■昼夜逆転生活が体内時計の乱れを招く
そもそもなぜ、生活リズムを保つことが重要なのだろう。
「体内時計の乱れを防ぎ、質の高い睡眠をとるためです。身体のメンテナンスは眠っているときに行われます。日中の注意力や集中力を保つためにも良質な睡眠が必要です。生活リズムが乱れると睡眠の質が下がり、身体へ多くの悪影響が出てしまいます」(森さん)
コロナ禍でのライフスタイルの変化で、「眠れない人が増えているようだ」と森さんは言う。
「家で過ごす時間が増え日中の活動量が減り、なかなか寝付けない人が多いのでしょう。寝付きが悪くなると起床時間が遅くなります。そのため体内時計が乱れてしまい、悪循環に陥っていると考えられます」(森さん)
自粛生活でのストレスやネットへの依存も、眠れなくなる原因のようだ。
■日中の活動が心地よい睡眠を誘う
昼夜逆転を直すためにすぐにできることはあるのだろうか。森さんに有効な方法を教えてもらった。
「いちばん手軽なのは、朝起きたときに太陽の光を浴びることです。起床時に日光を浴びると、12~14時間後にメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されます。日中はしっかりと身体を動かしてください。家の中でストレッチなどをしてもよいでしょう。一日の終わりには、お風呂に入って身体を温めることが有効です。深部から温めることで放熱が進み、眠りにつきやすくなります。寝る1時間前くらいまでに入るのがベストです」(森さん)
朝の日光浴や昼間の運動、夜の入浴などの習慣が、スムーズな入眠を促す。さらに睡眠の質を高めるには「生活にメリハリをつけること」だという。
「起床時刻は一定に保つことが大切です。テレワークにより就業時間があいまいになってしまうこともよくありません。オンオフの切り替えができないとなかなかリラックスできず、眠る前に考え事をしてしまう人が多いようです。頭をしっかりと休ませることも、よい睡眠には重要です」(森さん)
テレワークの状況下でも「仕事の時間帯を決める」「起床時間をいつも通りに設定する」など、生活リズムを保つ工夫が大切だ。趣味や運動を取り入れしっかりとリフレッシュすることも必要だという。今回のアドバイスをさっそく実践し、良質な睡眠をとりながら健康的な生活を続けていきたい。
●専門家プロフィール:西川株式会社
創業1566年の老舗寝具店。「よく眠り、よく生きる」をコンセプトに布団やマットレスをはじめとした寝具、インテリア用品やベビー用品、医療機器など幅広い商品を開発・販売している。