■神様からのおさがりは、その日中に食すのが基本
そもそも、なぜ神棚にお供えが必要なのだろうか。
「神棚へのお供えものとは、『神様に対する食事』とする場合が多く、基本的には皆様が毎日食事をするのと同様に、神様にも召し上がっていただくことをイメージしてください」(川西さん)
毎日のお供えものは、米・水・塩。これに加えて、毎月1日と15日の月2回、お神酒とよばれる日本酒や榊(ツバキ科の植物)を交換するのが基本だ。
「米・水・塩は毎日上げ下げをして、その日に下げたものは神様のおさがりとして、日々の食事とともにいただくのがベストです。日々の生活と等しく、食後に片付けるというイメージをしていただくと分かりやすいかと思います。あまり長期間上げっぱなしにしてしまうと、傷んだりカビが生えたりしてしまいますので、それはお供えものとしてはふさわしいと言えなくなってしまいます」(川西さん)
米・水・塩を毎日の夕食で使い切ることは、それほど難しくないだろう。しかし、榊や御札の交換、お供え用の皿が割れてしまった場合など、食べられないものについてはどうすればよいのだろうか?
■燃やせるものは近くの神社などでお焚き上げ
「基本的に榊や燃やせるものに関しては、地元の氏神様や近くの神社などでお焚き上げしていただくのがよろしいかと思います。割れた陶器類は、受け取って頂けない神社も増えていますので、感謝の気持ちを込めて塩で清めて不燃ゴミに出していただいても構いません」(川西さん)
以上が基本の作法だが、
「神道の特色を色濃く取り入れている教派というのはございます。こちらに関しては、それぞれ信仰している教えにそって行っていただくのがよろしいかと思います」(川西さん)
とのこと。神道とは日本独特の宗教で、特定の教祖や教典などが存在せず、さまざまな神様を信仰する多神教のこと。信仰している教えによって作法が違う場合があるので確認しよう。ちなみにお供えについては、
「必ずしも毎日行わなければいけないという決まりはなく、すべてをその日に使い切らないといけないわけでもありません。神様への感謝の気持ちがあれば、ご自身にとって無理のない間隔でも構わないかと思います」(川西さん)
だという。神様への感謝の気持ちがあれば、お供えものを腐らせたりカビを生やしたりといったことは起こらないだろうが、あまりルールにこだわり過ぎる必要はないようだ。
●取材協力:伊勢宮忠
伊勢神宮のお膝元、外宮前で80年続く神棚・神具の製造販売店。茅葺神殿をはじめ、神社や教会、屋内・屋外の社殿、結婚式場の設計・施工、神祭具および調度品、各種お宮、御霊舎の製作販売等を行う。
(酒井理恵)