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昨日始めて劇団四季のオペラ座の怪人を鑑賞しました。

そこで不思議に思ったのですが、ファントムはその醜さゆえ母親にも愛されず親に捨てられたと理解したのですが、一方作曲家で学者で建築家と高学歴ですよね?誰が教育をサポートしたのでしょうか?それとも母親に愛されなかったけど、お金持ちで学費は出してもらったということでしょうか?

またそんな有能で高学歴のファントムがなぜサーカスの見世物になっていたのでしょうか?

わかる方いたら教えてください。よろしくおねがいします。

A 回答 (1件)

オペラ座の怪人は1909年に、新聞記者であり作家でもあったガストン・ルルーによって書かれた怪奇小説です。




そしてその原作以降映画化実に10回前後もあります。
ファントムの設定はその間様々な解釈で書かれていて四季のオリジナルである、
アンドリュー・ロイド・ウェーバー版がどの部分をとっているのか実ははっきりしません。
生来の醜いもの、やけどなどで途中から醜くなったもの、醜いどころか美青年バージョン、
クリスティーヌと実の親子という設定、過去にタイムスリップバージョンなど様々な映画が作られました。


原作では前半がクリスティーヌとラウールの恋愛について書かれていて、
ファントムに限っては正体不明の怪人という書き方です。

後半になってファントムの生い立ちを知っているペルシャ人ダロガの手記という形で正体が明かされていきます。


生来の異常な外見をもち、そのすざまじい顔から親にすてられ見世物小屋に売られてしまいます。
その醜い顔を見世物小屋で化け物として檻の中から人を憎悪しながら育つという設定です。

人前に出れないファントムは学歴というより、
独学で天才的な才能に恵まれていたという書き方をしています。
それは決して学校を卒業したとかではなくその分野の天才だったという書き方なのです。
なので高学歴だったかというとちょっと不明ですよね。


3人の関係性も様々な解釈です。
原作はどろどろした怪奇小説なのであくまでファントムはおぞましい顔のストーカーといった感じ。


実際親子説を取り入れた映画もあるくらいでイメージとしてはかなりファントムとクリスティーヌの年齢も離れている感じです。
ミュージカルの作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェーバーも
最初は年上の父性を思わせるファントムと若いラウールというイメージだったそうです。


そもそもこのミュージカルができたきっかけは、
新婚ほやほやで年若い妻をもらったて浮かれていたウェーバーが
当時の妻であったサラ・ブライトマンのために作ろうと思ったミュージカルだったのです。
「妻(サラ)がクリスティーヌじゃなきゃこのミュージカルは上演を許可しない」とごねて実現したという裏話もあるくらい。
当時ちょっとしたアイドル出身でミュージカルの世界では端役しかしたことのない
サラ・ブライトマンを一気にスターダムに押し上げた作品でもありセンセーショナルでした。
のちに彼女はウェーバーと離婚してアメリカ国籍をとってイギリスからも移住してしまいますが。


ウェーバー版をそのまま2004年に映画化するにあたって改めて、ファントムを若い男性にキャストしたとき、アンドリューは「こういう三角関係をにおわせる若きファントムもありだなと思った」とメイキングで言っています。


そのことからもミュージカル版は、長年愛されなかった怪人が、
初めて人間として存在を許された瞬間を描いたお話という
恋愛とはちょっと違うつくりなんだと思います。

四季版はこれを邦訳しているのでウェーバー版のつくりに準ずると思うのですが、
最近は恋愛関係という設定が少しづつ定着しつつありますね。


「オペラ座の怪人」はじつは続編が本国イギリスでウェーバーによって作られています。
「ラブ・ネバー・ダイ」というタイトルです。

あの後何年か後にクリスティーヌとラウールは結婚し子供もいます。
しかし、夢と芸術に生きるクリスティーヌと社交界で貴族として生きるラウールの間はいつしか冷え切って・・・・というかなり現実的な設定。
そこにファントムが出てきて、続編ではクリスティーヌと心が寄り添っていくのはラウールじゃなくファントムなんです。


これはウェーバー自身が、映画などで恋愛関係になれそうなファントムを描いてから初めて続きを作る気になったとも言っています。

クリスティーヌの思い出を愛おしそうに話す老人ラウールが出てくる、
「オペラ座の怪人」1幕の競売のシーンからは矛盾しています。
この矛盾についてはウェーバーも認めています。


いずれにせよ昔ながらの古い小説で何度も様々な解釈で発表されているので、それを楽しんだらいいと思いますよ。
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この回答へのお礼

ものすごく詳しいのですね。びっくりしました。

ただ、ストーリーとして、正直親に売られて見世物にされていながら、いくら天才といっても独学で学者と建築家と音楽家になるというのは無理を感じますが(そもそも独学できる環境だったとも思えないですし)、その時々でリメイクされてる、というのは理解しました。

それにしても自分で産んでおきながら醜いからって捨てちゃう親はひどいですね。

本当にありがとうございました!

お礼日時:2012/10/31 12:40

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