No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
直接適用説と間接適用説とが最も問題となりうる場面は、過去の判例に照らして「思想信条の自由」かと思いますので、それに沿って回答いたします。
憲法19条は、
「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と規定しています。
国立大学(現在は独立法人ですが)の入学試験において、試験官(国家公務員)が「あなたの信じる宗教は何ですか?」と聞くこと、及びその結果に従って合否を判定することは違憲です(公権力⇔私人=直接適用)。
一方、ある仏教寺院が僧侶の募集をした際に「私はキリスト教を信じています」と答えた希望者を採用しなくとも、それは違憲・違法であはりません(私人⇔私人)。
後者においても、直接適用説が採用されるならば(思想信条による差別をしてはいけないので)、仏教寺院は希望者の信仰に関係なく(信仰等思想信条以外の)採用基準に適った希望者を採用しなければなりません。
一方、間接適用説によれば、仏教寺院がクリスチャンたる希望者を採用しなかったからといって民法90条の公序良俗に反するとまでは言えないので、適法ということになります。
直接適用をして違憲になれば、希望者たるクリスチャンは採用されなかったことを訴え、勝訴することができます(他の採用基準を満たしているなら、当該仏教寺院で採用されたという地位を得る)。
一方、間接適用説に立てば、違憲・違法ではありませので、当該クリスチャンは敗訴ということになります。
なお、類推適用というのは、#1の方が言うように趣旨を類推するなどして適用することなので、結果として直接適用説と同じになると考えます。
ご回答ありがとうございました!
仰る通り19条に関する問で出てきた疑問でした。
なるほど…。
大変よく理解できました。
仮に直接適当が適用されると、国は大変な事になりますね。
例えば企業側は、(宗教まではいかずとも)思想の近寄った人間を採用したいでしょうし、思想が会社のカラーと全く合わなくとも、それを持って拒めないというのは、大変厳しいと感じました。
そして著しく"不当な理由で一方的に解雇通告された社員"は、憲法で直接保証されずとも、民法90条により、公序良俗に反するため勝訴たりうる、というでしょうか。
どうもありがとうございました。
大変助かりました。
No.1
- 回答日時:
直接適用は「具体的事実に条文をそのままあてはめること」、
間接適用は「具体的事実に条文をそのままあてはめられないが、別の条文等をあわせてそのままあてはめること」、
類推適用は「具体的事実に条文をあてはめられないので、その趣旨などを類推してその条文をあてはめること」
をいいます。
具体的には・・・
1)警察官が捜索差押時に無令状で捜索をした場合
憲法35条1項・2項を「直接適用」
2)企業の男女別定年制を設けること
そもそも、憲法は公法であるので原則として私人間効をもちません。
ですが・・・(私人間効力の論点)
その定年制が民法90条に反するか否かの判断で憲法14条1項を「間接適用」
3)有名な権利外観法理
民法94条2項を「類推適用」
ご回答ありがとうございます!
なるほど。
1)
33条「逮捕の要件」
35条「住居の不可侵」→"33条を除いては"という箇所ですね。
警察官=公権力であるので、直接適用が許される
2)
企業≠公権力なので、直接適用できず。
よって、司法に民法90条「公序良俗に反するか」を委ねる。
と言うわけですね。
3)
不動産における善意の第三者ってやつですね。
どうもありがとうございました。
大変理解が深まり、感謝感激です。
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