![気象予報士に聞いた!どうして冬は乾燥しやすいの?](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/watchmain/d/542301348_5a654506c5319/ORG.jpg)
■冬に乾燥する原因は、「季節風」と「気温の低さ」
お話を伺ったのは、ウェザーマップの冨永幸さん。
「日本では、冬に日本海から北西の季節風が吹きます。この風に含まれる水分は、日本海側で雪を降らせることになります。一方、太平洋側には乾いた風が吹くことになるので、太平洋側の地域の冬の降水量は少なく、空気は乾燥しやすくなっています」(冨永さん)
新潟をはじめ、日本海側は雪が多いイメージがあるが、これは季節風が原因のようだ。水分をたっぷり含んだ季節風は日本海側にたくさん雪を降らせた後、山脈を越えて乾いた空気となって太平洋側へと抜ける。そのため、太平洋側は晴れの日が多く乾燥しやすくなる。
「また、気温が低いと空気中に含むことができる水蒸気の量が少なくなってしまうこともあげられます。そもそも湿度とは、空気中に最大限に含められる水蒸気の量とその時の水蒸気の量の比率で表します。この『最大限に』というのは気温に左右されます。気温が高いと空気中にたくさん水蒸気を含むことができます。逆に、気温が低いと水蒸気を少ししか含むことができず、仮に湿度が高くても乾燥を感じやすいといえます」(冨永さん)
必ずしも「乾燥する=湿度が低い」というわけではないそうだ。
■部屋の中が乾燥するのはなぜ?
外が雪や雨でも、部屋の中で湿度が低くなるのはなぜなのだろうか。
「暖房器具の影響です。ただ、暖房器具が除湿をするわけではありません。例えばヘアドライヤーは熱風が出てくるだけですが、髪の毛は十分に乾きますよね。でも決して除湿しているわけではありません」(冨永さん)
これには、先ほどの「湿度は空気中に最大限に含められる水蒸気の量とその時の水蒸気の量の比率で表す」、「気温が低いと空気中に含むことができる水蒸気の量が少なくなってしまう」という原理が関係する。
「気温が低い部屋の中の湿度が100%だったとします。そこに暖房器具で温度を高くすると、最大限含むことができる水蒸気の量が大きくなります。その結果、湿度が低くなるのです。水の量は同じなのに器だけ大きくなってしまったような感じですね」(冨永さん)
部屋の中の水蒸気の量は変わらないのに、部屋の温度とともに水蒸気の量の上限が変わってしまうことが原因のようだ。
「つまり、冬は屋外も屋内も乾燥しやすくなっていますので、体調管理をするためにも加湿などの対策が必要かと思います」(冨永さん)
空気が乾燥すると、肌荒れや風邪などの原因にもなる。湿度計などでこまめに部屋の湿度をチェックするのもおすすめだ。
なお、教えて!gooウォッチでは「医師に聞いた!オフィスでの乾燥対策」という記事も公開している。併せてチェックしてみてほしい。
●専門家プロフィール:冨永幸
数理科学科のある高等学校に進学。最先端の科学授業を受講したことで地球温暖化などの環境問題を入口に、気象に興味を持つようになる。大学では理工学部に在籍。一般企業での就業を経て、2016年3月に気象予報士を取得。2017年よりウェザーマップに所属。KHB東日本放送「突撃!ナマイキTV」「スーパーJチャンネルみやぎ」出演中。
(酒井理恵)