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国の経済指標を表すGDP成長率がいつも話題になりますが
同じ生活レベルを維持できれば0%成長でもよいと思うのですが
なぜあたかも不況であるかの印象を与えるのでしょうか。

0%成長でも中身が問題のような気がするのですが、日本のような
先進国または成熟国ではGDP成長ををことさら問題にする必要性を
感じません。お考えをお聞かせください。ちなみに私は経済は全く
素人です。よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

仮に


>産業の構造がアンバランスであることが問題
なのであるとしましょう。
 そして、2-3%の成長でも、ゼロ成長でも、産業調整の速度や調整に使える国全体の余力が等しいと考える理由が私にはわかりません。
 普通、こうした調整コストは、より景気が良い方が簡単に行えると考えるものです。

>同じ生活レベルを維持できれば0%成長でもよい
 これは実質ベースの話だと思います。名目成長率2-3%、インフレ2-3%の状態なら、今の日本よりははるかにましな状況といえます。
 例えば、日本の2007年度のGDP成長率は、名目0.6%、デフレ0.9%、実質1.6%です。
 ちなみに潜在成長率という概念があります。今どれくらいに見積もられているか調べてませんが、つい最近まで日本の潜在成長率は3-4%程度と考えられていました。
 こうした指標からも政府の政策ミスにより不況が長引いているというのは大方の見方です。財務省派の人は日銀のせいだといい、日銀派の人は財務省の失策と見る向きが強い。

>不況感がぬぐえないのはGDPの値からだけでは論じられない
>所得格差のせい
 不況感をどう定義するかに依存しそうですが、所得格差は重要な論点です。
 小泉内閣の時代、当時、大臣歴任中の初期に、竹中氏は所得格差は拡大していないと言い、退任の頃には、骨太の改革と所得格差拡大は関係ないに言動が変質しました。かなり以前から日本の格差の拡大の主張をしていた橘木氏などは、はじめのうちは統計操作などと揶揄されましたが、今は、格差が拡大していないと考えている専門家はいないと思います。
 デフレといっても物価が減少しているのは、主として高額商品です。液晶テレビとか、低所得層がそもそも買わないとしたら、・・・。
 所得層によって、消費する品が違う以上、マクロの物価の影響が、どの所得層にも同じように論じるのは間違っていますが、今の所、その点を追及した議論は見かけません。

この回答への補足

ご専門の方の目にとまりご回答頂いたことを感謝します。

>デフレといっても物価が減少しているのは、主として高額商品です。
2007年度実質GDPが1.6%といっても所得格差があれば不況感があるのはやむを得ないと思いました。これがs_nakさんが言われる余力が必要であるということにもつながるのですね。確かに坂道を登る車の馬力が理論値と同じ時にはエンストするのに似ていますね。

>ゼロ成長でも、産業調整の速度や調整に使える国全体の余力が等しいと考える理由が私にはわかりません。
ご指摘の様に0成長ではとても経済が回らないことが良く理解できました。これも格差社会では深刻な話だと思いました。男の子の乳児死亡率が5%で男女のバランスが取れるのに殆ど全員が救われる医療となり自然の状態から乖離が始まっています。どの産業も、どの個人も、どの企業もどの地方行政区も常に繁栄を謳歌するためには多くの変動要因を調整する経済的余力が常に必要であることが十分理解できました。(経済発展を継続するしかないのですね。)ありがとうございました。

>つい最近まで日本の潜在成長率は3-4%程度と考えられていました。
潜在成長力とは国の金融政策が最適化されたときの実質GDP成長率と考えてよいのでしょうか? またいくつかの制約条件がある中で潜在成長率はどうして算出するのでしょうか。一番のけん引力は何ですか。成長の一番の阻害要因は何なのでしょうか。とても興味があります。もし日銀や財務省の政策についての間違いについてs_nakさんの個人的なご意見をお伺いできれば幸いです。初期の質問から逸脱した部分があればお許しください。専門の方にこのようなご回答を頂けるのは初めてのことなのでもう一回だけできる範囲でお願いします。それで打ち切りたいと思います。ありがとうございます。

補足日時:2008/06/07 23:50
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潜在成長率とは、大雑把に言えば、完全雇用の際に現在の技術を最適に利用した状態で実現できる経済成長率です。

国の金融政策も最適化されていると考えてもらってよいですが、理論モデルが単純なので、残念ながら、金融などの細かい制約の有り無しでの推計はできません。

最近のデータを使い(労働時間x労働者、資本ストックx設備稼働率などを説明変数、GDPを被説明変数として)マクロの生産関数を推計します。そして推計されたパラメータ(係数)が正しいと仮定して、完全雇用、設備投資稼働率が好況時のデータなどを用いて、成長率を計算するといった感じです。
この潜在成長率と現実のGDP成長率のギャップが大きいということは、現在の日本経済が資源をうまく活用できていないことを示しており、それが長期に及ぶという事は政策ミスの可能性が大きいことを示唆します。

あとは日本経済が専門ではないので、・・・。
>成長の一番の阻害要因
>日銀や財務省の政策について
難しいなぁ。
バブル崩壊前なら、護送船団方式で銀行を甘やかした事(現財務省の失策)、バブル期に米国経済との関係で、他国より金融引締めが遅れたこと(日銀の失策で当時の日銀総裁自身が部分的に非を認めている、日銀の失策とするにはやや酷な部分もある)、金融を引き締めすぎたこと(日銀の失策:財務省との協調不足)、土地関連法の制定(現財務省の失策:日銀との協調不足)あたりでしょうか。
例えば、24時間ATM化を申請した某銀行は、護送船団方式を取っていた当時の大蔵省から、「足並みが乱れる」「他の弱い銀行が潰れる」とか言われ申請を却下されています。
また、住専処理をめぐって当時の公的資金注入に対するアレルギーは世論だったと元担当官が責任回避的な事を書いてます(後記の西村吉正の本)。これについては、当時、公的資金注入の事例について単に現財務省が研究不足だったのではないかなぁ。

バブル崩壊後は責任のなすりあいで、どっちもどっちの感がありますが、反省の弁が漏れてくるのは日銀の方で、財務省は「悪くない」の一点張りだから、財務省に対する印象が悪くなるのは止むを得ない感じがします。両方の人と話したりした経験上、金融行政を専門で行い続ける日銀の方が、ほぼ2年おきに部署が変わってしまう国家一種の財務官僚より、金融行政を深く理解していると感じます。
また、財務省の行動を見ていると不快感がある。内閣府経済社会総合研究所の所長(初代)に日銀批判派の浜田宏一を招聘したり、バブル崩壊後の銀行への公的資金注入は自らの過去の監査の不具合が露呈するため、第二回目を申請主義にしたり、公的資金注入に懐疑的なP.Krugmanをシンポジウムに呼んだりと徹底しています。
第二回目の公的資金注入の失敗は、星岳雄により批判されています。財務省は自浄するべきだったと。
お答えになっているか分かりませんが、このくらいでご容赦ください。

また、こうしたことに興味があれば、
中立的
小宮隆太郎[編]「金融政策論議の争点」日本経済新聞社
竹森俊平「経済論戦は甦る」東洋経済
財務省の方の著書
原田泰「奇妙な経済学を語る人びと」日本経済新聞社
西村吉正「金融行政の敗因」文春新書
など読まれては?
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この回答へのお礼

私の無理なお願いにご回答頂きありがとうございました。御専門の観点から御自身の意見も入れてお答え頂き感謝いたします。

潜在成長率の件、良く理解できました。また金融政策については書物を御紹介頂きました。少し勉強してみたいと思います。これで打ち切りたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

お礼日時:2008/06/14 23:03

成長しないと困るのは、具体的にいえば、年金です。

年金は運用で増えないと、十分に老齢世代を養えません。個人で貯蓄や資産形成している場合もそうでしょう。経済が成長しないと、株価が上がりません。金利もそうです。

確かに、日本は1990年代前半から2000年代前半を失われた十年と呼んだものの、欧米に比べると失業率が低く、外国人がみると「これで不況なのか?」と思える状況でした。
とはいえ、日本ではちょうど中国が台頭してきて、中小企業にとっては不況下で泣きっ面に蜂の状況でした。実際、自殺したり、子供が学校に行けなくなるなどの事態も発生したのです。

私も経済は素人ですが、大学院時代に官僚出身の教授の話を聞いていると、やはり2~3%程度で良いから日本は成長し、また海外に対して輸出超過でないと(先の年金も含め)経済社会システムの歯車が狂うと言っていました。

この回答への補足

ご回答ありがとうございました。おかげさまで少子高齢化が働き手一人当たりのGDPを引き上げねばならないことに気がつきました。しかし国全体で考えれば総人口がほぼ静止状態である今日、国民総生産いわゆる
GDPは増加しなくても原理的には経済は十分回り生活レベルは維持できるのではないでしょうか。

産業の構造がアンバランスであることが問題なのではないでしょうか。
つまりGDP以外の指標を成熟社会では問題にしなければならないのではないのではと、ふと思い質問させていただきました。
一人当たりGDPが4万ドルを超える我が国で不況感がぬぐえないのはGDPの値からだけでは論じられないと感じています。コメント頂ければ幸いです。

もしかしたらお金の使い方でしょうか。いや所得格差のせいでしょうか。

補足日時:2008/06/07 11:57
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個人感覚で言えば、国が儲かっていようがどうか関係ない。


関係あるのは、自分の収入。
皆さんの収入と言うことで言えば 一人あたりのGDPが 平均となります。一人あたりのGDPが増えていれば、収入が増えている人が多いと推測されます。

んで、今まで、人口減少の体験がありません。

人口増加しつつ、一人あたりのGDPが増やすと言うことは、GDPが増えると言うこと、言い方を変えれば、増えた人口分GDPが増えなければ、ひとりあたりGDPは 減ると言うことになります。

この回答への補足

コメントありがとうございました。発展途上国ではGDPが極めて重要であることは理解しています。一人当たりGDPが3000ドルを超えると
その国は民主化を手にすることができるが1万ドルを超えると健全な経済活動からずれ始める(1万ドルの誘惑)という記事を新聞で見た記憶があります(?正確ではありませんが)。私の質問の真意は”一人当たり4万ドルを超える我が国の不況感はGDPを成長させても解消しないのではないか”ということです。あるいはGDPの計算方法に問題があるのでしょうか。どうか再度コメント頂きますことを期待します。ありがとうございました。

補足日時:2008/06/07 12:09
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