
■最近の結婚式事情
最近では、コロナによる行動制限が緩和、解除の動きが加速したが、結婚式はどのように変化しているだろうか。
「コロナ禍を経て結婚するカップルの多くは、何事も共に乗り越えていこうという強い絆を持っています。そのため、お二人の力をあわせて結婚式を作り上げることを楽しんでいるようにお見受けします」(中西さん)
式をまかせっきりにするのではなく、自分たちで創作していこうというのだ。具体的には、オリジナリティを大切にした結婚式が増えているそう。
「SNSの流行で、映える写真が注目を集め支持されています。みんなと同じような結婚式で同じような写真をSNSにアップするのではなく、自分たちならではのオリジナリティ溢れる演出で、見る人にも楽しんで欲しいと考える新郎新婦は少なくありません」(中西さん)
“タイパ(タイムパフォーマンス)”のよさも重視されるポイントだという。
「『タイパ婚』という言葉をよく耳にするようになりました。自分達である程度、調査や準備をするため、少ない準備期間で結婚式を実現する印象があります」(中西さん)
準備の過程から、自分たちの考えで進め、満足度も高めるという。式当日も、派手な披露宴は行わず、あえて挙式に友人を呼び、全体の時間を短くするといったことでコスパとの両立も可能だ。では、規模はどうだろう。
「コロナ禍の列席者は、親族様のみの10~20名ほどが多かったですが、50名ほどを招待されるケースも増え、最近では100名というお式もありました」(中西さん)
時代は変化しても、周囲の大切な人たちに感謝を伝え、祝福されたいという新郎新婦の気持ちは不変だ。
■出席者側の変化
参列者側に新しいマナーができたというので、さらに聞いた。
「第一に、結婚式前の数日間は体調管理を万全に、少しでも体調が優れない場合は欠席するのがマナーです。結婚式直前の欠席連絡は非常に心苦しいですが、不安のある状態で列席し、万が一クラスターを引き起こしてしまったら後悔しか残らないでしょう」(中西さん)
やはり、基本的な感染対策は継続が鉄則だ。
「一般的にマスクの着用は個人の判断となりましたが、結婚式には自分のマスクを持参するのがマナーです。着脱しやすいように、首に下げられるおしゃれなチェーンなどを利用する方もいらっしゃいます。いうまでもなく、会場に入る前や化粧室使用後などは手指消毒を徹底しましょう」(中西さん)
コンサートなどで声出しが解禁になったように、結婚式場でも歌やダンスの余興演出ができるようになったが……。
「結婚式場の感染対策は万全ですので、安心してご出席頂きたいです。しかし、式に携わる方全てが安心安全に過ごすためには、出席者様のご協力が欠かせません。声出し解禁とはいえ、できるだけ拍手で盛り上げるなど、柔軟な対応ができるとよいですね」(中西さん)
結婚式場の指示に従いながら、判断、行動できるとよいだろう。
■今後の結婚式の見通し
今後結婚式はどうなるのか、現時点での見通しを聞いた。
「コロナ禍では近親者のみの結婚式が主流でした。ですが今後の結婚式は、これまで以上に感謝を伝えたい人や心から祝って欲しいと思う人を招くという、人数より出席者との繋がりの質や深さを重視したものになると思います」(中西さん)
コロナ禍で結婚式を挙げられなかった夫婦に、子どもが生まれているケースもあり、子連れ結婚式も増える見込みとか。
「お子様と一緒に結婚式を挙げるご夫婦が増えてくると思います。そして、今以上に形式にとらわれず自分達らしい結婚式を求めるカップルが増え続けるため、カジュアルな式はよりカジュアルに、豪華な式はより豪華になっていきそうです」(中西さん)
より一層、オリジナリティが重視されるようになるのだろう。
「『出席者様に喜んで頂く』というテーマが主流だった時期が長くありましたが、今後はこれまで以上に自由度が高く、新郎新婦が主役の結婚式が主流になりそうです」(中西さん)
古くからある結婚式の在り方は、コロナ禍を経て変化を遂げた。今後はより一層、自分達ファーストで作り上げていく、自己満足度の高い結婚式が支持されていきそうだ。
●専門家プロフィール:中西 由美
ブライダル総合案内サービス「ブライダルナビ」代表。プロポーズの相談や結婚式場探し、婚約・結婚指輪の販売までサポートし、1000組以上のカップルを幸せな結婚へ導く。『ブライダルTV』にてブライダルYouTuberとしても活動中。インスタグラムやTikTokも好評。
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