以前に掲載した記事「目玉焼きは何をかけて食べる?」では日本の目玉焼き事情について調査したが、世界ではどのように食べられているのだろうか。
各国の目玉焼きを調査するとともに、たまごソムリエのまりこさんに国内外の目玉焼きについて伺った。
■世界にはさまざまな目玉焼きの食べ方がある
世界にさまざまな食文化がある中、どのような食べ方があるのか、まずはネットで調べてみた。
中国では日本に似た形で目玉焼きに甘めの醤油や塩コショウをかける。アメリカでは、何もつけずに食べることもある。ロシアの目玉焼きも比較的シンプルな食べ方で、バターを引いたフライパンで調理して食べるのが一般的なようだ。
味の濃いトマトソースやバーベキューソースをかける国もある。
メキシコでは“ウエボス・ランチェロス”という料理で、目玉焼きがのったトルティーヤにトマトソースをかけ、ニュージーランドでは、トマトソースを使用するようだ。アルゼンチンでは“ミラネサ”という料理で牛カツレツに目玉焼きをのせ、さらにバーベキューソースをかけて食べることもあるという凝りよう。
ちなみに、日本では当たり前な調理方法である“半熟”は世界ではあまり一般的でない。海外で流通している卵は日本ほどしっかり品質管理がなされていないことが多く、半熟で食べると食中毒になってしまうことも多いのだ。
■たまごソムリエも驚く世界の目玉焼き
たまごソムリエのまりこさんは、スペインやイギリスの目玉焼きが印象に残っているという。スペインの目玉焼きは、フライパンで焼くのではなくオリーブオイルで“揚げる”のだ。
「スペインではたっぷりのオリーブオイルで揚げ焼きします。さらに食べる時にもオリーブオイルをかけるんです。日本と違う目玉焼きの焼き方にとてもワクワクしました」(まりこさん)
これは“ウエボ・フリート”というスペインの家庭料理だ。また、まりこさんはイギリスの“クラウド・エッグ”(またはエッグインクラウド)という目玉焼きにも驚いたという。
「“クラウド・エッグ”は卵白をメレンゲにしてオーブンで焼き、途中で黄身をのせてまた焼き上げるという、手間と時間のかかる目玉焼きです。手間をかけたことで写真映えする目玉焼きは、SNS時代だからこそ生まれたものなんだろうなと感心しました」(まりこさん)
同じ“目玉焼き”でも、世界にはさまざまな調理方法があるようだ。味も見た目も異なる目玉焼きの数々は、いつもの食卓を豊かにしてくれるだろう。
■たまごソムリエがおすすめする目玉焼き料理
目玉焼きを使ったさまざまな料理を考案しているまりこさんに、おすすめの食べ方を教えてもらった。
「目玉焼きは料理のランクを上げてくれる素敵なトッピングです。白いご飯だけでなくナポリタンやハンバーグなどに目玉焼きをのせるだけで豪華になり、食欲も湧いてきます。その中でも私のおすすめは“しょうが焼き”に乗せることです。香ばしいしょうが焼きと半熟の黄身をまとった白身のハーモニーを味わって頂きたいです」(まりこさん)
目玉焼きの効果でしょうが焼きが何倍もおいしくなるという。最後にまりこさんは目玉焼きをはじめとした卵料理についてこう語ってくれた。
「日本人ほど卵料理に感心を持つ国はないと思います。日本の卵は生でも食べられるほど安全なので、同じレシピでも火の入れ方次第で全く違う食感に変わるのが楽しいですね。料理をされる方も、食べる専門の方も、自分好みの卵の焼き加減や卵料理を探す楽しみを味わってもらいたいです」(まりこさん)
シンプルな目玉焼きにも多様な食べ方がある。気になった目玉焼き料理があれば、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:たまごソムリエまりこ
千葉県出身、東京都在住のフードコーディネーター。夫婦ともに無類の卵好きで、二人で年間700個以上の卵を食べる。卵のソムリエ検定「三ツ星タマリエ」に合格。