
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
もうすでに皆様から貴重なお答えが書き込まれていますが、もうひとつ、原点に戻った見方が残っているように思います。
パリなどに見る、最初から企画されデザインされた結果としての、整然とした都市景観については、これまでのご回答の通りだと思いますが、もっと広くヨーロッパ全域で考えてみますと面白いことに思い至ります。
ひとつは建材のあり方です。過去には粗雑な材木などで葺いていた屋根が、いつしか恒久的な瓦に変わっていったことはよく知られていますが、ヨーロッパのかなり広い地域で、彼らが作り出す瓦は、もともと鉄分を含んだ粘土を原材料にして焼き上げることから、自然に赤系統の焼き色に仕上がります。さらに釉(うわぐすり)もまた同様に赤系統の発色をするものが簡易に手に入ったということもあります。そして大切なことは、当時ではそんな瓦一種類しか生産出来なかったはずだということです。
このことが、主に中世期に建てられ発展して行ったヨーロッパの都市の、まず屋根に統一性を与えたと思います。つまり、小高いところから見遥かす街の全域がすべて赤っぽい瓦できちんと揃っている、その統一性こそが街の整然さを巧まずして生み出したのだと思います。
壁材もしかりです。漆喰などは雨風を防ぎ見かけを飾る仕上げ材として広く使われましたが、ギリシャなど南部ヨーロッパに見られる漆喰は、それ自体、真っ白な都市景観を生み出しています。あるいは石材そのもののテクスチャーもまた都市景観に大きく寄与しています。つまり、誰もが、どこでも、当たり前に使っていた建材こそが、都市に統一性をもたらしたのだと思うのです。
でも、それだけではありません。中世期から近代まで、建築家、大工、石工、こうした職業に就く人々は、ほとんど徒弟制度の元で腕を磨いていたはずです。彼らは、その土地その土地での環境に応じ、手に入りやすい常識的な建材を元にして、家屋の構造や作り方といったものを伝統的に編み出していたはずです。時代とともに徒弟たちは独立して親方になり、さらに自分の徒弟を育てる側に立つ、そうした歴史の中で、彼らはあくまでも伝統的な工法を忠実に踏襲して行ったはずです。
そんな時代にあっては、丹下健三や、芸術は爆発だと叫んだ岡本太郎などといった先進的な考えを持つ者はまだ異端の徒とみなされたはずです。建材にバリエーションが無く、建築工法に自由度が低かった、そうした時代を想像すれば、都市の景観そのものが、悪く言えばワンパターンに、よく言えば整然とした佇まいを生み出した、そう考えてはどうでしょうか。ついでに書き足せば、電柱が無いのは、単に電柱に使うだけの真っ直ぐな木材が少なかったことによるものだとなにかの本で読んだことがあります。
そして今日、斬新な建材が満ち溢れ、構造力学も発展し、建築美術に限界という垣根が無くなってしまった、そうした環境の下で、こうした中世期の都市景観を振り返るとき、私たちはそこに、統一性というある種の美を見出すのだと思うのです。異論は多々あることでょう、でも、私にはそう思えるのです。
しかし、これらはごく一般的な建築での話です。「なぜ建築物のデザインが素晴らしいのでしょう?」というご質問はやや次元が異なるテーマだと思います。わが国でもはるか古代から、豊富な建材である木材による高度な構造を見せる建築物は数多くあります。そして、そこには当時の英知を積み重ねた想像以上に高度な構造力学が見て取れます。
ヨーロッパでもそれは同じことです。彼らにとっては、やや大規模な建築を考える際に最も身近な建材は御影石、大理石、砂岩など石材でした。互いに接着や緊結をすることが難しい石という建材を自由に用い、高く積み上げ、思いのままの姿に建築するには、そこにやはり独特の構造力学の知識が欠かせなかったはずです。
そして、そこにやはり、大工や石工とは違う、学理的で美術にも通じた専門職が活躍の場を見出したのだと思います。レオナルド・ダビンチもそうですし、サント・シャペルの聖堂を設計したピエール・ドゥ・モンルイユもしかり、そうした建築家と呼ぶべき人々によって、均整のとれた全体構造とともに、エンタシスや黄金分割などを駆使した完璧なまでのバランス、そしてさらには、石を打つ作業とともに発達した美しい彫刻やレリーフといったものも加えられて、後世に残る荘重な建築美が生み出されたと思うのです。
ヨーロッパの街々はとても美しい統一性を見せてくれます。しかし、ここまで書きましたように、一般のための建築群と、宗教などに関係する特別な建築物、さらには、やや後世に見られるようになった意識的な都市景観のデザインと徹底、これら3点は、それぞれかならずしもひとつの理念からスタートしたものではないということも面白いことです。
大変面白く読まさせて頂きました、ありがとう。
ぼくの知りたかった事に近いです。材料に選択肢が無かった。それなら納得です。
伝統的な工法を踏襲した。それも納得。しかし・・
当時から人々の気持ちの中に、美しい景観を作って、それを守ろうという精神があったのでしょうね、そして今でも。
街並を守って、今まで維持してきたということは。
あなたが教えてくれた方向から、もっと調べられそうです、ありがとうございました!

No.4
- 回答日時:
No.2です。
思い出したんですが、ロンドンは、ガス灯のために張り巡らされた地下通路が、つぎの電線を引くときに大いに役に立った、という説を読んだことがあります。それを書いたのがこちら。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/5214838.html
郊外は電線があるとの話も。
余談ですが、東京の場合は大正時代の関東大震災、昭和の第二次大戦の空襲で壊滅した後の復興計画が、財政難、GHQの指示その他もろもろで縮小されたり上手く行かなかったりで、計画通りに行かなかったようです(地方都市は上手く行った例があるようですが)。
東京は東京オリンピック前の突貫工事も影響あると言われていますね、便利になった面はもちろんあるんでしょうが、日本橋の上に高速道路が掛かってしまってる景色が有名です。
戦災復興都市計画
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E7%81%BD% …
ヨーロッパの都市も戦争により破壊された所がありますが、古い建物を修復したり建て直す傾向があるようです。このへんは日本と違う部分か。古く見えて実は新しい部分も。
http://homepage2.nifty.com/norigen/belg/ip.html
旧東ドイツだったドレスデンの聖母教会の再建は有名です。2005年に完成。
こちらの話題にドイツについて詳しく書かれています(No.4)。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6344143.html
ありがとうございます。
日本は日本で、現状がこの国の歴史の積もった結果でしょうか・・
何度も災害でリセットされているんですね。
日本には古いものを大事にしようとする精神が無かったのかも。
貴重な情報ためになりました。
No.3
- 回答日時:
回答No.1氏が書かれているように、法律で規制されているからです。
私はかつてイングランドに暮らしていましたが、自分の不動産であっても、勝手な改築や好きな色に塗り替えることはできません。町全体としての美観を損なうことは、法律で厳格に規制されているからです。言うまでもなく、見苦しい電柱や電線は地中ですし、外から見える場所に洗濯物を干すこともあり得ません。
残念ながら、日本はそこまで配慮する心のゆとりを持てないのでしょう。ヨーロッパから日本に戻り、くもの巣のような電線を見るたび、相変わらず日本は先進国とは差があると実感します。
ありがとうございます。
どうにかならないでしょうか、日本の景観。
古い物を大事にしているヨーロッパの街は、おそらくそこで生活している人々も誇りでしょうね。

No.2
- 回答日時:
規制があるみたいですね。
屋根の色とか、窓枠の大きさや色とか。ちょっと別件ですが、パリの凱旋門の周りは19世紀に整備したそうですから、そこは中世の街並みとは言えないでしょう(中世って12世紀とかそこらへん)。
パリ改造(オスマンのパリ大改造計画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AA% …
都市だとチェコのプラハなどは中世の街並みがよく残っていると言われます。
共産主義政権下で開発されなかったとか、戦火に破壊されずに済んだとか言われています。
日本も岐阜の高山や白川郷のようなところは規制してるみたいですね。
ありがとうございます。
つまり、建設当時から、屋根の色とか、窓枠の大きさに、規制があったんですか!
そんなに昔から、法律で街の景観に拘っていたんですか?
だとしたら美意識がすごいなぁ
明治時代あたりに、日本も景観を統一する法律を作れば良かったのに・・
No.1
- 回答日時:
法律で規制されているからです。
欧州またはヨーロッパのまちづくりとかで検索されると色々でてきますよ。
この回答への補足
それだけ国が力を入れて景観を守っているんですね。
古い時代の建物の景観を残しながら、建物の中だけ改良して現在も人々が生活しているのですよね。
日本で言えば、伝統的な日本家屋の景観をそのままに、景観を保って生活している状況ですよね。
疑問に思ったのは、その古い時代に、なぜあそこまで美しい統一されたデザインにできたか、なのです。
今法律で規制して景観を保っていることではなくて。
当時、街のトータルデザイナーがいたんでしょうか?
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