■旬野菜は家計にも優しい?
栽培技術が進み、季節に関係なくさまざまな野菜がスーパーに並ぶ現代。しかし本来、野菜にはそれぞれの収穫期がある。2月の「旬野菜」にはどのようなものがあるだろうか。
「冬の白菜は甘味があり、水分たっぷりです。カリウムやカルシウムなどのミネラル、食物繊維などが多く含まれます。白菜といえば鍋物を思い浮かべがちですが、クリーム煮やお漬物にも活躍しますよ。小松菜は通年買うことができますが冬が旬の野菜です。寒い季節の小松菜は、甘味が増しても美味しくなります。また、皮膚や粘膜の保護・免疫力の向上に役立つβカロテンや骨や歯を構成するカルシウムが豊富です」(広瀬さん)
白菜は、他の野菜と一緒に炒め物にしたり、たっぷり食べられるのがうれしい。この季節の小松菜のおいしさも感じたい。
「ブロッコリーはビタミンCが豊富です。実はレモン、みかん等の柑橘類を凌ぐほどで、加熱しても壊れにくいのもありがたいですね。風邪予防や疲労回復に効果的な野菜です。野菜と一緒に煮込むポトフや、キノコと一緒の炒めものなどもおすすめです」(広瀬さん)
柑橘類よりビタミンCが多いとは……知らなかった人も多いのでは。
「かぶの丸くて白い根の部分は、大根同様にアミラーゼというデンプンの消化酵素が含まれており、胃もたれや胸やけなどに効く、整腸効果があります。皮もやわらかいので、できれば剥かずに全部食べたいところです。葉には、ビタミンC、βカロテン、カルシウムが多く含まれ、根の部分より栄養があります。そぼろ煮や小エビのあんかけなど、柔らかな食感を生かした煮物もおいしいですが、スライスしてサラダにするのもおすすめです」(広瀬さん)
煮物にサラダに大活躍である。
「冬の蓮根は粘りが強く甘みが多く、シャキシャキの食感がおいしい野菜です。きんぴらとして、冷蔵庫にあれば常備食として助かる一品になります。すりおろした蓮根の味噌汁は、冬場に心もあたたまる一品です」(広瀬さん)
旬の野菜は栄養価が詰まっていて収穫量も増えるので、価格も安く家計にも優しいとのこと。
■野菜の切り口で旬を見分ける
栄養価が高く、食卓で活躍する冬野菜。広瀬さん直伝の野菜の目利き方法を教えてもらった。
「白菜は、重量感があるものや、外側の葉が濃い緑色で厚みがあり、先までしっかり巻いているものを選びます。株の切り口が平らになっており、みずみずしいものがよいでしょう。小松菜は、葉の色を見て色が濃くピンと張りがあり、肉厚なものを選びます。冬場の露地物(温室やハウス栽培されたもの)は葉の部分がすれたり、根本に土がついていたりしますが、甘味がありとてもおいしいです」(広瀬さん)
この時期の白菜や小松菜は、色味や葉の厚さをみれば、ある程度の良し悪しが分かりそうだ。
「ブロッコリーは、花のつぼみの部分が細かく密集しているものを選びます。色は緑が濃いもので、切り口のみずみずしさと中に割れがないものが好ましいです。露地物の場合は花のつぼみが紫っぽくなりますが、茹でると鮮やかな緑色になり甘味も強いです。かぶは、白い根の部分にキズがなく白く張りがあり扁平型よりも丸々としたものを選びます。できれば葉付きのもので、葉が青々として張りがあるものが好ましいです。蓮根は丸くてキズが少なく寸胴型のものを選びます。カットして販売しているものを選ぶ際は、切り口の穴の中が黒ずんでいるものに注意しましょう」(広瀬さん)
広瀬さんいわく、よい野菜を選ぶには、旬の時期を知ることも大事だという。旬の野菜には、人にとってその時期に必要な栄養が豊富に含まれている。購入前に野菜をしっかり確認し、季節ならではのおいしさを存分に楽しもう。
●専門家プロフィール:日本educe食育総合研究所
「良い食」と「良い環境」が「より良い未来」を創ると考え、食の根底となる自然環境や農業と食をつなぎ、人間が持つ本来の力を引き出す教育の研究開発を中心に行っている。