5月24日付で木枯らしさんから同じ趣旨の質問が出されましたが、十分回答が寄せられないうちに不適切だと思われる回答がベストアンサーとされてクローズされてしまいました。このままでは読まれた方が誤解する恐れがあるので再度問題として提示したいと思います。
同時に別の空間に存在したものは不可避的に別のものと認識する、それが我々がア・プリオリにもつ論理ではないかと思います。質問した木枯らしさんもベストアンサーのpsytex1さんも不確定性原理を想定しているようですが、それは果たして一つのものが同時に複数の場所に存在することを示しているといえるのかは疑問です。
もし、同時に複数の場所に何かが存在したとして、それらのものが同一のものであるということはどのように証明されうるでしょうか?
No.4
- 回答日時:
これは、「まったく同じ」の定義次第でしょうね。
化学的な組成、素粒子の状態まで寸分違わず同じものであったとしても、別の空間――これはパラレルワールドのようなものの意味だろうか(・・?――にあるのだから、「まったく同じ」ではないと言うこともできます。
こういう話をするときは、まず、「まったく同じもの」とは何か、これを明確に定義し、そして、この定義を互いに了承したところから始めないと、噛み合った議論にならないと思いますよ。
〈同一〉という言葉を違う意味で使っていたら、神学問答になってしまうと思います。
ここなんか、参考になるのではないでしょうか。
同一性
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8C%E4%B8%80 …
回答ありがとうございます。
ご指摘の通り通りだと思います。この問題は既に別の人が提出したものですが、十分なやり取りもないまま八百長的に間違って結論付けられたことに対する抗議の意味であえて再提出したものです。
No.5
- 回答日時:
こんばんは
これはいわゆる「普遍論争」ですね。
詳しくはウィキペディアなどで御自身が読まれるのが良いでしょう。
簡単に言うと、「青さ」や「赤さ」と言った普遍概念に相当する普遍体が存在すると主張する実在論者と、それらは単なる言葉であると主張する名目論者の論争です。小説「パラの名前」で有名です。もちろん結論は付いていません。
これらの違いは、存在するものを外延的に定義するか、内包的に定義するかの違いです(外延性と内包性については集合の2つの定義の仕方を思い出してください)。
外延的定義では、すべての存在するものは、初めに、お互いに識別されます。それから共通性質を持つものを集めてクラスが作られます。一方、内包的定義では、まずクラスが定義され、その実例に属性値を与えることで存在する識別できる個体を作ります。すなわち、内包的定義では、クラスという普遍体がまず最初にあります。大切なことは、外延的に定義された集合には、少なくとも1つの内包的に定義された集合が存在します。
物理的には、外延性と内包性は質点力学と波動力学に対応します。すなわち質点の運動は、波の重ね合わせによって記述することができます。この時、波それ自体は全空間に広がっています。
カントは物それ自体は我々には認識できないと言いました。私たちが存在するものたちを記述するのに異なった方法を使えば、物自体はそれぞれの方法によって異なって見えます。しかし、異なった方法で現象を記述しても、その記述結果は現実に観測されたことに合うように解釈されます。問題はどの方法がより簡潔により多くのことを記述できるかです。
No.6
- 回答日時:
同一性の定義を、
「2つの対象x,yは任意の同じ命題関数Fを満足するときに同一である」
と定義したら、
場所的規定も命題関数Fになりうるので、違う空間にあるものは同一ではないということになる。
この定義はラッセルが与えた同一の定義ですけれども、その源はライプニッツの不可弁別者同一の原理であり、西洋哲学の伝統的な同一性の定義の一つです。
ここなどが参考になるのではないでしょうか。
ライプニッツのモナドロジー
https://sites.google.com/site/kyototekken2011/re …
ヘーゲルの言うように両者が〈まったく同じ〉ものだったら同一性を議論してもしょうがないし、両者(xとy)が同一であるか否かを議論するときは、xとyに違いがあることを前提として議論するものですよ。
「まったく同じ」という曖昧な文学的用語を使っての議論はほとんど意味がない、と思います。
そして、量子力学は、「まったく同じものがない」ことの根拠にはならない。限りなくゼロに近くても、その可能性はゼロではなく、限りなくゼロに近いから、まず、起こりえないとしか答えることができませんから。
場所的規定を取り払ったら、ひょっとしたら、量子的な状態を含めて同じものがあるかもしれない。
日常語でこうした微妙な哲学的問題を語ってはいけないと思います。
質問の趣旨は「一つのものが同時に複数の場所に存在する」ということですが、「日常語でこうした微妙な哲学的問題を語ってはいけない」というのはその通りであると思います。
回答を有難うございました。
No.9
- 回答日時:
二つの素粒子が量子もつれ関係にあって対を成している状態を
重なり合った波の状態と解釈し、それを測定できる状態にしたときに
重なり合った波からの一つの素粒子になって
それがミクロの世界で発現する高次元の空間において存在する状態が
三次元空間上では二か所に存在するように見える
という可能性はあると思います。
No.10
- 回答日時:
古典物理学の範囲の理解であれば、時間は空間とは独立して存在していますので、「同時に別の空間」という問題設定は可能です。
そして、その範囲であれば「同じものが同時に別の空間に存在すること」はありえないという解釈で間違いはありません。
しかし、アインシュタインの相対性理論以降の現代物理学においては、時間は計測する座標系に依存しています。
別の空間の同じ時間というのは、そうなるような座標系をとった結果に過ぎないのであって、別の座標系をとれば異なった時間になります。
結果的に、「同時に別の空間」ということは、観測者次第であって、観測者に依存しない絶対的「同時に別の空間」というのはありえません。
また、「同じもの」というのも、厳密に考えれば極めて難しい話です。
そもそも、ものとはどのレベルのことを言っているのでしょうか。
原子のレベルでしょうか。
素粒子のレベルでしょうか。
このレベルになってくると、存在そのものが極めてあいまいになってきます。
例えば、光子はものでしょうか?
光子がものであるとすると、波動もものと考えることになります。
チリで大地震が起こって、東北地方にチリ津波がやってきました。
この場合は、海の水がやってきたわけではありません。
ただ、波動がやってきただけです。
波はものでしょうか?
ということで、一般的常識すなわち古典物理学の範囲であれば、「同じものが同時に別の空間に存在すること」はありえないということで、問題はないでしょう。
上に書いた議論が理解困難ということであれば、一般的常識すなわち古典物理学の理解でいいと思います。
しかし、人工衛星を飛ばし、GPSを利用するのに必要な、現代物理学では、空間・時間・もの・波動といった全てで、一般的常識とはかけ離れた理論展開がされ、「同じものが同時に別の空間に存在すること」自体意味不明になります。
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『同時に2か所に存在する』は『存在確率が2か所に分布する』とは意味が違います。それを「一般的」に認められた話とするのは強引すぎます。
>「離れた二か所に存在する素粒子が一つの素粒子の表と裏である。」
私の疑問は、離れた二か所に存在する素粒子をどうして一つの粒子であるとみなす必要があるのか、という素朴な疑問です。「表と裏」というのを二つの粒子の密接な関係性と表現することはできないのでしょうか。
あえて神秘的な考え方をしなければならない理由がわからないので、この質問をあげました。