■アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード
各カード会社が「ブラックカード」と位置づけているのは、招待されないと保有できず、年会費も最低5万円はかかるものだという。その中でもNo.1のステータスをもつブラックカードとは……。
「ブラックカードの中で最も入会の難易度や年会費が高いのが、アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード、通称『センチュリオン』でしょう。入会金に540,000円、年会費は378,000円(税込)が必要です。審査基準はトップシークレットで、どうしたらセンチュリオンの招待を受けることができるのかは、全く公開されていません。これまでに数名の持ち主に取材させていただいた主観で答えると、単なる年収だけでなく、その人の社会的地位や個人資産が影響していると考えられます。カードはチタン製で重みがあり、手に取ると他のカードとは明らかに違うのがすぐにわかります」(菊谷さん)
維持費を聞いただけでも庶民には無縁といえそうだ。いったいその特典内容とはどんなものなのだろう。
「特典内容はたくさんあります。24時間体制で専属のコンシェルジュがいつでも御用を聞いてくれることや、世界中の空港VIPラウンジが食事やアルコールも含めて無料で利用できることなどです。また、指定のレストランで二名以上がコース料理を頼めば、一名分が無料になるサービスもあります。その他にも、飛行機がファーストクラスにアップグレードされたり、海外の空港に到着した際に空港からホテルまで無料でお迎えが来てくれたりします」(菊谷さん)
まさにVIPに相応しいカードである。基準も特典内容もカード会社の公式ホームページなどには一切記載されないなど、謎に包まれている。限度額は指定されておらず、いくらでも決済可能とのこと。
■ダイナースクラブ・プレミアムカード
センチュリオン以外にも、権威のあるブラックカードがあるという。
「次に日本国内で権威のあるブラックカードとしては、ダイナースクラブ・プレミアムカード、通称『ダイナースプレミアム』があげられます。年会費は140,400円(税込)です。
人気の秘密は、高いポイント還元率です。ステータスの高いカードでありながら100円で2ポイント(2マイル)が貯まるので、ポイント好きなクレジットカードファンの憧れです。入会の審査基準はセンチュリオンほどではないといわれています。もちろんこちらも、コンシェルジュや空港ラウンジ、コース料金1名無料などの特典もあります」(菊谷さん)
若干敷居は下がった気がするが、権威のあるブラックカードに違いはないようだだ。
■JCBザ・クラス
最後に、日本のカード会社が発行しているブラックカードについても聞いた。
「日本国内で国際ブランドとしても君臨しているJCBのブラックカードが、JCBザ・クラスです。年会費は54,000円(税込)です。こちらはJCBが発行するクレジットカードを年間100万円以上、最低でも3年間は利用した上で、年収や資産などJCBの定める審査基準をクリアすれば招待が届くようです。年に一度、カタログギフトが送られてきて25,000円相当の商品と交換できる特典が人気です。家電なども選べるので、実質負担は年間3万円くらいで持てるブラックカードといえますね。JCBがオフィシャルスポンサーを務める東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンで、JCBザ・クラス会員限定のラウンジが利用できるのもユニークな特典です」(菊谷さん)
日本で指折りのアミューズメントパークで得点が受けられるのなら、喜ぶ人が多いに違いない。頻繁にカードを利用する人であれば、所有できるチャンスもあるカードだ。
審査基準が謎に包まれていることが多い各社のブラックカードは、「特別な体験ができる秘密のカード」というミステリアスさも魅力のひとつといえそうだ。日々がんばっていれば、いつかはブラックカードに選ばれるような人物になる日がくるのではないだろうか。
●専門家プロフィール:菊谷 彩加
自分にぴったりの「クレジットカード」を見つけ出すことができるサイト「ナビナビクレジットカード」)編集部員。クレジットカードを研究して12年。監修記事は300以上におよぶ。JALカードをメインに10枚のクレジットカードを使い分け、クレジットカードライフを満喫している。