プロが教えるわが家の防犯対策術!

はじめまして。

今度、米文学の作家の小説を戯曲にして、上演しようと思っています。
それから、戯曲に構成しなおすにあたって、太宰治の小説の短編の数節と、
他にもう一つ小説から数行、台詞に引用@転用があり、
それから谷川俊太郎さんのみじかい戯曲から1場引用しています。
公演自体は入場無料なので、利益は発生しません。

この場合計4つのところに上演許可を取るのが妥当なのでしょうか?
また上演許可というには、その戯曲まるまる一本でなければ申請は受理されないのでしょうか?

もしなにかご存知の方いらっしゃいましたら、教えてください

A 回答 (1件)

>この場合計4つのところに上演許可を取るのが妥当なのでしょうか?


誰からも上演許可を得る必要はありません。自由に公演できます。
著作権法上、営利目的ではなく、入場料を取らず、出演者にギャラが出ない場合は、許可を求める先はありません。だれの許可も要りません。NOとかYESを言う権利のある人はどこにも居ません。
同種の質問は非常に多いですが、素人回答者には大きな勘違いがあり、「自分の意見を言う人」が多く困ったものです。法律による定めなので、正答というものがあります。
著作権法には、「著作権の制限」という項目があり、著作権者の権利の乱用を防ぐため、「もともと権利が及ばない領域」を設定しています。その領域は、「本来は、当然、権利が及んでいるが、特別にお目こぼしをいたします」と言うものでは無く、最初から権利が及んでいないので、許可を得る必要は、最初からないのです。したがって、まったく誰に断ることなく上演すればよいのです。
同じような例で多いのは、劇団四季の演目を高校生が文化祭で上演したいので、劇団四季に許可を求めたらNOと言われた、というものです。
以下、「劇団四季の~」を例として説明しますので、参考になれば幸いです。
もちろん高校生の、入場無料の文化祭での上演は、著作権法上、だれの許可も要りません。
許可を求めるべき相手先がありません。
勝手に上演すればよいのです。上演によって、「劇団四季のホンモノを見てみたいなあ」という人も増えるなどの宣伝効果も期待でき、劇団四季に損害を与えるものは何もありません。過去、劇団四季が学校での無料公演の差し止めを求めた訴訟は、私の知る限りでは一件もありません。
当然最高裁の判例にもありません。「お願い」という主旨の書面をもらったという校長はいますが、訴えをおこされた学校はありません。
著作権について不勉強な顧問の先生や校長先生が儀礼的に許可を求めて、NOと言われて、文化祭での公演がツブされた例があとを絶ちません。劇団四季は、「ウチにはYES・NOを言う権利はありません」と本当のことを言うべきです。それにより劇団四季の値打ちも上がりファンも増えようと言うもので、経営センスの無さには愛想が尽きます。アメリカの原作者がワアワア言うという実情もあるのですが、日本国内では国内法に基づいて応対をすべきだと思います。
また、上演の側も「劇団四季の」という冠を付けるべきではありません。「劇団四季」は商標の問題もあるので使ってはいけません。これを使うことで後述の「同一性」の権利主張を許すことにもなるのです。
原作者や、正当な権利者といえども、著作権法上認められている領域にNOという権利はありません。しかし、もともとNOとかYESを言う権利の無い人でも、許可を求められれば、希望としては「やめて下さい」と言う可能性は大いにあります。法律的にはOKでも、いったん「NO」と言われれば、気持ちの上でもやりにくくなるので、許可など求めてはいけないのです。
NOと言うこと自体が、著作権法上の違法行為になります。
もともと、権利主張してはいけない領域に踏み込んで「NO」と言う権利があろうはずはありません。

一点注意すべきことは、パロディなどで原作を侮辱するような演出にしている場合です。
しかし、それをいちいち許可を求めるとすれば、正当な権利者を探すだけでも大変ですし、台本を添えるなどすることも大変で、相手にとっては無料公演では一文も受け取れないので、審査をめんどくさがって、「いや、うちは何でもNOです!」といわれるのがオチです。
著作権法というのは、「親告罪」と言って、正当な権利者または代理人にしか訴えの権利がありません。第三者が、「腹が立つ」とか「けしからん」と思っても訴えることはできません。
もし正当な権利者から「やめてほしい」という申し立てがあっても、原作を著しく冒涜していない限りは、裁判所が「その公演をやめなさい」と言った判例はありません。
また、たった一回の公演であれば、差し止め請求の対象にもなりません。
ましてや、損害賠償などと言っても、訴えるための訴状に書き込む金額の算定のしようがありません。
劇団四季の場合は、著作権法上ではNOと言えないことはわかっているので、「上演の同一性」ということを盾に取り、照明、音響、演出なども含めてまったく同一でないと困る、などと非現実的な要求を高校生に求めていますが、文化の発展という観点からしても恥ずかしいことです。
上演側も「劇団四季の~」を付けるからこのようなことになるのです。「ライオンキング」なら、「ライオンキング」でよいのです。「ディズニー」のとか「劇団四季」のなどを付ける必要はまったくありません。そのようなものを付けるからややこしくなるのです。

>また上演許可というには、その戯曲まるまる一本でなければ申請は受理されないのでしょうか?
ということで、受理もなにも、申請すべき正当な窓口そのものがありません。

>もしなにかご存知の方いらっしゃいましたら、教えてください
著作権法 第五款 著作権の制限(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

(業界関係者)
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この回答へのお礼

TAC-TABさん

大変丁寧な回答をありがとうございます。
こんなしっかりとした解説を頂けるとは思っていませんでした。
色んな人に聞いても意見がまちまちで、
どれが本当の事なのか分からなくて、どうしても確認して知って置きたかったのです。
稽古が進行しているのに、許可が下りないために上演できないという
最悪の結果にならないかがとても不安で、今回質問させて頂いた次第です。
お蔭様でたいへんよく分かりました。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2011/08/05 01:03

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