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金属の熱処理について調べています
ジュラルミンを焼き入れすると鋼などと違って、逆に硬度が落ちるそうですがどうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
どこを探してもわかりませんでした ご回答よろしくお願いします

A 回答 (2件)

こんばんは。

前の質問の際、背景が解らなかったので一般の方かなと思い回答いたしました。大学生さんだったんですね。
今回は専門的に説明したいと思います。
良い資料を見つけたので参照しながら解説します。

ジュラルミンがなぜ焼入れすると硬度が落ちるか?
これは冷却速度による組織変態に依存するものです。

質問者さんは「冷却速度・冷却能力」や「TTT曲線」を既に勉強なさいましたか?
水は冷却能力が大きく(材料の熱を良く奪う)、空冷は比較的冷却能力が小さい(熱の奪い方が緩慢)だと言う事を
覚えて置いてください。

下記のURLを参照してください。↓
http://www.cis.kit.ac.jp/~morita/JP/class/EngMat …

「図7.2 Al-Cu 4wt%合金(2000系)における溶体化・時効処理」を参照してみてください。
この図はジュラルミンが「温度変化によって材料がどのような組織を呈すか」と言う
情報が載せられています。

冷却速度が大きいほど金属材料の温度は急勾配で低下していきます。
図の中の点線(---線)は冷却能力が大きい水冷の際のジュラルミンの温度をしめします。
(1の線を変態開始線、99の線を変態終了線といいます)
この場合、冷却速度が速いために、変態開始線上を通り、析出領域を通過していません。
よって析出物が発生しないために、常温の過飽和固溶体のままですから、焼き入れ処理はしたものの
製品のジュラルミン材料よりも焼き入れ直後の硬度が低くなります。

しかし、これを冷却能力が低い空冷(大気による冷却)で行うと
合金温度をしめす点線(---)はもっと右よりを降下し、変態開始線と変態終了線の間、析出領域を通過させることが
出来ます。そうすると、析出領域ではAlとCuとの化合物CuAl2が析出しますから
焼き入れ直後でも高い硬度を得ることが出来ます。
更に冷却速度が遅くした場合、CuAl2が発生する領域(過飽和固溶体+CuAl2の領域)
を通過する可能性が出てきます。
この場合、焼き入れしながらにして過時効(CuAl2の析出)を起こしてしまいますから高い硬度が
得られなくなります。

>逆に硬度が落ちるそうですがどうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
水冷直後の過飽和固溶体の状態ではジュラルミンは硬度が落ちているものの、
ここから常温では5~7日という時間を掛けて析出が起き、次第に硬度を高めていきます。
ですから質問者さんの教授がおしゃりたいのは、析出が進んでいない水冷直後のジュラルミンの
事を聞きたかったのだと思います。

また前回のお話で空冷で硬くなるというのは、大気による冷却速度が遅く、合金材料が上手く析出領域を
通過させれれば、水冷のような急勾配の冷却を行わなくても析出硬化を望めるとおっしゃりたかったのだと
思います。

尚、ここで注意が必要です。
空冷により300℃付近で析出したAlとCuの金属化合物は、結晶の成長は温度に比例することにより
結晶が粗大で、転移を抑制する力が有効に働きません。
しかし、固溶相が固定された200℃付近よりも低い温度で析出した結晶は、低温で成長が遅く
微細なものであるため、長い時間安定し、転移抑制に有効で、本来合金が持っている高い時効硬化を示します。

多少面倒ですが絶対克服すべき所なので、URLと教科書を見れば解ると思います。
参考になれば。
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この回答へのお礼

熱処理についてはそれほど深く学んではいないのですが、わかりやすい解説でよく理解することができました。

これでやっと謎が解けました、本当にありがとうございました。

お礼日時:2008/10/08 19:18

 結晶が成長して大きくなるからです。

鋼(鉄と炭素の合金)は目立ちませんが、ないわけではない。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました

お礼日時:2008/10/08 18:13

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