
■実は、冬に限らず楽しめる!?
毎年、冬になるとイルミネーションが増え始めるが、その理由から探ってみた。
「冬は、日が暮れるのが早くなるからでしょう。クリスマスの時期にクリスマスツリーなどに施すのが定番だったことから、その名残もあると思います」(城さん)
寒い中、わざわざ見に行きたくなる、その魅力とはどのようなものだろう。
「イルミネーションの美しく煌びやかな光から、パワーや安らぎ、癒しを与えてもらえると感じるのではないでしょうか。寒い時期なので、イルミネーションを見て暖かい気持ちになったり……カップルがロマンチックなイルミネーションをうっとり眺めると、距離を縮めやすくなることも魅力でしょう」(城さん)
冬限定の風物詩のようだが、夏にイルミネーションは見られないのか。
「最近では、花火や天の川、銀河をイメージしたものが夏にも楽しめるようになりました」(城さん)
城さんご自身も、季節を問わずイルミネーションを設置しているそうだ。
「基本的には季節を問わず、森や海、山などからインスピレーションを受けたアイディアの数々を、よりリアルに形作ることにこだわっています。夏の『サマーイルミネーション』では、ライトアップ用の光ファイバーを曲げて光に丸みを出し、商業施設に光のオーロラや滝などを演出しました」(城さん)
夏は清涼感のあるモチーフが好まれるのかもしれない。幻想的なイルミネーションは、季節を問わず、さまざまな場所に設置されているようだ。
■イルミネーションにも流行がある?
イルミネーションに、流行があるのか聞いてみた。
「最近は、光の調光プログラムを制御し、海の波などを演出する『調光イルミネーション』が流行しています。加えて、プロジェクションマッピングなどの映像演出やレーザーショーとのコラボレーションも増えている傾向ですね」(城さん)
流行を取り入れたご実績についても聞いた。
「調光イルミネーションでは、東映太秦映画村様のイルミネーションイベント『イルミネーション・ファンタジー 光の華まつり』にて、華をテーマにした調光イルミネーションや光ファイバーによる演出を手掛けさせていただきました。コラボレーションでは、清洲城の外壁に、花々などのプロジェクションマッピングとイルミネーションをコラボし演出させていただきました」(城さん)
城さんおすすめの、関東のイルミネーションスポットを挙げてもらった。
「『よみうりランドのジュエルミネーション』や『さがみ湖イルミリオン』は、アトラクションに乗りながら美しいイルミネーションを眺められます。さまざまなイベントも開催され、遊園地ならではの楽しみ方ができますよ。栃木県にある『あしかがフラワーパーク 光の花の庭』は、イルミネーションアワードで7年連続全国第1位を誇ります。花のテーマパークですので、藤棚やバラ園などの光の演出も見事です」(城さん)
ジュエルミレーションやイルミリオンは4月頃の春先まで開催されているそう。寒い時期だけでなく、季節や流行に応じたさまざまなイルミネーションを見に出かけるのも楽しそうだ。調光など進化する技術を駆使した演出に注目してみるのもよいだろう。
●専門家プロフィール:城 康弘
株式会社ミュー代表取締役。空間プロデューサー。「世界の人々に夢と感動と笑顔を」を経営理念に、美しさへの憧憬と情熱を持って光・音・水・空気などの素材を活かした演出デザインを創造。「空間デザイン賞2014」、「第8回CCDOデザインアオード2015」、「空間デザイン賞2016」などに入選。
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