジーが運用する「ナビナビ保険」の責任者。AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格所有。ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。
その知識を活かし「もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。