■世帯年収400万円以下の35%が頭金ゼロ!
まずは、世帯年収400万円以下の場合、どうするべきなのか聞いた。
「世帯年収で400万円以下となると、家を購入する人の中では比較的収入が低い方に属します。物件の価格で一番多いのは2,000万円以下で、頭金をゼロで購入する人です」(千日太郎さん)
一般的に「頭金は1割」といわれるが、フルローンはやっぱり危ないのだろうか。
「私は著書やブログで、安全な住宅ローンの金額として、4つのルールでシミュレーションして決めることをおすすめしています。
1) 毎月返済を月収の4割以下とする
2) 元利均等返済、ボーナス払いなしとする
3) シミュレーションは固定金利で行う
4) 定年時の残高は1,000万円以下に抑える
この4つのルールを当てはめて、各年齢、年収別の住宅ローンの金額を出すと、次のような表を作ることができます。
頭金はゼロでも、借入額が2,000万円未満であれば、この表のレンジを超えません」(千日太郎さん)
頭金がなくとも、2000万円未満のローンであれば、リスクは少ないとのこと。
■世帯年収400万円超600万円以下の人がフルローンで家を買う人が注意すべきポイント
では、世帯年収400~600万円の人の傾向を見ていこう。
「中心的な価格帯は2,500~3,500万円、頭金ゼロで購入する人は27%です。4人に1人ですから割と多いですね。先ほどの4つのルールに当てはめて、安全な住宅ローンの金額を表にしてみました。
2,500万円くらいまでの借入であれば、頭金ゼロでもレンジ内に入っていますが、3,500万円となると、このレンジを超えるケースが多いです」(千日太郎さん)
このレンジを超えると、どんなリスクが増えるのだろうか。
「住居費が手取り月収の4割を超える状況は厳しいレベルといえるでしょう。収入が減ってしまうと、家の維持そのものが困難になるリスクを負ってしまいます。また、年齢が40歳よりも上になってくると、定年時の残高が1,000万円を超え、現役のうちに完済できないリスク、退職金で完済したとしても老後の生活が圧迫され老後破産してしまうリスクが増えます」(千日太郎さん)
リスクをカバーする策を用意できていなければ、危ない住宅ローンになるのだろう。
■世帯年収600万超1000万以下のフルローンは少数派
では、世帯年収600~1000万円の場合はどうだろう。
「この層はさらに収入が増える分だけ、購入する家の価格も高くなります。中心的な価格帯は3,000~4,500万円。そして、頭金ゼロで購入する人は11%です」(千日太郎さん)
これを先ほどの4つのルールに当てはめると、どうなるのだろう。
「3,000~4,500万円であれば、フルローンであってもレンジ内に収まるケースが多いですね。フルローンでも問題ないのに、しっかりと頭金を入れている人が多いというのが特徴です(千日太郎さん)
世帯年収が高い人ほど、堅実にリスクヘッジしているようだ。
最後に、頭金を決めるポイントについて教えてもらった。
「頭金は自己資金で払うお金で、住宅ローンの金額を決める要素でもあります。単純に頭金の割合ではなく、それによって住宅ローンの金額が幾らになるのかを考慮するのが重要なポイントです」(千日太郎さん)
長期にわたり、月々の負担を耐え抜けるのかが重要というわけだ。
今回はマイホームの購入価格と頭金をどのように決めればよいのか、明確になったのではないか。物件購入の予定がある人は、将来のライフプランも見据え、じっくり検討してもらいたい。
●専門家プロフィール:千日 太郎(せんにち たろう)
オフィス千日LLC.代表社員、公認会計士。正しい住宅ローンのノウハウを広く発信することをライフワークとし、自身のブログで一般の人からの相談に無料で答えるほか「ナビナビ住宅ローン」など多数のメディアで記事執筆と監修を行っている。