■0〜2歳向け!親子で一緒に読みたい絵本
まずは、0〜1歳向けの『じゃあじゃあびりびり』(まついのりこ、偕成社)。「みず じゃあじゃあじゃあ」「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」といった、様子、音、動きなどを表すオノマトペが詰まった絵本だ。
「多数の擬音語・擬態語があるなか、こんなにも赤ちゃんが好きな音だけをよく集めたものだと感心するくらい、どのページをめくっても赤ちゃんがニコニコしています。絵の色使いも独特で、めくりやすく、なめても丈夫なボードブック。五感すべてを使ってまるごと楽しめる絵本です」(茅野さん)
音の響きで聴覚を、絵の色彩で視覚を刺激できるのが絵本の魅力。続いて紹介する1〜2歳向け『だるまさんが』(かがくいひろし、ブロンズ新社)も、音の響きが楽しい一冊。
「赤ちゃんの絵本は、大人にとっては時に退屈なものもあることでしょう。でも、この絵本は、だるまさんがかわいくユーモラスなので、大人も本気で楽しめるところが最大の魅力。読むときは、大人がだるまさんのまねをして大げさに体を動かしてみることをオススメします。思い切って、自分を捨ててとことん読み切ってみてくださいね」(茅野さん)
大人が楽しんで読むと、それが赤ちゃんにも伝わるのだそうだ。
■3〜4歳には、成長を祝ってこんな絵本を
物語への理解力が発達し始める3〜4歳には、オランダ人作家、ディック・ブルーナ作のロングセラー『ちいさなうさこちゃん』(福音館書店)を。「ミッフィー」の名前で馴染みがある人も多いだろうが、日本で最初に出版されたころは「うさこちゃん」と呼ばれていた。
「ちょうど3、4歳くらいのちょっぴり手が離れ始めたお子さまへ、あらためて『あなたがどれだけ周りから祝福されて生まれてきたか、そしてどれだけ慈しみ育てられてきたか』を、シンプルに、決して押しつけがましい表現をせず、温かくじんわりと伝えることができる。そんな絵本だと思います」(茅野さん)
世界各国で何世代にもわたって愛されるブルーナの絵本。一冊は持っておいて損はないだろう。
■文字を読めるようになった子どもへのオススメ絵本
5〜6歳にオススメなのは、『へんしんトンネル』(あきやまただし、金の星社)。トンネルを抜けるとなぜかいろいろなものに変身してしまうという物語だ。
「言葉をだんだんと巧みに操れるようになってきて、ひらがなも読めるようになり、どんどん『言葉』の楽しさにはまっていく年代にぜひオススメです。自分でもへんしん言葉を考えてみるなど、楽しさが絵本を閉じた後もずっと続きます。もし、まだ字をそれほど読まなくても、絵で類推して読めてしまうのが、またいいところ」(茅野さん)
クイズ形式で読むのも楽しいそうだ。
最後に紹介するのは、6歳〜小学校低学年向けの『だってだってのおばあさん』(さのようこ、フレーベル館)。「だってわたしはおばあさんだから」が口ぐせのおばあさんが、猫と心を通わせる作品だ。
「教科書に登場するお話ですが、ぜひ絵本でも読んでほしいです。おばあさんなのに、どこか子どもっぽくて笑ってしまうところが、子どもにとって親近感がわくかもしれません。設定も展開も、そして絵も、本当によくできていると読むたびにほれぼれする佐野洋子さんの本です。一人で読んでいると、不思議と声に出して読みたくなってくる軽快さがあります。我が子が私のためにこの本を読んでくれたことがあって、感動しましたね」(茅野さん)
子どものために買うもよし、自分のコレクションにするもよし。ぜひ、お気に入りの一冊を選んでみてはいかがだろうか。
●取材協力:ブックハウスカフェ
(酒井理恵)