証拠金が多ければ当然、大きな額の取引が可能になる。いわば軍資金ともいえる証拠金を、一般的なトレーダーはFXの口座にどのくらい預けているものなのだろう。この疑問を解明すべく、前回の「FXの専業トレーダーはどれくらい儲かっている?」から引き続き、FXを中心とした投資に関する情報発信メディア「ナビナビFX」編集部の佐藤真奈美さんに話を聞いた。
■約4割のトレーダーの証拠金は50万円以下
FXトレーダーはどのくらいの証拠金を預けているものなのか。
「私たちの調査によると、37.2%のトレーダーの証拠金が『0~50万円』で、このレンジの証拠金が、突出して高い結果となりました。次点で13.7%の『51~100万円』、その一つ上のレンジである『101~150万円』が9.7%と3番目に高いです。100万円以下が50.9%と過半数を占め、150万円以下になると60.6%になります」(佐藤さん)
証拠金の平均金額は、それほど多くないようだ。FXの証拠金は少額でよいということだろうか。
「比較的少額の証拠金を預けているトレーダーが多い一方で、『1,001万円以上』預けているトレーダーも5.7%います。また『251~300万円』預けているトレーダーも5.2%いるという結果です」(佐藤さん)
日々の取引額にもよるが、高額の証拠金を預けているトレーダーも一定数存在するとのこと。
■どのくらいの証拠金を預けるべきか
実際にはどの程度の証拠金を預けるのが適切なのか聞いてみた。
「結論から言うと、FXの証拠金はこれだけ預けるべきという明確な基準はありません。なぜなら、証拠金はどのくらいの利益を望んでいるのか、また、どのくらいのリスクを取ることができるのかによって変わってくるからです。大きな利益を望んでいるのであればそれ相応の証拠金が必要になりますし、許容リスクが低いのであれば必要な証拠金も当然増えます。トレーダーによって、ふさわしい証拠金の額は異なるというわけです」(佐藤さん)
FXをこれからはじめるなら、基準がほしいところだろう。
「10万円は用意しておきたいですね。これは一般的な許容リスクで、1,000通貨単位の取引をした場合です。FX会社のスペックによっても必要な証拠金は異なります」(佐藤さん)
メジャー通貨であるUSドルを1,000通貨単位で購入すると1,000ドル分の取引が可能ということになる。一円の変動で1,000円のプラスかマイナスになる計算だ。収支が証拠金額を下回らない限り、取引を続けることができる。
他にも10,000通貨単位で取引できるFX会社もあるが、少額ではじめたいのであれば、取引通貨単位の小さいFX会社を選択するとよいようだ。
■初心者がはじめるのにおすすめのFX会社は?
FX初心者のために、取引通貨単位が小さくても取引しやすいFX会社を教えてもらった。
「取引通貨単位が小さく、少額ではじめやすいFX会社は『YJFX!』と『外為ドットコム』です。どちらも1,000通貨単位からはじめることができますし、『YJFX!』はヤフーグループということで初心者にも安心感があります。いっぽう、『外為ドットコム』は情報量が厚く、スプレッドも最狭水準です。このどちらかではじめて、FXの大まかな感覚を掴んでから、より自分に合ったFX会社を探して口座開設するのがよいでしょう。口座を複数持っておくことも、リスクヘッジにつながりますからね」(佐藤さん)
初心者はまず、少額から実践するのがよい。軍資金は、たくさんあるに越したことはないが、経験を積んでからでないと、そのメリットを活かすことは困難なのだ。
口座開設すると、投資に必要な情報提供も受けられることが多い。そのようなメリットや自分の投資手法や取引額を加味したうえで、適切な額の証拠金とFX会社の口座を準備したい。
●専門家プロフィール:佐藤 真奈美
FXに関する疑問や悩みを解決するサイト「ナビナビFX」の編集部員。大学卒業後、FX関連の証券会社に勤務したことが契機となり、金融の世界へ。ベンチャーキャピタルをはじめとした投資会社で経験を積む。現在は、複数のFXメディアサイトに相場予想やFX解説等の記事を寄稿している。