
■履歴書等の職業の項目には「主婦」と書く?
職歴など、職業に関する項目には何と書くのが正しいのだろう。主婦を仕事として認識してもよいだろうか。
「正社員募集における履歴書の職歴欄には、正社員として働いた経験を書くのが一般的です。一方、専業主婦を選択した理由や、その期間に取り組んでいたことについては、企業に伝えたほうがよいため、職歴欄ではなく、志望動機やアピール欄に記載するのがよいでしょう。例としては『〇年~〇年まで専業主婦』、理由に『育児のため、夫の海外転勤のため、両親の介護のため』のように書きましょう」(長谷川さん)
主婦は職業としてではなく、それ以外の経験として捉えるとよいようだ。
■内職やパートの経験がある場合は記載する?
主婦の傍ら、内職やパートの経験をしてきた人もいるだろう。その場合、どのように記載するのが望ましいのかも聞いた。
「専業主婦の期間に取り組まれていた内職やアルバイト・パート等の仕事経験は、記載したほうがよいです。その際は、『具体的な仕事内容(接客、事務、営業)』や『仕事をする際に心がけていたこと』、『職場での役割』等、自分の人となりと、取り組んできたことが相手に伝わるよう、なるべく具体的に記載しましょう」(長谷川さん)
パートや在宅作業、手伝いなど細々やっていた場合、欄がいっぱいになってしまいそうだが……
「履歴書にすべてを書けない場合は、職務経歴書に詳しく書くこともおすすめです。書く内容に迷う場合は、職務経歴書のサンプルを参考にしながら、観点を洗い出してみるのもよいでしょう」(長谷川さん)
パートなどの経験で得たもの、培ったものがあれば、それも履歴書に書き添えたい。
■社会経験の少なさを埋めるには?
家事や育児、介護など主婦の仕事は多岐にわたる。そんな忙しさから社会経験が少ない場合、そのディスアドバンテージを打ち消すことができるだろうか。
「専業主婦に限らず、応募者が未経験の仕事にチャレンジする場合、働いていないブランク期間があると、企業の担当者は書類選考時点で『どのぐらいの熱意があるのか』、なぜ当社を選んだのかが分からず悩まれることが多いです。そのため、『なぜ、その仕事をやりたいのか』、『なぜ、今働きたいのか?』の志望動機と熱意を履歴書に盛り込みましょう」(長谷川さん)
ブランク期間にその業界について学習していたことなどがあれば、熱意として漏れなく伝えたい。
「志望動機がうまく自分の中で整理できない場合は『仕事内容』『業界』『志望する会社』という、3つの軸で分けて考えてみるとよいです。また、専業主婦の期間に課題活動(NPO、PTA、社会貢献活動等)をされていた人は、そうした経験から学んだことを記載するのもよいでしょう」(長谷川さん)
履歴書や職務経歴書には、選考時に動機や熱意がより伝わるよう書くことが重要だ。分かりやすく、しっかりとした根拠も盛り込めればベストだろう。その他にも経験したことから得たものなどを書くことも評価に繋がるのだ。
今回の取材で、主婦も一つの経験として考えて、履歴書に付け加えるとよいことが分かった。自らの経験を一つでも多くアピールして、よい未来に繋げたい。
●専門家プロフィール:長谷川貴子
株式会社リクルートキャリア、エージェント事業本部、カスタマーサービス部。主に事務や事務系専門職(人事、経理、企画、マーケティング等)の求職者サポートをする組織のマネジャー。キャリアアドバイザーとして多くの転職支援を行っている。