皆さんはスーパーなどで買った精肉を、洗ってから調理するだろうか。野菜、果物は土や汚れがついていることが多く、洗うのが常識である。しかしパック詰め・ラップ掛けされたお肉となると目に見えた汚れはない。「教えて!goo」にも「鶏肉は洗ってから使う?」と、ユーザーから質問があり、疑問を持つ人は少なくないようだ。果たして、洗うべきなのか、洗わない方がよいのか。今回は料理研究家の川端さんに話を聞いてみた。
■調理前にお肉を洗う?洗わない?
まずは、ダイレクトに質問してみた。
「通常、私たちが購入する精肉は加工された肉のことを指し、特に日本においては、食肉加工の技術、衛生管理が優れています。よって、洗うことによりかえっておいしさ(うま味)が失われてしまいます」(川端さん)
海外では事情が異なることもあるかもしれないが、日本では洗わずに使用できるとのこと。洗うことでうま味が損なわれてしまうので気を付けたい。
「しかし、冷凍肉などを解凍した際に、ドリップ(赤い汁)が出ているときがあります。仕上がりが血生臭くなり、他の食材にも臭いが移るため、肉に付着したドリップはペーパーで、ふき取るようにしてください。ただし、内臓肉は水で洗ってから、十分な加熱が必要です」(川端さん)
解凍した際によく現れるドリップと呼ばれる赤い汁はペーパーで拭き取れば、うま味が逃げないので安心だが、内臓肉など、部位によっては処理が変わってくるとのことなので扱う際は注意が必要だ。
■ひと手間かけておいしく
味が落ちるという点で精肉は水で洗わないほうがよいことが分かった。よりおいしく調理をするためにかけるひと手間として、どんな処理の仕方があるのか、引き続き川端さんに聞いてみた。
「豚の角煮に使う豚のかたまり肉や、おでんに使う牛すじなどは、茹でこぼし(一度沸騰した湯にさっと入れて、洗い流すこと)をすることで、余分な油分や、アクを取り除き、冷めてもおいしい料理になります。この作業はひと手間かかりますが、するとしないでは、仕上がりが違います」(川端さん)
少し高度なテクニックにも思えるが、作る料理によっては、サッパリ上品な仕上がりになるという。最後に、調理する際の注意点があるというので伺った。
「安全のために、生の肉を扱う調理の前後の手洗い、調理器具の洗浄は、きっちりしましょう」(川端さん)
生肉には菌が多く付着しており、迂闊に口にすると食中毒の危険性がある。食中毒は、梅雨など暑い時期だけでなく、年中起こりうるので注意が必要だ。安全面には十分配慮し、おいしく調理できるように心がけたい。
●専門家プロフィール:川端 寿美香
日本野菜ソムリエ認定料理教室「Maman’s Dream」主宰。自宅や外部で食育や魚食普及、美と健康、アンチエイジング等の食生活、料理方法などを含めたセミナー講師として活躍の場を広げている。