
■なぜ鰯を食べるのか?
まず、節分になぜ鰯を食べるのか。その習わしの意味について聞いた。
「節分に鰯を食べるのは、主に関西地方の風習です。節分は、旧暦の大晦日。その翌日が『立春』で、旧暦の元日にあたります。つまり新年を迎えるにあたって邪気を払うという意味で、鰯を食べます。この時期に獲れる鰯は脂がよくのっており、栄養も豊富。病気予防にも効果的と言われています」(桜さん)
なるほど。旧暦の大晦日、元日にあたることから、邪気を払うために鰯を食べるようである。
■ではなぜ柊と鰯の頭を飾るのか?
次に、柊と鰯の頭を飾る風習について聞いた。
「鰯を食べる地域では、その鰯の頭を柊に挿した『柊鰯』(ひいらぎいわし)を飾る風習もあります。これは平安時代からはじまったと言われています」(桜さん)
どのような由来で柊と鰯の頭なのだろうか。
「柊と鰯の頭を飾ることには意味があります。とがった柊の葉っぱは、鬼の目を刺すと言われており、鰯の頭は『鰯の頭も信心から』ということわざがありますが、鰯の頭のようにつまらない物でも、魔除けになると信じている人にとっては、ありがたいものになるというのが由来です。また鰯を食べる風習は、鰯を焼くときに出る煙と臭いが関係しています。鬼は鰯の臭いをきらっており、鰯を焼くことで出る煙と臭いで、鬼が家に寄りつかないようにするためです。すなわち、邪気が家に入り込まないように追い払うために、鰯を焼いて食べるんですね」(桜さん)
柊と鰯という組み合わせが唐突に思えた人もいるかもしれないが、ちゃんと意味があったのだ。
■柊鰯はいつ外せばいい?
柊鰯は、いつからいつまで飾っておくとよいのだろう?
「柊鰯は、節分(2月3日)から2月4日(立春)が一般的ですが、2月いっぱい飾っておくところや、小正月(1月15日)から立春(2月4日)までというところもあり地方によって違います」(桜さん)
外した柊鰯は、ごみとして捨ててよいのだろうか? お焚き上げは必要なのか?
「飾り終えた柊と鰯は、まず塩で清め半紙などに包んで捨てたり、半紙に包んで塩で清めゴミに出して捨てたりする方法があります。どちらでも地域に合わせるといいですね。燃えるゴミで大丈夫だと思いますが、ゴミの分別はこれも地域によって違いがあるので、それに合わせるといいでしょう。また一年間飾る地域もあるので、翌年のどんど焼きで処分する。あるいは、神社での焚き上げで処分する。ほかにも玄関先に埋める。灰になるまで焼いて玄関前に盛るという、方法もあります」(桜さん)
柊鰯は関東にはない風習のため、初めてその名前を聞いた人もいるかもしれない。日本古来の風習や由来を知ると、節分がより楽しめるはずだ。