■直感にはいろいろなタイプがある
そもそも「直感」とはどのようなものだろうか。
「いくつかのタイプがあるといえますが、その代表的なものが『第六感』、あるいは『虫の知らせ』と呼ばれるものです。たとえば『あそこに行ったほうがよい……』と思って行動したら、思いがけない幸運に恵まれたというようなケースです」(佐藤さん)
なるほど、「ひらめき」とも呼ばれるものだ。
「そうですね。このような直感は自分にとってよいこともあれば、悪いこともあります。たとえば、いつもはJRを使って通勤している人が『今日は地下鉄がよい気がする』と感じて地下鉄に乗ったら、ちょうど会いたかった人に会えた、ということがあります。こちらは自分にとってよいことの例です」(佐藤さん)
悪いことの例は?
「『この人は私を騙しているかもしれない』と直感的に思ったとします。しかし『信頼している人から紹介された人だから』と思考で打ち消したら、結果的にその人は詐欺師だったというようなケースです」(佐藤さん)
「自分の直感を信じればよかった」と後悔するパターンだ。その他のタイプについても聞いてみた。
「他には主に二つあって、一つはその道のプロが経験と洞察から感じ取る『予感』のようなものです。たとえば、弁護士が相談を受けた際に『この事例の筋のよい解決法はこれだ!』と感じ取るようなものですね」(佐藤さん)
もう一つはなんだろうか。
「願望の実現に役立つ『ヒント』も直感といえるでしょう。こちらは何か『望むこと』があるのが前提です。そのゴールに向かって、左脳的といわれる『思考力・行動力』と右脳的といわれる『直感』を相互作用させ、望み以上の成果に繋げる力となります」(佐藤さん)
ひと口に直感といっても、いろいろなタイプがあるというわけだ。
■洞察力がある人は直感が鋭い?
直感の鋭い人と鈍い人の違いはなんだろうか。
「ここからは直感のタイプの中でも、最初に紹介した『第六感』と呼ばれるものについて説明します。『第六感』が鋭い人は洞察力があり、ちょっとした変化に気づく人です」(佐藤さん)
反対に鈍い人の特徴も教えてもらった。
「論理にこだわりすぎる人です。また、感情に振り回されてしまい、フラットな視座でものごとを見られない人も直感が鋭いとはいえないでしょう。それに、自分の頭の中でのおしゃべりが多すぎる人も、直感めいたものを見逃してしまうことが多いようです。このような人の場合、ベースに不安があって、頭のおしゃべりで直感を否定してしまうのですよね」(佐藤さん)
確かに、思考が常に渦巻いている状態では直感に気づけないこともありそうだ。佐藤さんは直感が鋭い人を「知覚力がある人」とも評している。
■『ボーッ』とすることも直感磨きにつながる
直感を鍛える方法はあるのだろうか。
「なかなか難しいのですが、一つ挙げるとしたら『感情を落ち着かせること』です。具体例としては『瞑想』がよいですね。『瞑想』が合わない人は、『茶碗を黙々と洗う』『黙々と掃除をする』などをおすすめします」(佐藤さん)
何かに没頭する「黙々と……」がキーワードのようだ。
「そうですね。それが難しければ、シンプルに『ボーッ』とするのも有効です。じつは脳科学の研究により、『ボーッ』とするのはひらめきや創造性と関係していることがわかっています」(佐藤さん)
「ボーッ」とするだけで直感を鍛えられるのはうれしい発見だ。同じような効果を得られる行動が他にもあるとか。
「ウォーキングにも『ボーッ』とするのと似た効果があるとされています。このような行動に共通しているのは、“感情が落ち着いて自然に思考がオフになること”です。私自身、『オンからオフに切り替わったときに素敵なアイデアが浮かんだ』という経験がたくさんあります。お風呂に入ってリラックスしたり、乗り物に乗ったりしているときにその揺れに身を任せるのもよいでしょう」
いろいろと方法はあるものだ。
「もう一つ、こちらは考え方というか気持ちの問題になりますが、“今、自分が感じている感情をすべて認めること”です。たとえダメな自分であっても、そのまま受け入れるのも、感情を落ち着かせて直感を磨くのに有効です」(佐藤さん)
「直感」を磨くのはそれほど難しいことではなく、生活の中で実践できることがたくさんあることがわかった。「直感力」を高めることで、日常に違った視点をもたらすこともできるかもしれない。みなさんもできるところからはじめてみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:佐藤由美子
2万人以上の願望を実現し、人生好転のサポートをしてきた「未来を変える心理学Ⓡ」心理コンサルタント。著書は4冊で、なかでも『シンクロちゃん―一瞬で人生を変える「10秒スイッチ」の法則』(フォレスト出版)は直感磨きに役立つ。Amebaブログ「未来を変える心理学」も大好評。
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