葬儀のオンライン化が実現しない理由は簡単である。それは日本人のマナー遵守の精神が邪魔をしているからだ。ドライブスルー葬儀やリモート参列、ロボット導師、リモート読経、バーチャル墓など、オンライン化の具体策は数多く登場したが、やはりどこか後ろめたさを感じる。しかし海外ではオンライン化どころか、ゲーム内で葬儀を行うケースもあるという。
■とあるゲーマーの死をゲーム内で弔う
ゲーム内で行われた葬儀とは一体なんなのか。日本だけでなく海外の葬儀にも詳しい、心に残る家族葬という葬儀サービスを日本全国で展開している葬儀アドバイザーに話を聞いてきた。
「イギリスのインディペンデント紙がとあるゲーマーの死に際し、ゲーム仲間による、オンラインゲーム内で葬儀が行われたと報じています」(葬儀アドバイザー)
ゲーマーのゲーマーによるゲーマーのための葬儀。
「はい、正しくその通りです。多人数型のオンラインゲームはクリアを目的に何時間も一緒に過ごすため、仲間意識が自然と強くなるそうです。ですから誰か一人でもログインしなくなれば、当然気づくそうで、それが現実の死が原因だと知られると、その人のための葬儀がゲーム内で自発的に行われるそうです」(葬儀アドバイザー)
オンラインゲームをきっかけに現実世界で交際が始まるケースは日本でも少なくないが、それだけゲームを通じて培った信頼関係は強いということだろう。
■ニーズに応えた開発と特別な充足感を得た遺族
「驚くべきことは、そんなユーザーの自発的な行動に対して、開発もそれに応えるかたちで様々なサービスを提供している点です。あるケースでは、亡くなったプレイヤーのアカウントを、遺族のために一生分利用可能にしたそうです」(葬儀アドバイザー)
これに対して遺族はどう感じたのだろうか。
「遺族も『とても感動的だった。僕たちが知らないところで彼には悼んでくれる大勢の仲間がいた』と肯定してくれたそうです」(葬儀アドバイザー)
調べてみるとFinal Fantasy XIVで行われた、あるユーザーのための追悼式の様子が動画として残っていた。故人のゲーム内のアカウント名(Codex)を人文字で表現している。興味がある人はご覧になってみてはどうだろうか。
■喪失感はオンオフに無関係
オフラインの葬儀には、遠方のため参列できないという物理的な問題が生じる。あるいは親しい友人や家族だけの限られた形式となってしまう可能性も充分にありえる。だからゲーマーにとってゲーム内で葬儀が出来ることは非常に大事で、彼らはそこで仲間を失った悲しみと向き合うことが出来る。
人によっては「ゲーム内での友情と別れ」、ただそれだけのことと思われるかもしれない。しかし実際はそうではない。なぜなら仲間を失った彼らの悲しみと痛みはオンラインではなくオフライン(現実)なのだから。
専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー
火葬料も含まれた追加費用のかからない格安な家族葬を税込み14万3000円から全国で執り行っている。24時間365日受け付けており、寺院の手配や葬儀後の各種手続きなどのアフタフォローにも対応。
記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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