【大喜利】【投稿~9/18】 おとぎ話『桃太郎』の知られざるエピソード

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日本古来の伝統工芸「金継ぎ」で修復した食器は前と同じように使えるの?

日本古来の伝統工芸「金継ぎ」で修復した食器は前と同じように使えるの?大切にしている食器が割れてしまったら、きっと誰もが「元に戻したい」と願うだろう。「教えて!goo」にも「割ってしまったお気に入りの食器を復活できる?」という質問があり、最適な方法について様々な意見が寄せられていた。「割れた食器を復活させるなんて難しいのでは……」と思うかもしれないが、実は日本古来の伝統工芸「金継ぎ」で修復可能だ。今回は、その魔法のような技術に関する情報を金繕い(きんつくろい、「金継ぎ」と同意)の工芸作家・白鳥由加利さんに聞いた。

■金継ぎは日本独自の修復技術


そもそも金継ぎとはどのようなものだろうか。

「現在国内で行われている金継ぎには、大きく三つのタイプがあります。一つは、本格志向の本漆(ほんうるし)を使用する手法、二つ目は接着剤やパテを使用する簡単金継ぎ、そして三つ目が、その二つの中間として合成漆を使用するものです。今回はその中で日本の伝統的技法である『本格志向の本漆による金継ぎ』を中心に紹介したいと思います」(白鳥さん)

本漆とは樹木の漆から分泌される乳白色の樹液で、古くから食器の塗料や接着剤などに使われている天然由来の素材だ。

「金継ぎは、縄文時代から培った本漆を利用する技術が元になっています。室町時代に、舶来品の茶道具の修復に応用して完成したそうです。歴史ある日本独自の技術なのです」(白鳥さん)

その技術の詳細をさらに聞いた。

「ほとんどの工程は本漆を基本材料として、仕上げの装飾として金属粉で蒔絵(まきえ)を行います。蒔絵は見た目を整えるための工程です。金属粉は歴史的観点から金、銀が主流ですが、錫(すず)、真鍮(しんちゅう)などの別の金属粉もあります。さらには本漆の色仕上げなどもあって、仕上げには様々な選択肢があります」(白鳥さん)

ちなみに白鳥さんは「陶磁器の修復は『漆繕い』から発祥したので私は『金繕い』という言葉を使っています」とのことだ。

■食器の欠損も修復可能


食器を誤って落とし、真二つに割ってしまうこともあるだろう。このような状況にも対応できるのだろうか。

「基本的には可能です。日常生活で生じる欠け、ひび、割れはもちろんのこと、一部が欠損していても修復できます。日本人の物を大切に慈しむ心から発した技術ですが、器を再使用できるサスティナブルな点、金継ぎした姿をアートと見立てる趣向で、最近は海外でも注目されているんですよ」(白鳥さん)

見た目だけではなく、修復した食器の機能についてはいかがだろう?

「たとえばドリンクやスープ用のカップでも、修復前と同じように使えます。ただ、安全性や耐久性を考えて、糸や和紙での補強をおすすめします。注意点としては、金継ぎした器は完全に以前の状態に戻るわけではないので、“電子レンジや食洗機を使用しない”、“両手で丁寧に扱う”といった配慮は必要です」(白鳥さん)

ひと口に金継ぎといってもいろいろな手法がある。それぞれの食器の用途に合う手法で行うのがベストということだ。

■仕上がりにかかる日数はどのくらい?


対象にするものや金継ぎの手法によるが、一般的には仕上がりに1から3ヵ月を要するという。やはり時間はかかるものなのだろうか。

「そうですね。時間がかかる主な原因は、メインの素材である本漆が固まるのに相応のインターバルが必要なことです」(白鳥さん)

時間を短縮する方法はあるだろうか。

「難しいのですがしいていうなら、そのための適切な環境を整え各工程を無駄なく作業することでしょう。どの手仕事にも共通することですが、時間を優先すれば完成度が下がるなど、何かが犠牲になります。人工的な接着剤やパテではなく、漆という自然素材を使うということは、どうしても一定の時間が必要になるということです。金継ぎを行う側、依頼する側双方が漆の特性を理解した上で取り組んでいただきたいと願っています」(白鳥さん)

金継ぎは専門家に依頼する他に、一般の方を対象とする教室が全国各地で開催されている。自分で修復することで、唯一無二の美しさに出会えるのも魅力だ。「割れてしまったものはしょうがない」とあきらめる前に、日本の伝統的な技術での修復を一考してみてはいかがだろうか。


●専門家プロフィール:白鳥由加利
金繕い工芸作家。藤那海工房主宰。美術大学を卒業後、インテリア関係の仕事を経験。金繕いとの出会いを機に工芸家・原一菜氏に師事。現在は陶磁器の修復請負の傍ら自宅工房やカルチャーセンターで金繕いを教えている。著書に「金繕いの本」(ブティック社)がある。HPInstagramで情報を発信している。

画像提供:AdobeStock
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