■お風呂に入らない人の傾向
そもそも、お風呂に入らないのはどのような人なのだろうか。
「お風呂に入らない理由にはいろいろなものがあり『このような人』と一概にはいえません。たとえば年齢については、それぞれの層に理由があります。大学生や若年層の一人暮らしの人は『自由な生活スタイル』や『不規則な生活リズム』、中高年層は『仕事や家庭のストレスからくる疲労感や身体的な問題』、高齢者は『関節炎による移動の困難さなどの身体的な制約や健康問題』といったことが原因でお風呂に入らなくなることがあります」(遠藤さん)
職業について何か傾向はあるだろうか。
「こちらも一概にはいえないのですが、一人暮らしの学生は勉強やアルバイトなどで忙しく、お風呂に入る時間が取れないことがあります。社会人の場合、在宅勤務の方は外出の機会が少ないこと、夜勤や不規則なシフトの職業の人は生活リズムが乱れてしまいお風呂に入るタイミングを逃してしまうことがあります」(遠藤さん)
他にも知っておきたい特徴があるという。
「うつ病や不安障害などの精神的な健康問題を抱えている方は、性別や年齢、職業にかかわらず、お風呂に入ることが難しいことがあります」(遠藤さん)
メディアで「風呂キャンセル界隈」という言葉が取り上げられる際は、若い女性がフォーカスされることが多いが、実際にはいろいろなケースがあるようだ。
■「面倒」だけではない理由
お風呂が「面倒くさい」という感情は想像できる人も多いだろう。他にも何か入らない理由があるのだろうか。
「本当にいろいろありますが、主な要因としては1)身体的な理由、2)環境的な理由、3)精神的な理由、4)モチベーションの欠如、5)文化的な背景、6)実用的な理由などが挙げられます」(遠藤さん)
ひとつめの身体的な理由については、やはり関節炎が理由の場合が多いとのこと。
「2)環境的な理由は、夜勤や不規則なシフトの職業の方、3)精神的な理由は、うつ病などの精神的な健康問題を抱えている方が当てはまります」(遠藤さん)
4)モチベーションの欠如については、具体的にどのような内容だろうか。
「趣味や他の活動に夢中になり、お風呂に入る時間が後回しになることがあります。5)文化的な背景については、そもそもの話ですが毎日お風呂に入ることが一般的ではない文化や習慣がある場合、当然のことながらお風呂に入る頻度が少なくなります」(遠藤さん)
6)実用的な理由は、水やエネルギーの節約のためにあえてお風呂に入る頻度を減らす人もいるとのことだ。
■周囲への影響は?
お風呂に入らないと、においなどの問題が生じるだろう。たとえば、香水でにおいを消すのには効果があるのだろうか。
「香水やデオドラントは確かに体臭を防ぐ効果があります。ただしその効果は、一定の時間内で、時間が経つと体臭が戻ることがあります。それに過剰な使用は香りが強すぎて、逆に周りに不快感を与えてしまう可能性があることにも注意が必要です」(遠藤さん)
体臭以外の問題もあるのだろうか。
「どちらかというとお風呂に入らない人は少数派なので、社会的な評価で損をしてしまう可能性があります。あまりに度が過ぎると不衛生になり、健康上のリスクを生じることもあるでしょう」
本人の気持ちの面はどうだろう。
「気持ちへの影響もありえます。たとえば『清潔であること』が自分自身の評価に関わる場合、お風呂に入らないことでその評価が低下します。それが他人とのコミュニケーションに影響を与えることがあります。また、他人が自分の体臭や清潔感についてどう思っているかを気にすることで、ストレスや不安が増し、対人関係が難しくなることがあります」(遠藤さん)
お風呂に入らないことにはそれぞれ事情があり、必ずしも悪いことばかりとはいえないだろう。ただ、お風呂に入らないことは自分だけの問題とは限らず、周囲に影響を与えることもあるということは知っておきたい情報だ。
●専門家プロフィール:遠藤まなみ
『心の扉メンタルカウンセリング横浜』の代表心理カウンセラー。『心の扉メンタルカウンセリング横浜』は全国対応24時間、老若男女を問わずいつでもカウンセリング可能なカウンセリングサービス。公式Instagramでは皆様の悩みや問題を解決する情報を毎日発信している。
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