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憲法改正に必要な手続きとそのハードルの高さを弁護士に聞いてみた!

憲法改正に必要な手続きとそのハードルの高さを弁護士に聞いてみた!2019年の衆議院選挙と2022年の参議院選挙、それぞれで改憲勢力が3分の2以上を確保し、いよいよ憲法改正が現実味を帯びてきたが、ここで改めて憲法改正が具体的にどのような手順を要するのか紹介したい。

ちなみに「教えて!goo」でも「憲法改正について」というタイトルで「憲法改正の国民投票とはなんですか?」という内容の質問が投稿されているが、再確認の意味も込めて、憲法改正に必要な具体的な手続きを井上義之弁護士(富士見坂法律事務所代表)に伺った。



■憲法改正の手続き


早速、憲法改正の手続きを伺った。

「憲法の改正は、大まかに言いますと、(1)国会の発議(国会による憲法改正案の決定)、(2)国民投票による国民の承認、(3)天皇が国民の名において公布、という3つの手続きを経て行われます(憲法96条1項2項)」(井上義之弁護士)

現時点で改憲勢力は衆参あわせて3分の2以上であるため、(1)はクリアできる見通しになる。

■過去に憲法改正が行われたことはあったのか


現在、(1)の国会の発議をクリアできる状態ではあるが、そもそも過去に憲法改正が行われたことはあったのだろうか。

「現行憲法は、形式的には明治憲法73条の改正手続を経て制定されています。しかし、天皇主権を基本原理とする明治憲法の改正規定で国民主権を基本原理とする現行憲法を定めるのは法的に矛盾があるため、実質的には現行憲法は明治憲法の改正ではなく、新たに制定された憲法と解されています。次に、現行憲法制定後についてですが、現在までに改正が行われたことはありません。現行憲法上、改正には国民投票が必要ですが、そもそも2007年の国民投票法の制定まで国民投票の具体的手続が決まっていませんでした。また、国民投票法制定後も、国会による憲法改正案の決定にまで至ったことはありません」

過去に憲法が改正されたことはないとのこと。

■憲法改正の高いハードルとは


アメリカやドイツ、お隣の韓国などは憲法が度々改正されているという。もちろんその手続や要件に違いはあるのだろうが、日本は過去一度も行われなかったことを考えると、やはり改正における高いハードルが存在するということだろうか。

「まず、国会で憲法改正案を決定する前段階として、憲法改正案の原案を国会に発議するために、衆議院においては議員100人以上、参議院においては議員50人以上の賛成が必要です(この点は憲法上のハードルではなく国会法68条の2によるハードルです)。次に、衆参両院においてそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成により憲法改正案を決定する必要があります。最後に、国会が決定した憲法改正案について、国民投票において過半数の賛成が必要です。国民投票法上、賛成の投票の数が投票総数の2分の1を超えた場合に国民の承認があったものとみなされます」

改憲勢力の3分の2以上の確保と国民投票で過半数が改正におけるハードルとのこと。

■判例を積み重ね、解釈を広げてきた憲法


これまで述べてきたとおり日本国憲法は一度も改正をしていない。それ故に憲法ができた当時、存在どころか想定すらしていなかった「プライバシー権」や「知る権利」などは既存の条文を読み込み、裁判所が判例を積み重ね、政府が解釈を広げてきたことで今日に至っている。

この先、憲法が改正されるのかされないのかは誰にもわからない。そもそもしたほうが良いのか、しないほうが良いのか、しなくても良いのかについても意見がわかれている。

ただ憲法改正を考えるとき、憲法そのものだけでなく、プライバシー権や知る権利がそうだったように、憲法に付属する法律や、積み重ねてきた判例、政府の解釈なども知った上で、是非について判断するのが重要ではないだろうか。

なぜなら憲法を改正するかどうかを決めるのは私達だからだ。

専門家プロフィール:弁護士 井上義之 (第一東京弁護士会)事務所HP ブログ

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記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
画像提供:ピクスタ
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