![子どもを叱りすぎる妻、夫は仲裁に入った方がいい?](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/watchmain/3/542301348_5b6a6d9d3621d/ORG.jpg)
■仲裁に入るべき状況
妻が子どもを叱りすぎていると感じた場合、夫が仲裁に入るべき3つの状況について横山さんはこう教えてくれた。
「まず、妻が子どもに対し手を出したり、大声で怒鳴る場合、それは “暴力”なので仲裁に入るべきです。いかなるときも暴力は子育てにおいて何の効力もなく、むしろお子さんが将来、お友達や家庭内で暴力を振るう原因にもなり得ます」(横山さん)
子どもは親から受けた暴力と同じことを、悪気なく他人にしてしまうことがあるそうだ。
「次に、叱っている観点が時間とともに変わってしまう場合です。妻自身が感情をコントロールできなくなっていると察知したときには、夫は妻を落ち着かせるよう声がけを行い、深呼吸を促しながら、お子さんと距離を取らせる工夫をしましょう」(横山さん)
このような場合、5秒吸って5秒吐く深呼吸を妻に進めるのが効果的だそう。
「さらに、叱られているお子さんが泣き止まず、妻の言っていることを理解できていない場合も仲裁に入りましょう。お子さんに恐怖心だけが強く残り、お母さんに対する不信感は増すばかりです。夫はお子さんの逃げ道を作ってあげるべく、『こっちにおいで』などと呼び寄せて抱きしめ、泣き止むのを待ちましょう。落ち着いたら3人で話し合うのもよいですね」(横山さん)
夫が仲裁に入ったとき、妻の感情の矛先が自分に向いてきたら、日頃から抱えている家族への不満が発端になっていることも多いため、お子さんの目の届かない場所へ移動し、その感情をじっくり受け止めてあげるとよいそうだ。
■仲裁が必要ない状況
本来、親が子を叱るということは、「子どもの間違いを注意し理解させること」と横山さん。
「妻がお子さんに対し、叱る理由を説明しながら穏やかに言い聞かせ、お子さん自身がきちんと耳を傾けられているとき、夫は黙ってその流れを見守るのがベストでしょう」(横山さん)
その際、夫は子どもが叱られている内容について同意できる場合と、そうでない場合があるかもしれないが……。
「同意できるなら見守るべきですが、そうでない場合は、あとで夫婦だけで以後の対処法について話し合うとよいでしょう。子どもの目の前で仲裁すると、『自分のせいで大好きなパパとママが言い争いをしている』という思いが生まれ、そのような状況を繰り返すと、『両親が自分のことで喧嘩ばかりするなら、自分なんて要らないのではないか』と、自己否定に発展することもあります」(横山さん)
自己肯定感とは、子どもが健全に成長していくために大切な要素。親が妨げないよう留意したい。
■夫(お父さん)が叱りすぎている場合
逆に、夫が子どもを叱りすぎている場合、妻は仲裁に入るべきだろうか。
「夫が育児熱心だからか、それとも『何でも自分の言いなりにさせたい』という支配欲が強いからかを見極めながら、妻は仲裁に入った方がよいでしょう。子どもを叱るときは、大声を出さないこと、感情的にならないことが大切で、“威力”だけで子どもを諭すことはできません」(横山さん)
子どもを叱るのが妻であれ夫であれ、冷静な言葉で注意することが大切だとわかった。
「子どもに過ちを教えるとき、両親の温かな愛情のもとに叱るのはもちろん、夫婦の子育てに関するベクトルを合わせておくことが大切です。そのベクトルは、向きも長さも太さも同じ方が子どもは安定した育ちをします」(横山さん)
子育てにおける優先度や価値観は、夫婦で異なることもあるだろう。しかし子どもを叱る前に、まず夫婦間でベクトルを合わせるべく、ゆっくり話し合う機会を持ってみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:横山 人美
Keep Smiling代表。パーソナリティーコンサルタント、講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演など多数。前向きな発達障害とのかかわり方を始め、子育てや人間関係の悩みが楽になる心理学を伝えている。