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勤務先からお金を返してもらえない! どうすればいい?

勤務先からお金を返してもらえない! どうすればいい?お金の貸し借りの中には、ビジネス関係における潤滑油となる場合もある。特に小さな会社であったり、自分が会社の中枢に深くかかわっていたりするならば、今後のために融通を効かせて会社にお金を貸す場面も想像できる。しかしお金を貸したなら、返してもらわねばならない。では会社が倒産してしまったら、そのお金はどうなるのか。そこで今回は、会社に貸したお金の行方についてみていこう。

■お金が返済されなくなるタイミングは会社の「倒産」じゃない!?


お金を貸した場合の最悪のケースは、それが返済されないことだ。私たちはこうなる前に策を講じねばならない。では、返済されないと決まるタイミングはいつなのか。富士見坂法律事務所の井上義之弁護士は、重要なのは「倒産」ではなく「破産手続」だと解説する。

「事実上の倒産状態であっても、破産手続が行われていない場合、返済されないことが法的には確定していません。会社が破産手続に入ると、会社は財産を処分することができなくなり、管財業務の結果、債権者に配当すべき財産が形成されなかった場合には、異時廃止という形で破産手続が終了し返済されないことが法的に確定します。配当すべき財産が形成された場合は、債権者への配当がなされ、所定の手続きを経て破産手続が終結し、それ以上は返済されないことが法的に確定します」(井上弁護士)

会社の破産がデッドラインだとすると、私たちは貸したお金を守るために、遅くとも会社の
倒産前後から動き始めねばならない。では具体的にどんなアクションを取ることができるのか。

■裁判の前に時効と担保をチェック


以下では、貸したお金が返済されるようにする自衛手段を裁判(すなわち強制的な債権回収)の前までと、お金を貸す前にという2つのケースに分けて考えよう。裁判前に採るべき行動について、先の井上義之弁護士は消滅時効の回避と担保の確保の2点を挙げる。

「会社に貸し付けたお金は、5年間の消滅時効にかかります。お金を返せと裁判を起こせば時効は中断しますが、『承認』という手段もあります。具体的には、『当社は、貴殿に対し、〇年〇月付金銭消費貸借契約に基づき金〇万円を借り入れており、その残債務として金〇万円の支払い義務があることを認めます。〇年〇月〇日株式会社~印』といった書面(債務確認書等)を会社に提出してもらう方法です。なお、会社が債権を一部返済するか、返済の猶予を求めるメールや手紙などを送ってきている場合、それらも『承認』の証拠になりえます。また貸金について、会社役員個人に(連帯)保証人になってもらうか、会社や会社関係者の所有不動産に抵当権を設定してもらうことも手段の1つです。仮に会社が破産手続に入っても、(連帯)保証人が破産免責されない限り(連帯)保証人に対する保証債務の履行請求はできますし、不動産に抵当権を設定してもらえば当該不動産から優先的に返済を受けることができます。また具体的に、返済を一定期間猶予することなどを条件に交渉すれば、会社側が人的・物的な担保提供に応じる場合もあろうかと思います」(井上弁護士)

ところで、貸したお金の存在を「承認」させることが時効の中断に用いられるならば、お金の貸し借りの記録、つまり貸付先の口座履歴などを「承認」の手段として利用することはできるのだろうか。井上弁護士は口座記録を「承認」の証拠とするのは難しいと言う。

「個人の銀行口座から貸付先の銀行口座に振り込んだ履歴は、お金を貸し付けたことの証拠の一部になりますが、時効中断事由としての『承認』の証拠にはなりません。『承認』の証拠になりうるのは、貸付の一部返済として、貸付先から貸付を行った個人の口座に振り込んできた履歴などです。先の債務確認書は、お金を貸し付けた『後』に、時効中断事由としての『承認』を証拠化することなどに役立つ書面としてご紹介しています」(井上弁護士)

整理すると、5年時効を中断するには「承認」によって改めて会社の言質を取るか、会社が返済できなくなった時のために担保を設定しておく、これら手段が裁判前に有効である。

■貸す前には証書と手形を確保!


では、そもそもお金を貸す段階からその返済可能性を高めておく方法はないのか。井上義之弁護士は、倒産よりも先に会社に返済させるように公正証書と約束手形という形で契約を結んでおくべきだと言う。

「まず公証役場に赴き、公正証書のかたちで金銭消費貸借契約書を作成すると、返済がない場合に裁判手続を経由することなく債務者の財産に対して強制執行できるようになります。『支払を怠った時は、直ちに強制執行に服することを認諾する。』といった文言を盛り込むことがポイントです。または、会社が振出して経営者個人等が裏書した約束手形を受け取っておくことも返済の可能性を高めます。手形を不渡りにすると会社の信用を落とすので、会社は手形を優先的に決済しようとしますし、不渡りになっても経営者個人等が裏書人として手形法上の責任を負うことになるからです」(井上弁護士)

公正証書にせよ約束手形にせよ、返済を放置すれば会社側が不利益を被るというインセンティブがあるがために、有効な予防線として機能するのだろう。

■返済を高めるには、会社にも何か負担させること!


ここまで会社にお金を貸したケースについて整理してきたが、まず忘れてはならない返済の不可逆点は「会社の破産」である。すなわちこの前に手を打っておかなくてならない。その際のポイントは、会社側にはお金と引き換えになにかを負担させることである。それは承認のような言質であっても、担保のような物理的なものであっても、証書や手形のような信用であっても構わない。とにかく、無条件でお金を貸すことだけは避けておきたい。

専門家プロフィール:弁護士 井上義之 公式 ブログ
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