
■金魚が病気になったら塩水浴!?
日本には、金魚の診察が可能な動物病院は少ないという。そのため金魚が病気になった場合は、飼い主が適切に対処する必要がある。
「弱った金魚に対する一般的なケアは『塩水浴』です。新しい水に塩を0.5%の濃度で加え、その中で養生させます。水の浸透圧を塩分で調整することで、金魚の体力消費を減らし、弱った体を回復させる効果があります。しかし病気を決定的に治療する方法ではありません」(中島さん)
初期の病気なら、金魚の自己治癒力が高まることで病気が治ることがあるとか。
「『白点病』、『エラ病』、『尾ぐされ病』などの症状がみられる場合は、それぞれの原因菌に対応した魚病薬を使って治療します」(中島さん)
病気を持ち込まないために、トリートメントで予防する方法もあるとのこと。
「規定量の魚病薬を溶かした水で、5日から7日間ほど泳がせるトリートメントをしましょう。その間は薬によるストレスがあるので、絶食させます。薬浴中の水量は、希釈のしやすい10リットル以上が望ましいです。金魚のサイズにもよりますが、薬浴期間中は基本的に水換を行わないようにしましょう。魚病薬は幅広い効能がある、日本動物薬品株式会社の『グリーンFゴールド顆粒』がおすすめです。白点病を発見した場合は『メチレンブルー』での薬浴をさせましょう」(中島さん)
薬によっては、光で分解され効力を失ってしまう種類もあるという。まずは説明書を確認し、正しく使用しよう。
■金魚飼育に最適な環境
金魚というと、金魚鉢で飼育するイメージが強い。しかし金魚鉢は短期的に楽しむための容器で、長期飼育には向かないそうだ。中島さんいわく、シンプルなレイアウトの水槽でも金魚自体の美しさが引き立ち、観賞性が高く仕上がるという。
「金魚は60cmほどの水槽で飼育するのがおすすめです。成長すると15㎝から25㎝ほどまで育ち、フンが多くなるため水を汚しやすいです。水量が少ないと汚れるスピードが早いので、余裕のあるサイズの水槽が向いています」(中島さん)
水が汚れるからといって、その都度水をすべて換えるのは逆効果だとか。
「カルキ抜きをした水には、さまざまな菌類が住みつきます。その中に、魚のフンから発生する有毒物質を分解してくれるバクテリアがいます。それらを増やすことで、金魚にとって安定した環境が完成するのです。水槽を設置したばかりの頃は水を換えすぎると、バクテリアの定着が遅くなることがあります。水換えは適切なペースで行いましょう」(中島さん)
金魚飼育には欠かせないフィルターの選び方についても教えてもらった。
「ろ過フィルターは、『上部フィルター』か『投げ込み式フィルター』がおすすめです。金魚は酸素を消費しやすいため、酸素を供給しやすいこれらが特に向いています。また、金魚には中性付近の水が適しています。ろ材の中に『カキガラ』を入れると水質を安定させることができます。しかしながら、ろ過フィルターに頼り切らずに、フン取りなどの底床掃除もこまめに行うことが何よりも大切です」(中島さん)
金魚の飼育方法は品種により多様に存在し、オリジナルの飼育方法を研究している人も多いとか。正しいケア方法を踏まえたうえで、ノウハウを突き詰めていくことも金魚飼育の魅力のひとつだ。今回教わったことを参考に、健康できれいな金魚とおうち時間を楽しんでみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:株式会社東京アクアガーデン
熱帯魚水槽のレンタル・リースを行う。また、水槽設置業務で培った、魚飼育のポイントをコラムや情報サイト『トロピカ』などで公開。
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