■思考が未来に向かない場合は要注意
コロナの影響で、以前より人に会う機会が極端に減ったという人も多いだろう。それにより、知らず知らずのうちに気持ちが追い詰められたり、落ち込んでしまうことに気がつかないこともあるという。
「思考が未来に向かなくなったときには、注意しましょう。コロナ禍のような事態によるパワーダウン時は、『~することもできなかった』や『給料が減ってしまった』というように、思考が過去に向いてしまう傾向があります。『次の休みは~しよう』や『正月はどこへ行こう?』といった考えから遠ざかってきたら、疲れがたまっているサインかもしれません」(八島さん)
精神的に追い詰められる前に、「自分はストレスを感じている」ということに気がつくことが大切だ。
■興味を抱くことで思考方法を変える
思い込みが激しい人は、普段でも自分を追い詰めてしまいがちだ。より気分が沈みがちなコロナ禍において、視野を広げてポジティブな方向に思考を向けるにはどうすればよいのだろう。「何事にも興味を向けると良いでしょう。たとえば、『この車両には、何人乗っているのだろう』や『会社の~さんはどこに住んでいるのだろう』など、日常の些細なことで構いません。そういった思考を繰り返すうちに、自然と知識が増え視野が広がります」(八島さん)
想像力により、視野を広げることはできるのだ。
「その際には『この人の服はダサい』など、ネガティブな関心は、自分の思考力の弱さを育ててしまう元になります。ポジティブな関心を持つようにしましょう」(八島さん)
さらに、気持ちを楽観的に変えたり、ネガティブな思考をほぐす方法を具体的に教えてもらった。
「逆境をプラスに変える発想が役に立つと思います。たとえばコロナの流行により、今まで以上にマスクが身近なものになっています。最近では、各メーカーが多彩なアイディアを発信し、子どもたちの間では有名なアニメのマスクも流行しています。このように感染症の象徴のようなマスクでも、イメージを逆手に取り、オシャレや自己主張の場に昇華できれば、自分も周りも楽しめますよ」(八島さん)
「マスクを付けなければいけない」と落ち込むのではなく「せっかくだからマスクでオシャレをしよう」と、その状況を楽しむことが有効だという。
つい自分を追い込みがちだと自覚のある人は、世界のいろいろなことに対してポジティブなイメージを見つけ、それを膨らませるとよいだろう。
●専門家プロフィール:株式会社ドクタートラスト
企業で働く人の健康管理を専門に受託。産業医(国内第1位※)や保健師などの医療資格者が企業を訪問の上、健康診断結果に基づく健康指導、過重労働者面談、ストレスチェック、職場巡視、衛生委員会への参加などの業務を実施している。※帝国データバンク調べ