■休眠口座の定義
一般的に使っていない口座のことを休眠口座というが、具体的な定義はあるのだろうか。
「2018年1月に施行された休眠預金等活用法においては、休眠預金等とは『10年以上、入出金等のお取り引きがない預金等』とされています」(全銀協)
新しい法律がいつのまにか施行されている……と、今回知ったという人もいるのでは。何が変わったのだろうか。
「これまでは10年以上経過した預金についても銀行などの金融機関でお預かりしていましたが、休眠預金等活用法の施行によって、休眠預金等は預金保険機構に移管され、民間公益活動に活用されることになりました。日付でいうと、2009年1月1日以降、10年以上に渡ってお取り引きがない預金等が対象となります」(全銀協)
民間公益活動に活用されるということは、その預金はもう引き出すことはできないのだろうか。
「いいえ、休眠預金等として移管されたあとも、口座情報や名義人本人であることが確認できれば、お取り引きがあった金融機関で引き出すことが可能です。具体的な手続きについては、金融機関によって異なりますので、詳しくは該当の金融機関にお問い合わせください」(全銀協)
基本的には窓口へ、当時の通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持っていけば引き出せるとのこと。なお、結婚をして苗字が変わった場合は、新・旧の姓を確認できる証明書が必要になるが、その場合は戸籍謄本、戸籍抄本、受理証明書などを用意しよう。
■合併した場合は合併後の金融機関に問い合わせを
筆者はかつて第一勧業銀行を利用していたのだが、富士銀行などと合併してみずほ銀行となった。ほかにも、三菱銀行、東京銀行、三和銀行、東海銀行などは三菱UFJ銀行に。三井銀行、太陽神戸銀行などは三井住友銀行に。協和銀行、埼玉銀行、大和銀行などはりそな銀行になった。そのような場合、すなわち合併してしまいどこに問い合わせすればいいかわからなくなり、休眠口座になっている時はどうすればいいのか。
「合併後であっても、合併前の口座情報や名義人本人であることが確認できれば、払い戻しに応じることは可能です。この場合も必要な書類や手続きについては金融機関によるため、合併後の金融機関にご相談ください」(全銀協)
利用しなくなってから、どんなに時間が経っていても金融機関側で口座情報や本人確認ができれば預金は引き出せるようだ。
■通帳の記載は途中までで正確な残高がわからなくても大丈夫?
休眠口座に残している金額を正確には覚えていない場合はどうだろう……。
「ATMで残高照会というのは難しいかもしれませんが、基本的には通帳やキャッシュカードがあれば、該当の金融機関の窓口で対応してくれます。ただし、利用していなかった期間や利用者の手元にあるものによって対応は異なりますし、金融機関によって扱いが異なります。こちらも、該当の金融機関に問い合わせをして、手元の書類や状況について説明し、相談してみてください」(全銀協)
ちなみに「残高が数百円などと少なく、引き出しに行くほどでもない場合、そのまま放置してもいいのか?」と質問してみたが、それには回答しかねるとのことだった。自己責任の範疇になるようだが、気分的にすっきりするためにも、引き出すなり、口座閉鎖なりの手続きをしたほうがよいだろう。
●専門家プロフィール:一般社団法人 全国銀行協会
日本国内で活動している銀行を直接の会員とする組織。国内の銀行業界の代表として、「適正な消費者取引の推進」、「銀行業務の円滑化」など、銀行業の発展のためにさまざまな活動をしている。