■海外でも当たり前?外出前に「待たせる妻」と「待つ夫」
女性の家事負担が大きい日本では、出かける前の妻の準備を待ちきれず、文句を言う夫が多いようだ。佐竹さんによると、海外においても妻の準備を夫が待つのはよくあることだというが、いさかいには発展しにくいとのこと。
「海外でも、外出前“待たせる妻vs待つ夫”になるケースはあります。ですが、夫が奥さんに文句を言うことは、レデイファーストの国、たとえばアメリカなどでは少ないです」(佐竹さん)
日本より家事分担が進んでおり、妻の負担が理解されていることが理由のようだ。
「家事分担がケンカの原因になることもありますが、海外では夫も家事に前向きだといえますね。それは、男性(夫)が家事に参加しやすい環境があるからなんです」(佐竹さん)
欧米の家事環境は、どのようなものなのだろうか?
「欧米の生活家電は、食器を自動的に洗う食洗機、洗濯物を入れるだけの乾燥機付洗濯機が主流になっています。干す、取り込むなど、面倒な手間がかからないのです」(佐竹さん)
食生活も家事負担の軽減に繋がっているようだ。
「料理はオーブンに入れるだけの食品が多いため、食事の支度は各種食器を並べるだけのことがほとんどです。このように、家事が時短で簡単にできる環境が整っているため、女性(妻)の負担は少ないようです」(佐竹さん)
夫婦が協力して家事を行いやすい生活なら、外出前の準備が妻に片寄りにくいといえるだろう。
■海外に学ぶ、夫婦がストレスなく出かけるための方法
家族が気持ちよく出かけるためには、どのような行動を取ればよいのだろうか。
「当たり前ですが、早めに準備を始め、お互いを待たせないようにすることです。ただ、欧米の男性は日本の男性よりも、待たされることに対して理解してくれることが多いようです。もちろん予期しないことは起きるものですが、欧米男性には理解があり、準備を手伝ってくれることもあります。さほど問題になりません」(佐竹さん)
もし、準備優先で身支度が手抜きになった場合、欧米男性は相手にどう反応するのだろう?
「欧米では、『化粧や髪形が雑じゃない?』などと言う人は少ないといえます。というのも、日本以上に女性を大切にする慣習があるからです。逆に化粧をしていなくても『きれいだ!』『すてきだ!』と褒めますね」(佐竹さん)
「“女性が満足した姿で外出できることが大切”と考えている男性が多いのです」と佐竹さんは続ける。欧米に比べ、「男性ファースト」の気持ちが日本には根強く残っているのかも……?
■結婚してからわかる「男女の考え方の違い」、どう克服する?
外出時トラブルの大きな原因は、家事の役割分担における男女間の考え方や価値観の違いのことがほとんどだ。ただ、結婚前には相手の本音がわからないことも多いとか。
「どこの国の夫婦にもいえることですが、考え方は人それぞれですから、コミュニケーションを取ることが大切ですね」(佐竹さん)
考え方の違いは克服するのではなく、「お互いを理解することが大事」と、佐竹さん。
「子育ても大事ですが、欧米では『夫婦の時間』を大切にしています。育児をベビーシッターに頼み、夫婦だけで食事やコンサートに出かけたりするのです。妻は家事や子育てから解放されて、ストレス解消にもなりますからね」(佐竹さん)
日本の家族は反対に、子ども優先になりがちだ。妻が自分自身のことに集中する時間を取りづらいことも、外出準備でもめる要因になっているのは否めない。
今回の取材では、「外出前のケンカ」という一つの出来事から生活環境や考え方など、日本と欧米では多くの違いがあることがわかった。気持ちよく出かけるためにも、欧米の考え方を参考にしたり、時短できる家電を導入してみるなど、海外の成功事例を活かしてみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:佐竹悦子
結婚カウンセラー。結婚相談所インフィニ、インフィニ 青山結婚予備校代表取締役。再婚アドバイザー、再婚応援セミナー講師、婚活アドバイザーとしても活躍。大手結婚相談所などでの実務経験を活かして、30,000人以上の方々をカウンセリング。結婚力を育み、良縁を繫ぎ、高い成婚率を実現している。
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