
■唐辛子の種類や辛さ
まず、唐辛子の種類や違いなどについて教えてもらった。
「唐辛子は色に関わらず『辛味種』と『甘味種』に分けられます。辛味種の青唐辛子は未熟ながら唐辛子らしい辛味があります。収穫せずに完熟するのを待つと辛味はそのままに赤く色付き、赤唐辛子になります。赤色のほかには熟度に応じてオレンジ色や黄色などもあります。辛味種はその名の通り辛味がありますが、甘味種は辛味のない品種で、代表的なものにパプリカやピーマンがあります。辛味種同様、緑色のものは未熟な実で、完熟させると色が付きます。パプリカやピーマンも熟度に応じて赤やオレンジ、黄色などのものがあります」(大平さん)
ピーマンなどを指す甘味種は、色に関わらず辛味のない品種だ。だが、辛味種の辛さは色に応じて異なるのだろうか。
「辛さは、色ではなく品種によって異なります。品種に関わらず、青唐辛子は赤唐辛子に比べ、ピーマンやししとう、パプリカ、伏見とうがらしなどの甘味種が多いといわれており、外見だけで辛味種や甘味種か判断ができない唐辛子は、実際に食べて判断することが多いです」(大平さん)
気軽に口にすることで、その行動を後悔してしまうこともある唐辛子。食べずに辛さを測定する手段はないのだろうか。
「唐辛子の辛味成分は『カプサイシン』であり、カプサイシンの濃度で辛さを測る『スコヴィル値』という単位により、辛さを判断できます。近年では毎年のように数百万スコヴィルなどの値を示す新種の激辛唐辛子が発見され、ギネスブックが塗り替えられたと話題になっていますが、カプサイシンを過剰に摂取すると、流涙症や鼻液漏、排尿障害、胃食道逆流症、粘膜炎症、吐き気、嘔吐、高血圧などの健康被害が生じることがあるため、お子さんや感受性の強い人は特に、多量の摂取に注意して頂きたいです」(大平さん)
カプサイシンを摂取すると、ダイエットや美肌効果が期待できるという情報も少なくないが、ほどほどにすべきだろう。
■唐辛子を使ったおすすめ料理
調理の際は、唐辛子それぞれの特性を活かし、利用するとよいようだ。
「一般的に、赤唐辛子は加熱すると辛さが増し、逆に青唐辛子は加熱すると辛さが和らぐという説があります。そのため、赤唐辛子は、中華炒めなど辛さが欲しい炒め物料理と相性がよいです。赤が入るだけで色彩が豊かになるので、盛り付けのアクセントにもなり、おすすめですよ。青唐辛子は天ぷらやおひたしなどメインの料理として利用するとよいでしょう」(大平さん)
「唐辛子の種をとると辛さが和らぐ」という説があるようだが、どうなのだろう。
「唐辛子の辛い部分は、実の中心部にある筋状の細長い形をした『胎座』という箇所であり、種ではありません。胎座の周りには種が張り付いていて、唐辛子を乾燥させると、胎座が崩れて種が飛び、周囲に辛みがうつるため、種が辛いと思われているのでしょう。先にも述べた通り、辛さは品種によって異なる上、辛いという感覚には個人差もあります。ですが、辛みを和らげたい場合は、調理の際、少し胎座を取り除くとよいでしょう」(大平さん)
実際に胎座を見てみると、辛そうに見えないところが憎い。
冒頭で書いたとおり、本日は唐辛子の日。青椒肉絲やししとうの天ぷらなど、唐辛子料理を楽しんでみてはいかがだろうか。