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ムシャラフ大統領が非常事態宣言を出し、ブット元首相を自宅軟禁にする措置などをとりました。

CNNに対して、元米国連大使などは、軍が崩壊したり分裂をした場合、核ミサイルの流出など、核管理に不安が生じる可能性があると指摘していまいした。

パキスタン軍には親米派の現大統領とは主義の相反する、イスラム原理主義的な勢力もあると聞きます。パキスタン軍に、クーデターや分裂の可能性は、現実的に考えてあるのでしょうか? またパキスタン軍の軍の組織構成は、どのようになっているのでしょうか?

僕自身が問題を大まかにしか把握しておらず、散漫な質問で恐縮ですが、ご回答いただけると幸いです。

A 回答 (1件)

現時点では、クーデターや分裂の可能性は低いと思います。



11月13日に米外交評議会のゲリー・セイモア副会長は「パキスタン軍が割れれば、同国の核の安全に重大な懸念が生じる」と発言し、また「大きな懸念は軍と文民の政治勢力の緊張が決定的に高まり、それが軍の分裂に繋がった場合だ」とも言っていますが、それはあくまで一つの可能性を指摘した発言に過ぎず、現状については「軍は結束力を保ち続けており、アルカイーダやタリバンの手が核兵器に届く事はありえない」とも発言しています。

11月15日にアメリカ軍の統合参謀本部のマレン議長は、パキスタンについて「核兵器の保全態勢に危険を示す兆候はない」「政局の混乱とは裏腹にパキスタンの軍事状況は安定している」と発言しており、軍の分裂や核兵器の流失する不安について否定的な発言をしています。

11月26日にアメリカの核の専門家であるリントン・ブルック氏は「パキスタンでタリバン型政権が発足しそうだと見ている訳ではないが、絶対に起こらないとも言い切れない」と発言していますが、これも一つの可能性を指摘しているだけです。

つまりパキスタンの政治的状況が混乱したので、まだ切迫した事態ではないけれど、一部の専門家が一応の注意を喚起したという状況でしょう。

しかも事態は動いています。
軍人として大統領の地位にあった為に、批判の的だったムシャラフ大統領ですが、11月28日に陸軍参謀長を辞任し、軍籍を離脱し、文民になりました。
非常事態宣言も今月の15日には解除し、来年1月には自由で公平な選挙を行うと発表しています。
ブット元首相の軟禁も解かれました。
ムシャラフ大統領が強権を発動し続けるならともかく、ここまで軟化しているのですから、事態が急激に悪化するような事態はすぐには起きないと思います。何らかの大きな事件でもない限りは、とりあえず選挙までは平穏だと思います。

軍内部のイスラム原理主義者ですが、現在、軍の主要な地位にはいません。ムシャラフ大統領がクーデターで政権を取った後、主要な地位にいた人物は排除しました。
その為、2003年頃からムシャラフ大統領を狙った暗殺が幾度起きています。しかし、全て失敗し犯人グループは逮捕されています。逮捕された者は下級将校が殆どです。
ムシャラフ大統領も権力を握ってかなり経つので、その間に軍の重要な部門の責任者は、腹心や信頼の置ける人物に変えていると言われます。
実際、ムシャラフ大統領の後任として陸軍参謀長の地位についたキアニ大将も腹心で親米派です。統合参謀本部のマジード大将も、軍統合情報局長のタジ中将なども昔からの腹心です。
その為、軍内部でのイスラム原理主義の力は限定的なものであると言われています。

また、パキスタンにはインドという大敵がいるので、軍が混乱すれば付け込まれる恐れがあります。それは、パキスタンの軍人が最も避けたい事であり、イスラム原理主義者も同様です。もともとパキスタン軍内部のイスラム原理主義者は、対インド強硬派が中心です。
最近、味方である筈のアメリカが敵対するインドと軍事的に友好関係を深めているので苛立ちがあります。しかし、アメリカと敵対してはインドに対抗する事ができなくなるのでジレンマがあります。
だから軍内部のイスラム原理主義者が動くのは、よほどの事がない限り
難しいでしょう。
なおパキスタンでは確かに過去にクーデターが数度起きていますが、それは政治家対軍部の対立という構図で、軍が大規模に割れての内戦という形ではありませんでした。まあ、今後も絶対ないとはいえませんが。
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この回答へのお礼

現実的な、ご回答で、大変参考になります。
可能性として、低いということが具体的に分かりました。ありがとうございます。

お礼日時:2007/12/11 00:09

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