
■山椒の旬と楽しみ方
山椒といえば「粉山椒」を思い浮かべる人が多いと思うが、季節によって旬の部位や楽しみ方が異なるようだ。
「山椒の若葉である『木の芽』は3~4月が旬です。田楽やお吸い物に添えると香りがよくなります。『花山椒』は5月頃が旬です。若葉のあとに出る淡い緑の小さい花で、お吸い物に入れたりつくだ煮にしたりします。独特の辛みは少なく、香りや食感が楽しめますよ」(はーたんさん)
独特の辛みが少ない『木の芽』や『花山椒』は、山椒と気づかず食べていたという人もいるかもしれない。次は実の楽しみ方だ。
「『実山椒』は6月が旬です。青い実なので『青山椒』と呼ばれることもあります。普段目にする『粉山椒』よりも香りや辛みが強いです。ちりめん山椒やつくだ煮にすると、爽やかな香りがプラスされます」(はーたんさん)
その実が熟すと、使い方が変わるようだ。
「秋になると『実山椒』が熟して固くなり、皮がはじけます。その皮を乾燥させて粉末にすると、うなぎなどにふりかける『粉山椒』となります。旬は10~11月です。大根おろしにふりかけて、卵焼きや焼き魚と食べるとおいしいですよ。お味噌汁にかけると、いつもと違った風味を楽しむことができます」(はーたんさん)
春先の木の芽が出るころから、秋の実が熟したあとまで長く楽しめることがわかった。
■山椒を使ったレシピ
山椒の風味を活かしたおすすめレシピを教えてもらった。まずは定番の「ちりめん山椒」からだ。
「材料はちりめんじゃこ(70g)、酒(大さじ1)、しょうゆ(大さじ1)、みりん(大さじ1)、粉山椒(小さじ1)です」(はーたんさん)
作り方は、フライパン一つで簡単だ。
「まず、ちりめんじゃこをカラカラになるまでから煎りします。酒、しょうゆ、みりんを加えて水分をとばしましょう。最後に山椒を入れて混ぜてください。山椒はお好みで量を調整します」(はーたんさん)
次に鶏肉のうま味が引き立つ「鶏肉のてりやき山椒」をご紹介しよう。
「材料は鶏肉(1枚250gほど)、塩(少々)、こしょう(少々)、酒(大さじ1)、みりん(大さじ1)、しょうゆ(大さじ1)、砂糖(小さじ1)、粉山椒(小さじ1/4)、サラダ油(大さじ1)です」(はーたんさん)
つづいて作り方だ。
「鶏肉は余分な脂肪を取り除き、皮目に数カ所フォークで穴をあけ、塩こしょうで下味をつけます。フライパンに油をひき、中火で鶏肉を皮目から焼きましょう。へらで押しつけながら、焼き目がついたら裏返し、ふたをして中~弱火でさらに5分焼きます。余分な油をペーパーで拭き取り、酒、みりん、しょうゆ、砂糖を入れて、とろみが出るまで煮立たせます。鶏肉を食べやすい大きさに切って、粉山椒をかけたら完成です」(はーたんさん)
ごはんに合いそうな食欲のわくメニューだ。山椒を加えることで味だけではなく、体にうれしい働きもあるとか。
「山椒には胃腸を温めて消化を助ける働きがあるので、脂っぽいうなぎに定番で用いられます。同じく肉料理の味付けに使ったり、副菜に使ったり、脂っぽいものと一緒に食べると、消化をサポートしてくれます」(はーたんさん)
爽やかな香りと刺激的な辛さがある山椒は、料理に変化をつけたいときに使うのもよいそうだ。木の芽から乾燥した実の皮まで、季節に合わせてさまざまな形で堪能してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:はーたん
栄養教諭、管理栄養士、調理師。子供たちが心身ともに健康的に過ごすためのサポートを目指し、栄養諭として小学校で食育や給食管理を行う。SNSでは栄養教諭として働く人や目指している人をサポートするために、Instagramにて給食管理や食育指導を中心に情報を発信中。
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