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スペースシャトルなどの宇宙機の再突入時の熱防御材の勉強をし始めた学生です。
熱伝導はど素人なので、Webなどの情報から自分なりにいろいろ勉強してみたのですがかなり自信がなく、いろいろ教えていただければと思ってます。

やりたいことは「熱防御材ってどれくらいの厚さでどれくらいの重さになるのか」を自分で計算してみたいな、というところです。


 <必要なパラメータと境界条件> 
  私のつたない理解状況を。。
  [1]大気と熱防御材との熱のやり取り
    「加熱率(空力加熱率)、熱防御材の表面の材質輻射率より
     熱輻射平衡状態として熱防御材の表面温度をもとめる。
     (ステファンボルツマンの法則)」

  [2]熱防御材での熱伝導
    熱防御材は層になっています。
    問題は熱防御材の下にある構造体の温度を制限内に
    おさえることになります。
    「それぞれの材質の熱伝導率、厚さから熱伝導を解き
     構造体の温度を求め、構造体の温度条件に合致しているか
     確認する。
     合致していなければ厚さを調整する(フーリエの法則)。」
 
   ここでちょっと理解が仕切れていない点を教えていただきたいのですが、、

   (1)[1]で、空力加熱条件は時々刻々と変化するのですが
    熱輻射平衡と仮定してしまって問題ないのか。

   (2)[2]の理解だと、熱防御材の材質の比熱などがパラメータとして
    入ってこないと思うのですが、
    ここはフーリエの法則で解くだけだとだめなのでしょうか。
    やはりここは、一次元熱伝導方程式を用いて解くべきなのでしょうか?

   シャトルのような再突入を考える場合、
   空力加熱を受ける時間はある程度限られているので 
   フーリエの法則で定常状態をすぐ仮定するのではなく、
   一次元熱伝導方程式で熱防御材の温度上昇の時間履歴を含めて
   解くほうがより現実的ということなのでしょうか?
  
 <一次元の熱伝導方程式の計算方法>
  エクセルなどでも解けるのでしょうか?
  すみません、数値計算も「ど素人」です。
  エクセル以外でも、もし参考になるプログラムなどがのっている
  WEBサイトがあれば教えていただければと思っています。
  プログラムの本などがありましたら。

 お分かりになるところだけでも結構ですので
 教えていただけますとうれしいです。

 よろしくお願いします。

A 回答 (6件)

一次元の熱伝導方程式は熱流量が温度差に比例するという微分方程式なので,オームの法則と一緒です。


なので,電気回路のとき方と一緒。定常状態でよいならきわめて簡単。
この場合は速度ともに表面温度が変わりますから,定常状態とは言えず,微分方程式を解くことになりますが,これも簡単な差分法で数値計算してしまうと速いと思います。
もちろんこの計算はエクセルでもできます。

微分方程式,熱伝導方程式,数値解法
のような言葉で検索すると良いと思います。

微分方程式の本を見れば普通基本問題として乗っていると思います。
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この回答へのお礼

早速の回答ありがとうございました。
いただいたアドバイスを元に調べてみたいと思います。

お礼日時:2007/03/22 11:40

熱輸送デバイスの開発をやっております。


ご質問は、断熱材で覆われた飛行体が大気圏に突入するときに、断熱材内部の温度分布が時間的にどのように変わるかということを知りたいといということでしょうか。具体的な計算方法はいろいろありますが、その前に、問題のモデル化をちゃんとしておいたほうが良いかと思います(モデルが適切でないとせっかく計算してもやり直しになりますので)。

まず、問題を以下のように断熱材表面と内部での熱のやり取りに分けて考えるのは良いと思います。

[1]大気と熱防御材との熱のやり取り
[2]熱防御材での熱伝導

しかし、欲を言えば、もう2つ、

[3] 人工衛星内部での熱伝導
[4] 人工衛星が周辺から冷却される度合い

も考えれば、物理モデルとして完璧です(熱の出口がないと問題を数学的に解けませんので)。

[1]についての考察ですが、断熱材を加熱するのは輻射でなく、大気との摩擦熱が支配的かと思われます。3月11日の質問「人工衛星が融けない理由」(http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2824479.html)で回答したのですが、高度500kmの上空の大気は、1000℃以上の高温とはいえ、密度が非常に小さい(ほとんど真空)ので、対流熱伝達(高温の風を吹き付けて暖めるような現象)によって人気衛星が加熱されることはほとんど皆無です。しかし、大気圏突入で高温になるような高度では大気密度はかなり大きくなっているとは思いますので、その高度での対流熱伝達がどれくらいか見積もっておく必要があるかと思います。

対流熱伝達以外に輻射での熱伝達も考えられますが、周辺の大気が持つ熱エネルギーの量を考えれば、人工衛星を加熱するだけのエネルギー(その大気の密度と比熱と体積と温度差の積が熱エネルギー)を持っているか疑問です。伝熱工学で扱われる輻射というのは、無尽蔵に熱エネルギーを持っている系(外部から加熱されているか熱容量が非常に大きい物質)で、輻射によって外部に熱エネルギーを与えても、その物体の温度は変わらないという前提です。しかし、もし希薄な大気が衛星に熱エネルギーを与えたら、たちまち温度が下がってしまうでしょう。輻射によって人工衛星に与えることのできる熱エネルギーは、その希薄大気が持っている熱エネルギー以下ですので、ほとんど真空に近い大気の熱エネルギーはごくわずかだと思います(私は航空宇宙系の伝熱は専門でないので自信はありませんが)。人工衛星の太陽に当たっていない部分が極低温になるという事実を考えれば、むしろ人工衛星は輻射によって熱を奪われるとしたほうが適切かと思われます(宇宙空間はほとんど黒体とみなせるのでしょう)。これについても、その高度での大気の熱容量がどれくらいか見積もって、輻射によって人工衛星をどれくらい加熱できるのかを見積もる必要があるかと思います。

また、「熱輻射平衡状態として熱防御材の表面温度をもとめる」とありますが、現実には衛星の温度がどんどん上がっているので、定常状態を仮定しないでも、非定常の熱伝達で取り扱えば良いと思います。

[2]の「熱防御材での熱伝導」は問題ないと思います。断熱材で覆われた飛行体の場合、現象の理解のためには、1次元の熱伝導で充分だと思います。実際に問題を解くのはこの部分で、[1] と [3] と [4] はそのための境界条件を決めるものです。

「[2]の理解だと、熱防御材の材質の比熱などがパラメータとして入ってこないと思うのですが」
非定常だと入ってきます。非定常の1次元熱伝導方程式は、T を断熱材の温度、 t を時間、x を断熱材の厚み方向の距離とすれば、

∂T/∂t=k/(c*ρ)*∂^2(T)/∂x^2 --- (1)

で表されます(∂^2(T)/∂x^2は、T の2階偏微分という意味です)。k は断熱材の熱伝導率、c は比熱、ρは密度です。k/(c*ρ) を熱拡散率と言いますが、これが大きいほど温まるのに時間がかかります(したがって、比熱と密度が大きく、熱伝導率の小さい材料が断熱材として適しています)。

「一次元熱伝導方程式で熱防御材の温度上昇の時間履歴を含めて解くほうがより現実的ということなのでしょうか?」
[3] と [4] の境界条件と関連するのですが、衛星自身の温度がどういう状況のときにどれくらいの時間で一定になるか、条件によって違うので非定常で考えるのが普通だと思います。定常状態では、式(1)の左辺は ∂T/∂t = 0 とおけるので方程式は解きやすくなります。

「エクセルなどでも解けるのでしょうか?」
式(1)の偏微分方程式を解くために、[1]~[4]の境界条件が必要ですが、その条件がややこしくなければ、フーリエ級数を使って厳密に解けます。マクロは必要ですが、エクセルで充分計算できます。

「エクセル以外でも、もし参考になるプログラムなどがのっているWEBサイトがあれば教えていただければと思っています」
具体的な境界条件が定まらないと計算できないので、[1]と[3]と[4]について、もう少し考察を深めてはいかがでしょうか。[2] の部分の微分方程式はすでに分かっていますので。

針金を加熱するというような単純な1次元の熱伝導問題であれば、伝熱工学のテキストに出ているので、すぐにお答えできるのですが、断熱材で覆われた人工衛星が大気圏に突入するときの温度変化を解くとなると、そう簡単な問題ではありません。特に[1] の部分が最も重要で、摩擦熱によって、単位時間、単位面積あたりどれくらいの熱量が断熱材に与えられているかが分からないと先に進めません。その次に重要なのは [4] です。これは輻射と対流熱伝達の両方を考える必要があるかと思います。
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この回答へのお礼

丁寧なご回答ありがとうございました。
非常に理解が深まりました。

教えていただいた[3][4]に関連するかもしれませんが
熱防御材の下側(空気に加熱される側ではなく、宇宙機などの構造物と接触する側)の境界条件もしくは制約条件について、まだ理解ができてないところがありますので、いただいたアドバイスをもとに勉強を進めていきたいと思います。

一般的には熱防御材の構造物には温度の上限値があると思うのですが
疑問は、「制約条件」としてこの構造物の温度の上限値だけでいいのかどうか、というところです。
あと「境界条件」として何を設定すればよいのかどうか。。

頑張っていろいろと調べてみます!

お礼日時:2007/03/23 22:38

ANo.2です。


訂正です。式(1)直後の文章で、「これが大きいほど温まるのに時間がかかります」とあるのは、「これが小さいほど暖まるのに時間がかかります」の間違いでした。
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ANo.2&3です。


伝熱を仕事にしているとはいえ、人工衛星をやっているわけではないので、その分野には全く詳しくありませんが、勉強がてら、(仕事中に!)Webでちょっと調べてみました。

スペースシャトルなどが大気圏に突入するときに機体の表面温度が高温になるのは、「空力加熱」と呼ばれ、大気との摩擦による発熱、あるいは、衝撃波によって断熱圧縮された空気が高温になることによって機体周囲(特に先端)が加熱される現象のようです。資料【1】の A58 のグラフから、高度何kmを、秒速何kmの速度で飛行しているときの表面温度が分かります。ただし、実際の機体は高度が下がるに従って大気の抵抗が増えて減速してしまうでしょうから、飛行体がグラフ上のどういう経路を進んで減速していくのかよく分かりませんが(専門家の方、アドバイスお願いします)。ただし、実際には、加熱されている材料の熱拡散率によって温度の上がり方が違うはずですので、これはあくまで参考(特定の場合)と考えたほうがよさそうです。

一方、資料 【2】 には、大気密度が ρ [kg/m^3] の上空を、速度 V [km/s] で飛行したときの、飛行体先端部の熱流束密度(単位はW/m^2)が出ています。熱流束密度というのは定量的な物理量ですので、計算にはこれを使うのが適切だと思います。資料 【2】 には、大気の密度が実際どれくらいなのかが出ていないのですが、資料 【3】 には、高度と大気密度の関係が出ています。資料 【2】 の式を使えば、断熱材の温度分布を求めるための境界条件の1つ「[1]大気と熱防御材との熱のやり取り」が分かります。つまり、断熱材表面からの距離 x と時間 t の関数として、 断熱材の温度分布を T(t,x) としたとき、 断熱材に流入する熱流束を Q [W] とすれば、x = 0 (表面)で
Q/A = -k*∂T/∂x --- (1)
というフーリエの法則 【4】が成り立ちます。A は熱を受けている部分の面積[m^2]、k は断熱材の熱伝導率 [W/m/K] です。Q/A は資料 【2】 の熱流束密度(単位はW/m^2)のことです。

さて、残りの境界条件
[3] 人工衛星内部での熱伝導
[4] 人工衛星が周辺から冷却される度合い
についてですが、[3] は断熱材の熱伝導と同じように、単純な熱伝導として考えていいでしょう。しかし [4] は少々やっかいです。もし[4] を無視した場合、人工衛星は加熱され続け、人工衛星の比熱と質量に応じて温度がどんどん上がっていきます。具体的には、衛星の質量を ms [kg]、比熱を cs [J/kg/K] とすれば、衛星の温度 Ts の上昇率 dTs/dt は、
dTs/dt = Q / ( ms*cs ) --- (2)
となります。Q は式(1)の Q と同じです。しかし、[4] を無視しない場合には、衛星は外気に放熱されているので、式(2)の Q は、その放熱量 Q' を差し引いた値となります。しかし 放熱量 Q' は衛星の速度や周辺の大気密度に依存するので問題を解くのはかなり難しくなります。

[4]については、私も「乗りかかった船」として調べてみますので、「すぐに回答を」となっているようですが、少々お待ちください。

資料【5】, 【6】に断熱材の温度分布や過渡応答を研究した論文が出ています。内容を理解するのは大変かもしれませんが、これを見てどういう計算が必要か勉強してみてください。断熱材の物性値も出ているので、計算するときの参考にもなるかと思います。

【参考資料】
【1】 高度と速度及び表面温度との関係  http://iss.sfo.jaxa.jp/iss_faq/go_space/step_5.h …
【2】 空力加熱推算式(3ページ)      http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2006_ …
【3】 高度と大気物性(5ページ、表2-2)  ​http://pat.geophys.tohoku.ac.jp/lab/wclub01.pdf
【4】 フーリエの法則(次ページに1次元熱伝導方程式も出ているので参考になるでしょう)  http://www12.plala.or.jp/ksp/formula/physFormula …
【5】 断熱タイルの温度分布(卒業論文) http://www.fml.t.u-tokyo.ac.jp/research/thesis/h …
【6】 宇宙往還機断熱材熱応答解析コードの開発(卒業論文) http://www.fml.t.u-tokyo.ac.jp/research/thesis/h …
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この回答へのお礼

お仕事中すみません。
ありがとうございます!

わたしのほうでも、「Detra-Kemp-Riddellの式(資料2の式)」にたどり着きました。
加熱条件としてはこちらでよさそうですね。

紹介いただいた5,6の資料も、(ちょっと難しいそうですが)読み深めてみたいと思います。

お礼日時:2007/03/23 22:58

ANo.4です。


参考資料【3】のURLが文字化けしてアクセスできないようなので書き直します。
【3】 高度と大気物性(5ページ、表2-2) http://pat.geophys.tohoku.ac.jp/lab/wclub01.pdf
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ANo.2-5です。


いろいろ調べていますが、放熱のところはなかなか難しいですね。
調べている途中でその分野にお詳しそうな人のHomePage(http://www7a.biglobe.ne.jp/~falcons/)を見つけました。掲示板(http://www7a.biglobe.ne.jp/~falcons/bbs1/index.h …)を開設しているのでそこで再度質問されてはいかがでしょうか。ただし、今日(3月30日)はメンテナンス中のため書き込みはできません。

そのHomePageには、空気抵抗理論式や断熱圧縮による温度上昇、輻射による温度上昇(速度がマッハ40くらいのときはこれもかなりあるそうです)の計算方法が詳しく書かれています。

もし掲示板で質問されるときは、あまり多くのことを書くと、何を知りたいのか理解されないかもしれないので、質問の主旨「高速飛行体が大気圏に突入するときの温度上昇について、簡単なモデル(1次元)があればそれを知りたい」ことを明確にしたほうが良いと思います。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなって申し訳ございません。

いろいろご丁寧にありがとうございました。
教えていただいたWEBも非常に参考になりそうです。

もう少し勉強と頭を整理したうえでまた質問などさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

お礼日時:2007/04/04 13:51

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