■フリマアプリで得た収入の確定申告
フリマアプリで得た収入の場合、売った物によって確定申告の要否が異なるようだ。
「確定申告の要否は、フリマアプリで売る物が『日常生活のために購入したものであるかどうか』が重要なポイントになります。金額の大小ではなく、『バーゲンで買ったけれど一度も着ていない洋服』や『状態がきれいだけど、もう使わない子どものおもちゃ』など、生活上必要で買った物を売っても、新品、中古を問わず税金はかかりません。ですから、マイカーを買い替えるために自動車を売り、収入が100万円あっても申告する必要がないのです」(浅野さん)
生活必需品ならば、申告の必要がないという。
「一方、貴金属や宝石、骨とう品などで一組(一個)の価格が30万円を超えるものを売買した場合は、課税対象になるので注意が必要です。また、家にある物を断捨離して売った程度ではなく、定期的に出品していて、明らかに商売を目的としていると判断されると、税務署から問い合わせが来ることがあります」(浅野さん)
会社員で小遣い稼ぎのためにフリマアプリを利用している場合、売った物や収入により、申告が必要になるのだろうか。
「会社員の場合、フリマアプリを使って継続して転売などを行い、お給料以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。『所得』とは、フリマアプリで売った金額ではありません。例えば、コートを10,000円で買い付け、13,000円で売れたとします。梱包費、送料、出品手数料などを合わせた諸経費が1,500円だとすると、13,000円(売れた値段)-10,000円(コートを仕入れた値段)-1,500円(諸経費)=1,500円が儲け(所得)となります。この儲けが1年間で20万円を超えると申告が必要になります。仕入の際にかかった交通費や、販売するためにかかった費用も、諸経費に含めることができます」(浅野さん)
専業主婦の小遣い稼ぎの場合も、「所得」によるのだろうか。
「専業主婦だけでなく、仕事をしていない学生なども含め、同じく『所得』によって申告の要否が変わってきます。年間所得が33万円未満の場合は申告の必要がありませんが、33万円以上38万円未満の場合は住民税の申告、38万円以上の場合は確定申告が必要になります。38万円以上の場合は住民税の申告も必要ですが、所得税の確定申告をすれば、税務署が自動的にお住まいの市町村に通知してくれるため、住民税の申告を省略することができます」(浅野さん)
小遣いの場合は、年間所得を33万円未満におさえたほうが得かもしれない。
■無職の人は確定申告?住民税?
無職の人の申告は、どうしたらよいのか。
「無職でも、ご家族の扶養に入っている人は申告の必要がありません。扶養に入っておらず無収入の人、もしくは年間所得が33万円未満の人は、住民税の申告をすると国民健康保険の減免や国民年金の免除など、行政のサービスを受けることができます。住民税は、2月1日~3月15日まで、お住まいの市町村で申告することができます」(浅野さん)
浅野さんは、「現在無職でも、昨年の間に仕事を辞めた人は、確定申告をすると納めていた税金が戻ってくる可能性がある」と補足してくれた。該当する人は、忘れずに確定申告をしたい。
●専門家プロフィール:浅野 千晴
会計事務所、外資系企業に勤務し、英文経理、海外へのレポーティング、財務書類作成などを担当。平成16年、出産を機に埼玉県新座市に浅野千晴税理士事務所を開業。コミュニケーションを大切にしながら、きめ細かい対応を心掛けている。