■低温調理ってどんな調理法?
そもそも「低温調理」とはどんな調理法なのだろう。
「低温調理とは、真空にした状態の食材を一定の温度(低温)で長時間加熱する調理法のことです。正確には『低温真空調理』といいます」(清水さん)
低温にするだけでなく、「真空」で「長時間」加熱する調理法だという。そのことにより、食材の触感がよくなり、うま味が増すとのこと。
「しかしながら100度以下の低温の管理は難しく、従来ではスチームコンベクションなど大型の設備や真空用の専用フィルムが必要でした」(清水さん)
スチームコンベクションとは、学校給食やホテルなど、大量の調理を行う場所で使われる大型オーブンである。その理由もあり、一般の家庭では行われてこなかったようだ。
■低温調理器ってどんな器具なの?
では今話題になっている低温調理器は、どのような器具なのだろうか。
「低温調理器とは、低温調理を手軽に楽しめるようにしたものです。鍋などの容器に入れることで、張った水の温度と保持時間を設定することができます。その中にジップ付き袋などで真空状態にした食材を入れるだけで、本格的な低温調理の味を楽しむことができます」(清水さん)
低温調理器とは、鍋などに入れて使う調理器具で、時間と温度の設定ができるのが特徴だ。ジップ付き袋ならスーパーなどでも気軽に買える。
■低温調理のおすすめレシピはこれだ!
テレビで観たのだが、低温調理で下ごしらえした豚カツはお店の味に引けをとらないレベルだそうだ。
「低温調理はとんかつやローストビーフ、ステーキの下ごしらえや、サラダチキンなど、塊肉のうま味を活かす料理に向いています」(清水さん)
どうやら、肉料理に向いているらしい。清水さんおすすめレシピはなんだろう。
「安価で栄養価の高い鶏むね肉を、手軽に柔らかく、おいしく仕上げるサラダチキンが特におすすめです」(清水さん)
早速、サラダチキンの作り方を教えてもらった。
【材料】
・鶏むね肉 1枚(約300g)
・塩 小さじ1
・砂糖 大さじ1/2
・片栗粉 大さじ1/2
・その他こしょう、ハーブなどお好みの香辛料 適量
【作り方】
1) 鶏むね肉に塩小さじ1をすり込み、室温に15分ほど置く。出てきた水分を紙で押さえるようにふき取る。
2) 1)に砂糖と片栗粉をすり込み、ジップつき袋に入れて空気をしっかりと抜く。
3) 水を張った鍋に低温調理器を入れて、60度、1時間半を設定する。水が60度になったら2) を入れる。
4) タイマーが鳴ったら取り出し、粗熱が取れるまで外に置く。
「冷蔵庫で3日、冷凍庫で1カ月持ちます。味付けはお好みですが、シンプルに仕上げたほうがサラダやサンドイッチ、パスタなど応用範囲が広がります。切り分けたら早めに使い切りましょう」(清水さん)
少し手間はかかるが、冷凍庫に入れれば長持ちするので、ストックしておくと便利だろう。お店の味を手軽に作れるならうれしい。
低温調理とは「低温」「長時間」「真空」がポイントの調理法であることが分かった。肉料理が特におすすめで、やわらかくておいしいお店の味を家庭でも作れることが大きな魅力だ。慣れてしまえばいたって簡単な調理法なので、一度試してみてはいかがだろう。あまりのおいしさに、食生活が変わるかもしれない。
●専門家プロフィール:清水季代
管理栄養士、フードコーディネーター。親子食育を目的とした「せたがやはらぺこだん」代表。保育園栄養士勤務経験を活かした、子どもも好きな味付けで体に優しいお料理を得意とする。