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アイヌ語に詳しい方、教えてください。
「ぶっ潰す」はアイヌ語でなんて言うのでしょうか?
このぶっ潰すは、よく悪役とかが
「この糞野郎!!ぶっ潰す!!」
とか言いますよね?その場合のぶっ潰すです。
ぶっ潰すがなかったら、「潰す」でも構いません。
宜しくお願い致します

A 回答 (16件中1~10件)

 専門家がいらっしゃるまでの場繋ぎに



 服部四郎篇『アイヌ語方言辞典』からの孫引きです。
 これには十の方言が記録されていますが「潰す」は千島方言を除く9方言について記録があります。

1。八雲方言 penere (クチャクチャに) teye(変形、だんご等)

2。幌別方言 yaku, yakupa

3。沙流方言 yaku(他)(単) yakpa(複) yakyaku(他)(単), kakyakpa(複)

4。帯広方言 potceka(他)(おせんべい等)

5。美幌方言 peneka(他)(卵・果実), kaptek(自)(ぺしゃんこになる)

6。旭川方言 yakpa(yakはない) penaka teye(単)teypa(複)(ふみつぶす)

7。名寄方言 yaku, yakpa

8。宗谷方言 nunpa

9。樺太方言 poci(他)(トマト・カボチャ等を、また固まった粉、米、石をくだく)

 以上です。

この回答への補足

すいません、もしお手数でなければ、お願いがあります!!
もし良かったら、その英語の読み方を全部カタカナで書いていただけないでしょうか?
できればで大丈夫です!!

補足日時:2010/02/25 13:54
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この回答へのお礼

とても詳しくありがとうございます!!感謝感激でございます!!
本当にありがとうございました!!

お礼日時:2010/02/25 13:52

 #1です。



 沙流方言の最後「kakyakpa(複)」と書きましたが「yakyakpa(複)」の間違いです。お詫びして、訂正します。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!!

お礼日時:2010/03/01 20:56

唯の一般人ですが、アイヌ文化や言葉に関心があり、少しばかりユカラ等の物語を読んでいる者です。


中には過激なものもありますが、ご質問の言葉に雰囲気が近いと思われる言葉を探してみました。


【ぶち壊す】toy'ko'perpa (トイコペルパ)

【潰れる】toy'ko'pene (トイコペネ)

【壊す、破壊する】wente (ウェンテ )

【潰す、こねる】nina (ニナ)

【こねて潰す】nina'nina (ニナニナ)

【叩きつける、投げる】sir'ekatta (シリエカッタ)

【ぶち殺す】toy'ko'rayke (トイコライケ)

【~をめった打ちにする】wen'kikkik (ウェンキクキク)


最後の「ウェンキクキク」だけローマ字表記が見つからなかったので、読みから推測して当てました(元の表記では「ク」は小文字表記です)。
なお、回答の参考にしたのは、以下のサイトです。

「アイヌ語電子辞書」
ttp://homepage3.nifty.com/tommy1949/aynudictionary.htm
(直リンクを避けるため頭のhは外しました。アイヌ語の語彙が豊富で、出来れば、左上にある「back」をクリックして、トップページも ご覧下さい。内容が充実した興味深いサイトです。)

「ようこそ、様似アイヌ言語文化研究所へ」
http://city.hokkai.or.jp/~ayaedu/hazime/home.html
1.アイヌ文化のページ
(↑こちらをクリックしてお入り下さい。アイヌ語の方言辞書が載っています。また、こちらのサイトでは伝統芸能、歌や踊りの紹介があります。)

*  *  *  *  *

アイヌ語の読みについてですが、アイヌ語はローマ字表記が主です。
読み方は特殊なものもありますので、以下のように幾つか書き出しました。
アイヌ語は比較的カナ表記が し易い言語と言われていますが、日本語にはない発音もいくつかあり、その大部分が単語(音節)の末尾に子音が来るものがそうです。
これらは、カナ表記するとき小文字で書かれます。

例えば、「ye」は「イェ」、「we」は「ウェ」、「wo」は「ウォ」と言うようにです。

他にも、「ca, ci, cu, ce, co」 と表記したときのカナ表記は「チャ, チ, チュ, チェ, チョ」 で発音は日本語と同じです。

*1「cis」(泣く)と表記した場合、カタカナ表記は「チシ」で、私のパソコンでは正しく表記できませんが、シは本来、促音表記のように小さく書きます。 
また、音節の尾音 -s は、通常 sh(シ)(東京人の箸の「シ」の発音)のように発音します。


「sa,si,su,se,so」は、「サ、シ、ス、セ、ソ」と読みますが、アイヌ語ではサ行とシャ行の区別がありません。
そのためアイヌ語ではサ行・シャ行のローマ字表記は「s」に統一して表記します。

*2 「sumari」の意味は「キツネ」ですが、アイヌ語の読みとしては、「スマリ、シュマリ」の二通りあります。


また、アイヌ語に良く出てくるのが「r」の発音です。
これらは、カナ表記で小文字で「ラリルレロ」と表記するのが通例です。
出てくる場所によって少しずつ音が違って聞こえます。
前の音がア段の音であれば「ラ」に、イ段の音であれば「リ」に近く聞こえます。

*3 kar:カラ(作る)、pirka:ピリカ(美しい)、ker:ケレ(靴)

こちらも、先ほどの「cis」のカナ表記と同様に、私のパソコンでは正しい表記ができませんが、カラ、ピリカ、ケレ の「ラ、リ、レ」はそれぞれ小文字で表記するのが原則となっています。
発音は、日本語のラリルレロよりも軽く、あいまいなものとなります。


更に、特殊なのが「tu」の発音です。
水族館でも見ることが出来る、くちばしの美しい鳥エトピリカですが、これもアイヌ語で「etupirka」と表記します。

  etu :エトゥ(くちばし)、pirka:ピリカ(美しい) 

と、二つの単語から出来た言葉です。 

*4 「tu」は、英語の「two」や「today」の最初の音とほぼ同じ発音です。


こちらの読みの解説は、

『アイヌの物語世界』中川 裕/平凡社ライブラリー

「アイヌ語のローマ字表記(カナ表記)、発音について」
http://www.geocities.jp/ainuitak/hyoki.htm

を主に参考にし、補足を加えて書いています。
リンク先では、ここでは書ききれなかった読みや発音について詳しく書かれていますので、是非ご覧になって下さい。

『アイヌの物語世界』は安価で入手しやすく、アイヌの伝承や文化についてなじみ深い著者が、詳しい記述が平易な文章で書かれており読みやすい良書です。

更に、こちらも併せて読まれると、更に言葉や文化に対する理解が深まると思います。
『アイヌ神謡集』知里 幸惠/岩波文庫
『カムイユカラと昔話』萱野 茂/小学館

二冊目は中古本しか手に入らないかも知れませんが、どちらも図書館で借りることが出来ると思います。
ともに著者がアイヌで、言葉と文化を愛し造詣が深い方達なので、お読みになれば感銘を受けられると思います。
作中にある解説にも大変感慨深いものがあります。
アイヌの世界観の知識が少しでもあると、言葉を覚えるのが楽しくなると思いますので、お時間があれば手に取ってみてください。

また、この場をお借りして、紹介文にある著者の敬称を失礼ながら省略させていただきましたことを お詫びいたします。
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この回答へのお礼

とっても詳しくわかりやすく、本当にありがとうございました!!
また質問で申し訳ありませんが、「悪役をぶっ潰す」などの表現の場合は、「ウェンテ」が一番近いのでしょうか?
もし宜しければ、教えてください。お願い致します!

お礼日時:2010/03/01 21:00

No.3です、回答が一部No.1さんと被りますが再投稿です。


今回も関連がありそうな言葉を含めた回答になっています。


【潰す、砕く、粉々にする】ko'ne're (コネレ) 

【砕ける、潰れる、溶ける】pe'ne (ペネ)

【潰れたいも】pene'emo (ペネエモ)

【潰す】pene're (ペネレ)

【潰す、押し潰す】yakpa (ヤクパ) *クは小文字表記

【潰す、破裂する】yaku (ヤク)

【ひっくり返す、倒す】hokus'te (ホクシテ) *シは小文字表記

【倒す】hose (ホセ)

【薙ぎ倒す】sen'natara (センナタラ)

【完全に殺す】ar'no'rayke (アラノライケ) *ラは小文字表記


今回挙げた単語も前回のサイトを参考にしています。
これより先は長文ですが、更に理解を深めたい、他にも良く分からない
ことがあったので何かしら参考にしたいとお考えでしたら、この先も併せてお読み下さい。

*  *  *  *  *  *

アイヌ語はローマ字やカナ表記が主ですが、いまだに表記法が統一されていません。
約束事はあっても、ローマ字であっても、カナであっても、書き手によって表記の仕方に違いがあります。

前回「ウェンキクキク」(元の表記では「ク」は小文字表記)は、ローマ字表記だと「wen'kikkik」になるだろうと書きましたが、これは、日本語話者が聞き取ると、「ウェンキッキッ」と発音しているように聞こえると思います。
同様に、今回ここで回答例に挙げた「yakpa」は、「ヤッパ」に聞こえると思います。
と申しますのは、前回アイヌ語のローマ字表記の読みの参考にいたしま
した中川 裕さんの『アイヌの物語世界』の中で、次のような解説があるからです。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
《 小文字で書かれた プ、ツ、ク はそれぞれ p、t、k を表す。カッパ、カット、カッコという単語を、カッ(パ)、カッ(ト)、カッ(コ)というふうに、パ、ト、コをいわずにカッでとめてしまうと、それぞれカ“プ”、カッ、カ“ク”で表される発音になる。》

*回答者注:原文と同じ表記が難しい、プ、クなどの小文字変換不能なカナは、便宜上、上記のように“プ”“ク”と“”を使った表記に直しました。以降は、この表記法で解説をしていきたいと思います。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

sap(サ“プ”:下りる)、sat(サッ:乾いた、乾く)、sak(サ“ク”:夏)は、日本語の話者が聞くと、全て「サッ」に聞こえると言われています(発音の違いは上記の《》の解説を参考にしてください)。
これらの様な単語を単独で表現する場合は、小文字のカナ表記を使って問題はありません。

しかし、hoppa(ホッパ:遺す)や yakka(ヤッカ:~しても、だが)などを、「ホ“プ”パ」、「ヤ“ク”カ」とするのは厳密な表記法ではあるものの、アイヌ語の文字表記に不慣れな人がこれを読むときに、「ホプパ」、「ヤクカ」と間違って読んでしまいがちなので、注意が必要だと中川さんは同著の中で仰っています。
発音を文字から学ぶ場合は、日本語の促音に当たる発音は通常のローマ字読みで読む(hoppa=ホッパ、yakka=ヤッカ)のが正解なのだそうです。

ですから、《》の解説と併せて思うに、「ウェンキ“ク”キ“ク”」は「ウェンキクキク」と発音するより「ウェンキッ(コ)キッ(コ)」 から、
「ウェンキッキッ」と読んだ方が発音としては正しいのでは?と推測したのです。
でもこれは素人が言うことで、確実とは言い難いので参考程度に留めてください(他の単語の読みに関しては、大きな間違いはないと思います)。

発音は出来れば、実際にテキストを見ながらCDで音声を聞くと、解り良
いと思います(という私もです)。
なお、STVラジオのホームページでは「アイヌ語ラジオ講座」を利用で
きるとあります。会員登録をすれば無料サービスが受けられます。
http://www.stv.ne.jp/radio/index.html
(左側にある目次の真ん中過ぎに、「アイヌ語ラジオ講座」が載っていますのでクリックしてみてください。) 

また、回答例に挙げました「sen'natara」につきましては、前回も参考に
しました「アイヌ語電子辞書」のサイトの注釈に[ユ]と付記してあり
ました。
そのサイトでは、同様に[ユ]と付記した単語がいくつかみつかります。
ユカラ(英雄叙事詩)とカムイユカラ(神謡)には独特の言い回しがあり、
日本語で「雅語」と呼ぶ習わしになっています(言語学者の金田一京介博士が名付けました)が、これも雅語なので[ユ]と付記してあるのだと思います(表記の解説がみつけられなかったので、これも推測になってしまいますが)。

*  *  *  *  *  *

再投稿ついでと言っては何ですが、もしも、ぴったりな言葉が見つから
なければ、次の辞書を利用しては如何でしょう。

『萱野 茂のアイヌ語辞典』(三省堂)のCD-R0M版は、既に完売で再版されていないようなのですが、書籍の方は増補版として現在もネットや書店で購入可能なようです(しかし、在庫切れのところも多いようです)。
こちらは出版社の紹介文を借りますと、「見出し語数は8,600語あり、丁
寧な日本語訳と背景の説明、そして用例も豊富、かつ、民具などの図版
も320点収録され、巻末に日本語から引ける索引付き」という優れもので
す。
アイヌ語辞典の決定版と言えると思います。
ただ、税込で10,500円と高価です(存在は以前から知っていたのですが、欲しいと思いつつ、中々手が伸びません…)。

他には、中川 裕さんの『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館) も ありますが、税込 9,991円(古書だと幾分安くなりますが) と、こちらも高価です。
萱野さんのCD-R0M版・書籍版、中川 裕さんの辞書は、共に地域で差があるのかもしれませんが図書館を数件あたれば見つけられるかもしれませんね(まだ借りたことはありませんが、萱野さんのは地元にはあります)。
購入は無理でも、萱野さんの著したもののように凄い物は中々無いと思
いますので、機会があれば探してみてください。

比較的安価な物であれば、中川 裕さんと中本ムツ子さんの共著、『《CDエクスプレス》アイヌ語』(白水社・税込2940円)があります。
こちらは、CDが付いたものだそうです。
書籍だけの『エクスプレス アイヌ語』(白水社)は、現在は古本のみの販売のようです。
これらも、図書館で貸し出しているところはあると思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4% …
アイヌ語教室は、北海道に集中していますが、関東にもいくつかあるようですね。
他に、名古屋にも小さな教室があるようですよ。
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この回答へのお礼

ご親切にとっても詳しく、本当にありがとうございます!!
感謝感激です!!ありがとうございました!!

お礼日時:2010/03/01 21:02

No.3,4です。


前回は、長文回答となり失礼いたしました。
アイヌ語の質問は数少ないので、「出来るだけ真剣に答えなくては!」
と、かなり熱の入った回答になってしまいました。
でも、回答していて楽しかったです。

今回は、訂正と補足をしに参りました。
No.3で、《【ぶち壊す】toy'ko'perpa (トイコペルパ)》と書きましたが、正しいカナ表記は、「トイコペレパ」(レは小文字表記)です。
また、同じくNo.3に《【叩きつける、投げる】sir'ekatta (シリエカッタ)》とありますが、正しいカナ表記では、リは小文字表記となります。

あまり、大文字、小文字の表記は気にしなくても良いと思いますし、中には区別なく書かれた物もあります。
しかし、発音を意識して書くとそうなります。

また「y」ですが、これは「イ」と読んで構いません。
多くの記述では、yはイと書かれています。
例えば、「kamuy:カムイ(神)」と言うようにです。
ちなみにカムイについては、知里 幸惠さんは『アイヌ神謡集』の中で「kamui」と表記しています。
これまで私が見てきた感じだと、カムイについては、kamuiよりも kamuy と書かれた物の方が多いような印象があります。
「y」と「i」の発音の違いは厳密にはあるようですが、カナ表記するときはあまり気にしなくて良いでしょう。
「i」を弱めに発音したのが「y」と思って良いと思います。


お節介や失礼になるのではないかと思い、前回は控えましたが、個人的にも関心があり勉強したいので、ここでNo.1さんのご回答の読みをカナ表記し、更に補足をしたいと思います。よろしいですよね?^^;

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

1。penere(ペネレ)、teye(テイェ)

2。yaku(ヤク), yakupa(ヤクパ)

3。yakpa(ヤクパ):クは小文字表記
  yakyaku(ヤクヤク):最初のクは小文字表記
  yakyakpa(ヤクヤクパ):最初のクは小文字表記

4。potceka(ポッチェカ)

5。peneka(ペネカ), kaptek(カプテク):プ、クは小文字表記

6。penaka teye(ペナカ テイェ)、teypa(テイパ)

7。yakpa(ヤクパ):クは小文字表記

8。nunpa(ヌンパ)

9。poci(ポチ)

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

これまでに紹介させていただきました電子辞書サイトでも、No.1さんのご提示なさった語句を捜してみましたが、見つからない物もありました。potceka、peneka、yakyakpa、nunpa、poci、teypa がそうです。
アイヌ語には方言がありますので、そちらのサイトでは、あまり扱ってない方言なのかもしれません。

アイヌ語では、同じ言葉を繰り返すことによって、語気を強めることが出来ます。ですから、「yakyakpa」については、yaku や yakpa よりも念入りに潰すと言う意味ではないかということが推測されます。

また「teypa」ですが、これは「teye」(電子辞書サイトの訳語は「押さえる」)と関連が深い様に思えます。
yakyakpa も teypa も最後に、「pa」が付いていますが、ご回答の中にも複数形であることが書かれていますが、pa には「複数の者で行なう、何回も行なう 」と言う意味があります。
このことから、yakyakpa も teypa も、単に yakyaku、teye とするよりも程度が強い印象を持ちました。

「peneka」については言葉の構成が解らなかったのですが、ご解説に他動詞とあるので、「penere」が pene (砕ける、潰れる、溶ける)に、「re」(~させる、~られる)が付いて助動詞化される様に、「ka」が後に付くと他動詞化されるのかもしれませんね。
「ka」に、その様な働きがあるかどうかまでは、調べても解りませんでした。

「potceka」 については、言葉の組成の手掛かりが掴めませんでしたが、「poci」と「nunpa」 については、関連が深そうな言葉が見つかりました。
まず、「poci」についてですが、「yaci'poci」(ヤチポチ)とは「泥をこねる」と言う意味だと解りました(yaci とは、谷地(低湿地、谷)のことで、アイヌ語が語源と言われています)。
だとすると、ポチには「こねる」と言う意味があるとの推測が可能です。
potceka と poci にも関連がありそうです。
(poci + ka = potceka …だとか?ちょっと無理矢理ですかね。)

また「nunpa」ですが、これに関連が深そうな言葉として、「i'nunpa」(イヌンパ:酒搾り(をする))と「numpa」(ヌムパ(ムは小文字表記):しぼる)があります。
i'nunpa の「i」の意味は、「それを」もしくは「物」という意味になると思います。
(ちなみに、イオマンテとは、i「それを」+oman「行く」+te「何々させる(使役動詞語尾)」という意味。「それ」とは恐れ多いカムイの名を直接呼ぶ事を避けた婉曲表現。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA% …
アイヌは、元々お酒は神様に捧げる物と考えていましたから、私としては、イオマンテの説明にある「i」の解釈で良いのではと考えています。 
つまり、 

 「(神様のために)それをしぼる」→「酒を搾る」→「酒搾り(をする)」 

のように、意味が変化していったのではないかと思います。
以上のように、i'nunpa の「nunpa」と「numpa」 では、表記も発音も微妙に違いますが、同源の言葉でありそうです。

ここで、ちょっと表記の仕方について解説を入れたいと思います。
これまでの私の回答例にあったように、 i'nunpa と「'」で区切って表記しているのは、参考にしたサイトの表記をそのまま採用したからなのですが、i'nunpa とは、「i」と「nunpa」の二語からなるので、その様な表記となります(今までの回答に挙げた言葉も同様です。表記には統一はなく、「-」で区切ってあったり、そのまま続けて書いてあったりと表記の仕方は書き手によりまちまちなのです)。
回答に挙げた言葉は辞書サイトからの引用なので、「'」が付いていますが、普通に物語を読むときは、そこまで厳密には表記されていないと思います。

最後に「kaptek」ですが、これは辞書サイトには「kap'tek」((どたっと)寝ている)とありました。
No.1さんの ご解説には、「ぺしゃんこになる」とありましたが、なるほどという感じがします。
平らになっている様子を言うのでしょうね。

*  *  *  *  *

結局、今回も長文になってしまいました。
でも、やはり好きなことを回答するのは楽しいです。
調子に乗って、「雷電」のアイヌ語も調べてみました。
雷電とは『大辞泉』によれば、「かみなりといなびかり。雷鳴と電光」。

     kamuy'imeru  稲妻 雷光 


おお、ぴったりの言葉がありました。
質問者さんは、「カムイイメル」さんと言うことになります。

勝手に色々書籍を お勧めしましたが、最後にもう一つ。
 
   『アイヌの碑』萱野 茂/朝日文庫

ぜひ、ぜひ、読んでいただきたいと思います。
こちらは文庫本も出ていて、安価で入手も容易です。
タイトルからすると、暗いとか恨み辛みの物語のように思えてしまうかもしれませんが、人間らしい人間、「アイヌ ネノアン アイヌ」となるように、お祖母さんの教えを守り通した萱野さんの珠玉の名作です。
涙してしまう場面もありますが、読後感は涼風が吹き抜けるように爽やかです。
人間はどう生きるべきかが、この本には詰まっています。

これを読んでからアイヌ語に触れると、言葉がいっそう輝きを増します。
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この回答へのお礼

とっても沢山、さらに凄くご親切に「雷電」のアイヌ語まで教えていただき、本当にありがとうございます!!
雷電という言葉は大好きでしたので、雷電のアイヌ語を知れてとっても嬉しいです!!
本当にありがとうございます!!私もアイヌ語に興味を持ちました!!
沢山のご回答、さらに詳しくわかりやすく、とてもご親切に答えていただき、本当にありがとうございました!!

お礼日時:2010/03/01 21:07

#1です。

ご要請通り、片仮名を付け加えます。


1。八雲方言 penere (クチャクチャに)ペネレ teye(変形、だんご等)テイェ

2。幌別方言 yaku, yakupa ヤク、ヤクパ

3。沙流方言 yaku(他)(単) ヤク、yakpa(複)ヤクパ、 yakyaku(他)(単)ヤクヤク, yakyakpa(複)ヤクヤクパ

4。帯広方言 potceka(他)(おせんべい等)ポッチェカ

5。美幌方言 peneka(他)(卵・果実)ペネカ, kaptek(自)(ぺしゃんこになる)カプテック

6。旭川方言 yakpa(yakはない)ヤクパ penaka teye(単)ペネカ テイェ teypa(複)(ふみつぶす)テイパ

7。名寄方言 yaku, yakpaヤク、ヤクパ

8。宗谷方言 nunpaヌンパ

9。樺太方言 poci(他)(トマト・カボチャ等を、また固まった粉、米、石をくだく)ポチ

 以上です。
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この回答へのお礼

ご親切に、本当にありがとうございます!!
とっても助かります!
ありがとうございました!

お礼日時:2010/03/02 15:07

>また質問で申し訳ありませんが、「悪役をぶっ潰す」などの表現の場合は、「ウェンテ」が一番近いのでしょうか?



初めにお詫びしておきます。
ご期待に添える自信はありませんが、前回にも増して長文投稿です。

これまでも、はりきって回答しておいて申し訳ないのですが、単語を調べることは出来ても、やはり、しっかりした辞書を持っていないので、私には意味合いの違いまでは正しく解説できません。m(_ _)m
というか、調べれば調べるほど難しい気がしてきました(回答の最後でも触れていますが、表記法が統一されていないことなど)。
前回紹介させていただきました、『萱野 茂のアイヌ語辞典』なら、語句の詳しい解説と用例が載っているというので、それを片手になら理解が深まるのでしょうけれど、詳しい用例無しだと私には予測しかできないのです。
それでも宜しければ、アドバイスとして回答したいと思います。


また、この「ぶっ潰す」という言葉のニュアンスを、もう少し詳しく教えていただけますか? 
日本語の表現から、イメージを把握したいと思います。
図書館などで辞書を手にする機会が持てて、これは!と思うものを見つけられたら、報告させていただきたいと思います。
締め切り日のご予定などあれば、併せて教えてください。
そして、間に合わなかったら、、、
すみません、そのときはギブアップしたと思ってください。


質問者さんが持っているイメージは、次のうち どれが一番近いのでしょうか?

1.懲らしめるのが目的。(実際に格闘してやりあう) →「叩きのめす」

2.組織として機能しなくなるのが目的 →「転覆させる」                   
3.存在その者を消し去ることが目的 →「地獄送りにする」「根絶やしにする」
                  

「1」の意味であれば、次などが該当するのでは?と思います。
なかでも、sen'natara だと、大勢と闘う勇猛果敢な猛者というイメージが湧きます。

【叩きつける、投げる】sir'ekatta (シリエカッタ)
【~をめった打ちにする】wen'kikkik (ウェンキクキク)
【薙ぎ倒す】sen'natara (センナタラ)

 
「2」であれば、次のようになると思います。

【ぶち壊す】toy'ko'perpa (トイコペレパ) 
【壊す、破壊する】wente (ウェンテ) 


「3」であるとすると(物騒ですが)、このような表現になると思います。

【全滅させる】a'supuya'sakka (アシュプヤサクカ)
【皆殺しにする 絶滅させる】ar'ustek'ka (アラウシテクカ)
【完全に殺す】ar'no'rayke (アラノライケ)  


なお、表記に関する読みやカナの細かい注意点は、No.3の回答時に解説しましたので、今回は省略しましたことを予めご了承下さい。
今回の回答も、今までの参考リンク先にあった解説から推測した部分が多いのですが、それでも何か手掛かりが見つかったり、一助となるならば幸いに思います。                 
*  *  *  *  *

まず、「toy'ko'perpa」を分解して考えてみたいと思います。

  toy'ko':強く(強意)  perpa:壊す、割る、破る

ということから私は、この言葉には、ただ壊すのではなく、ひどく壊れた様子、「壊れ方の程度が甚だしい」というイメージを持ちます。
例文などが載ったきちんとした辞書から学ぶのが一番良いと思いますが、関連語からもある程度は、語意が推測できるのでは?と思いました。

・ni'perpa(ニペレパ):薪割り → ni:木 perpa:割る     

・yasi'perpa(ヤシペレパ):断ち割る
 → yasi:断つ?…yaske(裂ける)・yaspa(裂く)と同源語?
   perpa:割る

・sapaha'prerpa(サパハペレパ):頭が切れる
 prerpa:割れる 傷つくことも prerpa と言う。
 *参考:http://www.geocities.jp/ainuitak/23.htm 
  
   sapa(サパ):頭、sapaha(サパハ):~の頭
  
perpa については、今回の参考リンク先(サパハペレパ)の解説を読むと、物質的なこと(見たまま)だけではなく、心理的なことや形容表現としても使われるようです。
常識的に考えても「頭が切れる」とは、頭が分断されているのではなくて、勘が鋭い、賢いという意味ですよね。
「割れる」に対し、「切れる」と訳が当てられているのは、日本語の感覚にも馴染みます。
この解説の後に、「傷つくことも言う」とあるので、これは心理的なことにも使われるように思えます。


同様に、「wente」についても考えてみました。
電子辞書サイトの表記では、wente は「wen'te」とも表記されています。
このことから、 

  wen :だめだ、悪い、間違っている  te:~させる

のように、二つの言葉が合わさって出来たとの解釈が出来ます。
すると、「wente」には、悪い状態にさせるという意味があるとの推測が成り立ちます。
また、「wente」を含む単語で意味がはっきりしているものの中から、wente という言葉そのものの意義を推測してみたいと思います。

・iwente 人間を悪くする
〈 i:それ、その者を wente:悪くさせる〉

・i'wente'mat 悪妻
〈 i:わたしを・その者を wente:駄目にする(破壊する→破滅させる) mat:妻 〉
   

ウェンテには、心理的・物質的な意味での「壊す」と言う意味があると思われます。


――以上、「トイコペレパ」 「ウェンテ」二つの言葉について考えてみましたが、どちらにも「壊す」と言う意味がありますが、心理的・物質的な意味、どちらの表現も可能なように思えました。

*  *  *  *  *               

ご質問と少しばかり関係があると思ったので、おまけです。

《3.「地獄送りにする」》と最初の方で書きましたが、ユカラでは主人公が魔物と闘って勝利する場面で、魔物を地獄に蹴り落とす様子が描写されることが度々あります。
これは正に、「踏み潰す」という感じで書かれたものも多いのです。
特に、後に載せた例文がそうです。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
カムイ・アオナ イ・イェ・プンキネワ アラ・ウェンカムイ
アラ・ウェン・モシリ ア・コ・キル・ワ 

神なる父が 私を守護し 化け物フリを
悪い国土へ 向けて行かせた
              
『カムイユカラと昔話』萱野 茂/小学館 
           「エゾマツの上の怪鳥」 より
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この話の主人公は、オイナカムイ(オキクルミ)と呼ばれる天界から人間の大地、アイヌモシリに降りて来た神で、人の姿をした文化神です。
雷神の父と先に地上に降りていたハルニレの女神、チキサニ姫との間に生まれたとされています(伝承は地域差があり微妙に異なります)。
ここで言う「アラ・ウェン・カムイ」(まったく・悪い・神)とは、カムイユカラ(神謡)やウウェペケレ(昔話)に悪役として登場する想像上の巨鳥のことです、フリまたはフリーと呼ばれています。
また、「アラ・ウェン・モシリ」(まったく・悪い・国土)とは、pokna'mosir(ポクナモシリ)のことで、意味は「裏側の国土」、つまり地獄のことです。
別名を、「アッ・テイネ・モシリ」(まったく・ぬれる・所)ar'teyne'mosir と言い、じめじめした湿地の暗い国です。
アイヌの世界観では、目に見えるこの世界、大地の裏側にあるとされていました。
そこは、こちらの世界で悪さをした者は、人間も獣も神でさえも追放される恐ろしい国であるとされています。

(*アイヌ語は、語順がほぼ日本語と一致しているので、一語一語を逐語訳しても意味が大体通じます。先ほどの、
「アラ(まったく)・ウェン(悪い)・モシリ(国土)」などもそうです。)


―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
ikkeukiror montumkiror
chiyaikosanke, pon nitnekamui
shikautapkurka chiesitaiki,
kimun iwa iwakurkashi chiekiki humi
rimnatara. Chioanraike pokunamosir
chikootereke. humokake chakkosanu.

私は腰の力、からだの力を
みんな出して、悪魔の子を
肩の上まで引っ担ぎ、
山の岩の上へ彼を打ち付けた音が
がんと響いた. 殺してしまって地獄へ
踏み落としたあとはしんと静まり返った.
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

上記の例文の最後にある、
「Chioanraike pokunamosir chikootereke. humokake chakkosanu.」
について解説してみたいと思います。

先ず、「chioanraike」なのですが、これまでに ご紹介しました「アイヌ語電子辞書」と「アイヌ語のローマ字表記(カナ表記)、発音について」のそれぞれのサイトを参考にすると、「ci oar'rayke」 という言葉からなっていることが解ります。
(* oar+rayke は音素交換の法則〈-r + r- → -nr-〉で oan raykeに変化している)
すると、チ・オアル・ライケ(私が・完全に・殺す)で、「私が完全に殺してしまう」と言う意味になります。
また「チ」(ci)とは、神謡の主人公を表す一人称で、「私は、私が、私の」にあたります。

また、原文にある「chikootereke」の koot が調べても良く分からなかったのですが、恐らくこれは kot で、si'kot も poro'kot も 大きな窪み という意味だと言うことから、「kot=窪み」という意味だと推測しました。 
chikootereke を「chi kot terke 」 に表記し直すと、チ・コッ・テレケ で、「私が・窪み・跳ねる」で、「私が(地面に窪みが出来るほど)飛び跳ねて踏みつける」ということになると思います。
これは、勢いよく踏みつけている様を表現しているのでしょう。
これを知里 幸惠さんは、
   
    (地獄へ)踏み落とす

と表現しています。  

そして最後の一文、「humokake chakkosanu.」についてですが、これを先ほどのように直すと、hum okake cak'kosanu で、「フム・オカケ・チャッコサヌ」 (音・後・さっと晴れる)になると思います。これに、
          
    あとはしんと静まり返った

という訳をあてた知里さんには、やはり並々ならぬ才能を感じます。

今回、アイヌ語と向き合って感じたことは、訳付きの文章を読んでも、辞書サイトを利用しても、原文とは表記が違っていたり、音素交換の法則を知らないでいると、単語を探すことすら難しいものなんだなぁと思いました。
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この回答へのお礼

本当に申し訳ありません!携帯が壊れていて修理に出していたため、こちらのサイトに来ることができずにお礼がすごく送れてしまいました!
本当に詳しく、ありがとうございます!!
こんなにアイヌ語に詳しいとは、尊敬します!!
ありがとうございました!!

お礼日時:2010/03/22 23:39

No.7です。


続けての投稿で申し訳ございませんが、補足と訂正をさせてください。

【訂正】
誤:詳しい用例無しだと私には予測しかできないのです。
正:詳しい用例無しだと私には推測しかできないのです。

【補足】
最後に載せた「おまけ」にあるローマ字の例文の出典は、
知里 幸惠さんの著書『アイヌ神謡集』の中からのもので、
―― 小オキキリムイが自ら歌った謡 「この砂赤い赤い」 ――
です。
ここに登場する私とは、少年オキクルミのことです。
また、オキキリムイはオキクルミのことです。
オキキリムイの父親(カンナカムイ・雷神)とニッネカムイ(悪魔)はチキサニ姫を巡って激しい戦争をしたことがあるので、その子供であるオキキリムイと悪魔の子は敵同士なのです。

【付記】
この物語は知里 幸惠さんの実弟、知里 真志保さんも執筆し自らの著書にも収めていますが、後に深沢 一夫さんが脚本を手掛けた人形劇、『チキサニの太陽』のモチーフにもなりました。
さらに、これを原案として作られたのが、高畠勲さんが中心となり、宮崎駿さんらと制作した東映のアニメ映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』です。

*  *  *  *  *

雷電さんとのやりとりは、本質問が初めてですが、こんなに長文になってしまったとは我ながらびっくりです。
単語以外の話も盛り込んでしまったので、読むのは大変だと思いますが、参考にしていただけたら嬉しく思います。

この次投稿させていただくときは、もっと読みやすく、要領よくまとめるように頑張りますね。それでは!
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この回答へのお礼

ありがとうございます!!
私もあなたと沢山やりとりできて、本当に嬉しいです!!
沢山の長い文章を書いていただきまして、本当にありがとうございます!!

お礼日時:2010/03/22 23:41

お久しぶりです。

No.3,4,5,7,8です。
最初の投稿から間が開いてしまいましたが、ご覧頂ければ嬉しく思います。
なお、これまで迂闊にも見落としていた文章がありましたので、ご紹介いたしたく、今回も再投稿させていただくことにしました。
また、今回の回答で私からの提案は出尽くしましたので、これを最後にしたいと思います。
結局、今回も長文回答になり申し訳ないのですが、お時間があるときに読んで頂ければ幸いです。

*  *  *  *  *

前回も ご紹介した 知里 幸惠さんの著作『アイヌ神謡集』にある、
 
 “小オキキリムイが自ら歌った謡 「この砂赤い赤い」 ”  

には、次のような一節があります。
(ローマ字の文章と日本語訳は、知里 幸惠さんの原文をそのまま載せ、これにカナ表記を付しました。
なお知里さんの表記法は、これまでの回答でご紹介した現在広く使われているアイヌ語の表記法とは やや違いますが、小学校で習うものとほぼ同じです。)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
“Achikarata sonnohetap
eiki chiki ukirornukar aki kushne na.”

アチカラタ ソンノヘタプ 
エイキ チキ ウキロルヌカル アキ クシネ ナ。

「生意気な、本当に
お前そんな事をするなら、力競べをやろう。」
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

これは鹿の群れ、魚の群れを根絶やしにして、人間界を飢餓に陥れようとした悪魔の子が、それを阻止した少年オキキリムイ(オキクルミ)に腹を立て、取っ組み合いの闘いを挑むシーンです。
「力競べ」とは、つまり相撲のことなのですが、話の結末で悪魔の子が少年オキキリムイによって地獄に蹴り落とされてしまった(詳細はNo.7後半にあるローマ字の例文と解説をご覧下さい)ように、これは命懸けの真剣勝負なのです。

悪魔の子の心情としては、ご質問にあるセリフ、
「この糞野郎!! ぶっ潰す!!」
まさに、そんな感じだったと思います。
なお、この話は「オイナ」(聖伝)と呼ばれるもので、「オイナ」の主人公は身分が高い文化神、「アイヌラックル(アエオイナカムイ、オキクルミと同一視されている)」である為か、原文も訳文も言葉が整っていますが、内容はかなりシビアです。

*  *  *  *  *

《語句の解説》
achikara  「きたない」。おかしい、生意気なという意味をふくむ。
      (↑『アイヌ神謡集』知里幸惠・注釈より)
 aci:汚い acikarata:おやおや

sonno   本当に まことに
hetap   だろうか

e     お前
iki    する 行動する e'iki:お前がそうする
chi (ci) 私       神謡の主人公達が使う人称接辞
ki    ~する     ci'ki:私はそうする

u お互い 互いに
kiror   (大)力
nukar 見る 見える  
u'kiror'nukar:(互いの力を見る) 力くらべ
      u'kiror'pakte 力くらべ(する) ko'pakte:比べる 
          
aki (a'ki) (a:私 ki:~する) 私はそうする
kusune ~するから         
na ~よ ~ぞ ~から (念押し)

kusune'na *  ~するからね ~するからな 
〈 *原文では“kushne na”「クシネナ」とあり、上記は「クスネナ」で、発音と表記が微妙に違いますが、元は同じ言葉と思われます(方言の違い?)。萱野 茂さんの『カムイユカラと昔話』にも「クシネナ」とあります。〉 

*  *
   
「acikarata」(アチカラタ)とは、知里 幸惠さんの注釈からも解るように侮辱の言葉です。
知里さんは、これに「生意気な」という訳を当てていますが、他にも「おやおや」と訳されるなど、相手を小者扱いして馬鹿にするセリフです。

同じく『アイヌ神謡集』に収められている物語で、

 “小狼の神が自ら歌った謡 「ホテナオ」”

がありますが、この中で小狼の神に出会った小男が、小狼の神の悪戯に腹を立て、次のように言っています。

“tan hekachi wen hekachi” 
タン ヘカチ ウェン ヘカチ
「この小僧め 悪い小僧め」
(tan:この wen:悪い hekachi:少年 子供)

同著にもあるかどうかは解りませんが、他には、このような言葉があります。

wen'pe ウェンペ  悪いやつ (wen:悪い pe:やつ)

wen'sikesar'pe ウェンシケサラペ ならず者
 sik'esar  わがまま 横暴
            
wen'sampe'kor'pe ウェンサムペコルペ  ずるいやつ 
 wen'sampe'kor ずるい(根性が悪い) (sampe:心 精神 kor:持つ)

*  *

ここで、No.7にある単語の発音のカナ表記を一部訂正させてください。

・wen'kikkik (ウェンキクキク) → ウェンキッキク
・a'supuya'sakka (アシュプヤサクカ) → アシュプヤサッカ
・ar'ustek'ka (アラウシテクカ) → アラウシテッカ

「ウェンキクキク」の「キクキク」の「ク」は、実際には二つとも小文字表記なので、その通りに表記し、正しく発音すれば誤りではありませんが、ここでのカナ表記は発音の混乱を避けるため、「ウェンキッキク」(末尾のクは小文字表記)になおしたいと思います。
「アシュプヤサッカ」 「アラウシテッカ」も同じです。

理由は、No.4の回答に書いた通りです。↓

>hoppa(ホッパ:遺す)や yakka(ヤッカ:~しても、だが)などを、「ホ“プ”パ」、「ヤ“ク”カ」とするのは厳密な表記法ではあるものの、アイヌ語の文字表記に不慣れな人がこれを読むときに、「ホプパ」、「ヤクカ」と間違って読んでしまいがちなので、注意が必要だと中川さんは同著の中で仰っています。
発音を文字から学ぶ場合は、日本語の促音に当たる発音は通常のローマ字読みで読む(hoppa=ホッパ、yakka=ヤッカ)のが正解なのだそうです。(“プ”“ク”は、このときの解説の便宜を図った表記で、実際は小文字の「プ」と「ク」を表しています。)


【まとめ】
長々と失礼しましたが、今までこのご質問に投稿した自己回答の中では、今回の冒頭に挙げた「この砂赤い赤い」にある表現が一番しっくりするように思えます。なお、

“アチカラタ ソンノヘタプ 
エイキ チキ ウキロルヌカル アキ クシネ ナ。”

の「エイキ チキ」の「チ」ですが、この「チ」は神謡では、「私」と訳されますが、日常会話だと「我々」 「私たち」という意味になります。
これらは、神謡独特の表現を含んでいると思われますが(“エイキ チキ”で「お前がそうするならわたしはそうする」のような対語的表現)、これを日常会話の人称に直すなら、「チ」を「ア」に直す必要があります。よって、次のようになると思います。

“アチカラタ ソンノヘタプ 
エイキ アキ ウキロルヌカル アキ クシネ ナ。”            
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この回答へのお礼

先ほども書きましたが、携帯を修理に出していてお礼が送れてしまい、本当に申し訳ありません!
もう、こんなに沢山の文章を書いていただきまして、本当に嬉しすぎます!
あなたをお気に入りユーザーに登録させていただきました!
これまで沢山の文章、そして詳しく書いていただき、本当にありがとうございます!!
回答は4月のはじめごろに締め切らせていただこうと思います!
本当に今まで、ありがとうございました!!
こんなに丁寧に優しくご回答してくれて、とっても嬉しいです!!
本当に、本当にありがとうございました!!

お礼日時:2010/03/22 23:47

最後と言いながら再再々…投稿のNo.3,4,5,7,8,9です。

^^;
すみません、今回もカナ表記(No.9)を訂正させてください。
投稿翌日に、ふと気が付いて、直ぐにでも訂正したかったのですが、パソコンを家族と共有して使っているので、中々投稿できませんでした。

うっかりミスが近頃は頓に多く、訂正投稿を重ねて方々でご迷惑をお掛けしております。
――というわけで、自分でも恥ずかしく思っていたところ、思いがけず お褒めに与り、光栄に思うやら恐縮するやらです。
けれども、好きな分野で回答して褒めていただけるのは、やはり嬉しいことですので、これは素直に喜ぼうと思います。^^
もっとスッキリまとめられたらとガックリしていたので…。
こちらこそ、ありがとうございます!!元気が出ました!!!

これで文法がしっかり理解できていて、何も調べずにスラスラ答えられたら、仰ることに対して謙遜せずにいられるのですが、実際はまだまだで、少しばかり良い書籍や資料を知っている、その程度ですが、、それらを御紹介できただけでも参加した意義があったと思います。

*  *  *  *  *

【No.9 カナ表記の訂正】

今回の訂正は《語句の解説》に挙げた読みから入りたいと思います。
正しい読みは以下の通りです。

  ukirornukar = u'kiror'nukar = ウ キロロ ヌカラ
  wen'sampe'kor'pe = ウェン サムペ コロペ

ukirornukar とは“u'kiror'nukar” と三語からなり、語句の解釈は前回書いたとおり“互いの・力を・見る”で「力くらべ」です
なお、“kiror”のカナは「キロロ」で、正しい表記法では末尾の“ロ”は小文字で、“nukar”のカナは「ヌカラ」で“ラ”は小文字です。
また、wen'sampe'kor'pe の“sampe”のカナは、「サムペ」で“ム”は小文字、“kor”の読みは「コロ」で、こちらも正しい表記法では“ロ”は小文字となります。

“m”は口を閉じたまま「ム」と発音すると正しい発音が出来る(中川 裕さんの『アイヌの物語世界』で解説があります)ということですが、「ン」に近い発音になると思います。
知里 幸惠さんと同じくアイヌ出身で日本語とアイヌ語のバイリンガルだった萱野 茂さんは、ローマ字を習う機会のなかったアイヌのおじいさん、おばあさんたちにも気軽に読めるよう、自らの著作にはアイヌ語のローマ字表記はしなかったそうですが“sampe”のことを「サンペ」と表記しています。

*  *

【アイヌ語の表記と『アイヌ神謡集』】

“kiror”や“nukar”など音節の末尾に出てくる「-r」の表記法を考案したのは知里 幸惠さんなんだそうです。
このことは、中川 裕さんが自著『アイヌの物語世界』の中でも称えています。
No.3の回答時に
《(-rは)カナ表記で小文字で「ラリルレロ」と表記するのが通例です。出てくる場所によって少しずつ音が違って聞こえます。
前の音がア段の音であれば「ラ」に、イ段の音であれば「リ」に近く聞こえます。》
と、「-r」について解説しましたが、幸惠さんはこれらの発音の違いを意識した表記をしたので、師にあたる金田一京助博士は、以後ローマ字の表記もこれに倣ったそうです。
(幸惠さんは『アイヌ神謡集』の執筆にあたり、金田一博士の自宅に身を寄せ、博士にアイヌ語を教えたり、まだ幼かった博士の息子さんのお世話をしたり、英語の勉強をしたりして過ごしていたそうです。)

また、アイヌ語には「バビブベボ」と「パピプペポ」の発音の違いはない“アイヌ語の話者には違いは聞き取れない”と書かれたものもありますが、元々は差があったようで、「パピプペポ」の方が古い発音のようです。

というのは、知里 幸惠さんが、伯母の金成 マツさんの言葉や表現が、お祖母さんのモナシノウクさん(金成マツさんと幸惠さんの母ナミさんの母親。当時、ユカラの優れた伝承者として評判の人物であった)とは違うと金田一博士に話していたということが博士の著作(『アイヌ叙事詩ユーカラ集1』金成まつ筆録 金田一京助訳・注)の中に書かれていたと私は記憶していたからです。
それを読んだのはずっと以前なので、細かいことは忘れてしまいましたが、幸惠さんは、お祖母さんが「ハポ、ユピ、サポ」(hapo:母、yupi:兄、sapo:姉)と発音するところを、マツさんは「ハボ、ユビ、サボ」(habo,yubi,sabo)のように発音したり表記したりと、混乱があると博士に言っていたという内容の記述がありました。
お祖母さんの世代と伯母さんや母親の世代では発音に差があることを幸惠さんは気が付いていたのです。
(ちなみに、No.3の回答で御紹介した「アイヌ語電子辞書」はアルファベット順に表記されていますが、“b”で始まる言葉は載っていません。)
お祖母ちゃん子だった幸恵さんは、伯母のマツさんよりもアイヌ語には造詣が深かったそうで、モナシノウクさんにとっても自慢の孫娘であったようで、大変可愛がっていたそうです。

『アイヌ神謡集』が世に生まれる数年前、金田一博士はユカラの採録の為、モナシノウクさんを訪ね、まだ15歳だった幸惠さんと出会いました(その当時、幸惠さんは、お父さんの高吉さんが猟で不慮の事故から多大な借金を負ったため、伯母の金成マツさんのもとで娘として暮らし、お祖母さんとも同居していました)。

このとき、幸惠さんの語学力や文学の才能に感銘を受けた博士は、幸恵さんに上京を勧めました。
これに幸惠さんが応える形で誕生したのが、アイヌの手による初の文学作品『アイヌ神謡集』です。
生来心臓が弱かった幸惠さんは、この原稿を書き上げた後、休息に病が悪化し、自らの書籍を手にすることなく、わずか19歳でこの世を去りました。

*  *

【文章のカナ表記の訂正とまとめ】

訂正を重ねてまでも、アイヌ語のカナ表記に拘ったのは、そういった背景をわずかでも知っていたからです。
訂正を重ねる前に しっかり読み返して、じっくり内容を練って投稿すれば良かったのですが、アイヌ語の回答をする機会は少ないので、私自身が気が急いて熱くなっていたのが影響してしまったようです。m(_ _)m

――ということで、多々ご迷惑をお掛けしましたが、No.9の回答に載せた、

 “アチカラタ ソンノヘタプ 
  エイキ チキ ウキロルヌカル アキ クシネ ナ。”
を、
 “アチカラタ ソンノヘタプ 
  エイキ チキ ウキロロヌカラ アキ クシネ ナ。”
に直したいと思います。

なので、日常会話に合わせて人称接辞を手直しした No.9の最後に載せた文章も次のようになります。

 “アチカラタ ソンノヘタプ 
  エイキ アキ ウキロロヌカラ アキ クシネ ナ。”

今までの自分の投稿を読み直しましたが、今度こそ訂正はないと思います。
脇道に逸れたり訂正を重ねたりで、ゴシャゴシャしてしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。m(_ _)m
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